表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀の三姫  作者: suzuyumi
8/12

序章〜森の視線〜

お茶会のあと。

夕陽が森の端を染める頃、ティースは北の防壁要所へと向かっていた。


ここは城の外周に広がる森の境界線――防壁システムの魔力が最も集中する地点の一つだ。

彼女の後ろには、二人の護衛兵が控えている。


「ティース様、お供します」


「ありがとう。でも、少し距離を置いていて。魔力の流れを感じ取りたいから」


「はっ」


兵士たちは数歩下がった。


ティースは目を閉じ、意識を沈める。

地中深くを流れる魔力の脈動が、まるで血管の鼓動のように伝わってくる。


午前中よりも、確かに濁っている。


「これは…」


膝をつき、地に手を添える。

掌から魔力を流し込むと、視界の裏側に魔法の網が広がった。

その一部が、明らかに歪んでいる。


「魔物の仕業?…違う、これは。…誰かが、意図的に…」


ぞくり、と背筋が冷えた。


その瞬間だった。


何かの視線を感じる。


「!」


顔を上げ、森の奥を見つめる。

木々の影に、誰か――いや、“何か”がいる。


「誰かいるの!?」


静寂。風の音だけが返ってくる。


ティースが一歩踏み出そうとしたとき、兵士が駆け寄った。


「ティース様! もう日が暮れます。城へお戻りを!」


「でも――」


「危険です。魔物が出るかもしれません!」


ティースは唇を噛む。

たしかに、森の中はもう闇に沈みつつあった。


「……分かったわ。戻りましょう」


そう言いながらも、彼女の視線は森から離れなかった。


(何かがいる。確かに、あの奥に――)


帰路の途中、ティースはふと空を見上げた。

西の空に浮かぶ雲が、不吉な形に裂けている。


「粗悪な魔石、防壁の歪み、そして…この視線。一体…」


胸の奥に広がる不安を押し殺し、ティースは小さく息を吐いた。


「……クーロ姉様に、話さなくちゃ」


沈む夕陽の中、ティースは早足で城へと戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ