後日談3-3
翌日、二人はハンサム・キャブをチャーターした。
旅に使っていたのは、シオンがカスタマイズした特注の馬車だったが、さすがにそれでは仰々しすぎる。かといって徒歩で向かうわけにもいかない。そこで、妥当な選択として用意されたのがこの馬車だった。
城門の前に到着すると、先にロックが降り、その後にエルが続いた。ロックは彼女がつまずかないよう、細やかに手を差し伸べてエスコートする。
すでにエルの髪は、本来の美しい金色に戻っている。朝の光を受けて、燦然と輝きを放っていた。
ただし、身に纏っているのは平凡なワンピース。首から上は絶世の美姫、首から下は一般の平民に過ぎない。そんなちぐはぐな姿に、門前の兵士たちは思わず戸惑う。
――こいつはいったい何者なのだ?と…
そもそも昨日、ロックが「やはりドレスを用意したほうがいいのではないか」と尋ねたのだ。だが、エル自身が「これでいい」と言い切った結果が、この格好である。
「えーっと、トーラスを呼んでもらえる?」
ごく普通に声をかけるエルに、若い門兵は困惑した顔を見せた。
「申し訳ございません、奥方。……トーラスとは、もしや“槍聖トーラス”殿のことでしょうか?」
「そうそう! そのトーラスよ。」
「あの……恐れ入りますが、トーラス殿とはどういったご関係で? 誰彼なくお繋ぎするわけにも参りませんので。失礼があれば本当に申し訳ないのですが……」
恐縮しながらも丁寧に言葉を紡ぐ門兵。よく教育された対応だな、とシオンは感心していた。もっとエルがちゃんとした格好をしていれば話もスムーズだっただろうが――今の状態では兵士の混乱も無理はない。
「んー……そうよね、普通そうなるわよね。関係って、なにかしら? お世話係? じぃ? ……うーん、なんだろう? 優しいおじいちゃんだったわよ?」
ちょっ!エルさん!いつもの理性的なあなたはどこへ?!それじゃ伝わらないだろ!と、シオンは心の中で叫ぶが、あえて口は挟まない。余計にややこしくなるだけだ。
「……あっ。なるほど、お孫さんでいらっしゃるのですね。ご無礼をいたしました!」
――おい!今、おじいちゃんってワードだけ拾って暴走したぞ!?
「何事だ! 騒がしい!」
低く響く声とともに、城の奥から黄金の鎧に真紅のマントを翻す美丈夫が姿を現した。陽光を受けて輝く金髪――見るからに只者ではない。
「サイラス様! トーラス殿のお孫様がいらして、トーラス殿を呼んでほしいと!」
「お祖父様を? ……誰だ、一体?」
その美丈夫――サイラスが不審そうに目を向けると。
「あら!あなた サイラスなのね! やっほー!」
軽やかに手を振ったのはエル……リシェルである。
「き、貴様! わたしを誰だと思っ……こ……っ……え?へ?エル、エルシェリア様?!」
「へ?」
門兵たちの間から、間抜けな声がもれる。
サイラスは次の瞬間、堂々と膝を折り、臣下の礼を捧げていた。
「姫……! ご帰還、心よりお待ちしておりました!」
「ふふ、相変わらず真面目ね、サイラス。7年ぶり。それにしても、大きくなったわねぇ。えーと、今年で二十歳くらいだっけ?」
「はい!そうです!覚えていただけてたのですね!望外の喜び!しかし姫……まさか、そのご格好は……」
「あー、うん。結婚して、子どももできたから。その報告と、色々ちゃんとしに戻ってきたのよ。」
「な、なんですと……?」
「もういいでしょ? 早く中に入れて。こっちは結構大変だったのよ? わかってる?」
「……ははっ! 直ちに! お前たち、王へお伝えしろ! 姫は城まで私がお連れする!」
「はっ!」
重厚な門が開き、兵士たちが慌ただしく走り出す。リシェルはさっさと馬車へと乗り込み、シオンもそれに続いた。
サイラスは何か言いたげにこちらを見ていたが、リシェルが特に気にする様子もないため、そのまま黙して彼女に従った。
ある程度までは馬車で移動し、その後はサイラスの案内で王城の中を進んでいった。途中、兵士が駆けつけてきて知らせを告げる。謁見は大広間ではなく、王族の私的な居住区で行うことになったらしい。
それにしても――おそろしく場違い感のある俺。
城内は閉鎖的というより、むしろ開放的だった。壁は少なく、外の景色がよく見える。まるで城というより宮殿に近い。防衛の観点からすれば頼りなく見えるが、魔法的な防御が施されているのであれば壁の有無など些細な問題なのだろう。
広間を抜け、さらに奥へと進む。階段をいくつか上り下りするうち、リシェルの体調が気になったが、本人はけろりと歩いている。悪阻も偏食もなく、普段通りに過ごしているからこそ、逆に心配になる。以前そのことを尋ねたら「冒険者生活の方が普通にきついこと多いわよ?」と返されたが……本当にそうなのか?!
やがて、一つの部屋の前でサイラスの足が止まった。
彼が扉を開けると、そこはまるでテラスを思わせるような開放感のある一室だった。落ち着いた雰囲気の家具が整然と並び、窓からは王都ソレイユの街並みを一望できる。遥か遠くには海までも望める、素晴らしい眺望だ。
思わず息を呑む。
朝日に照らされたソレイユの街は、宝石を散りばめたかのように美しかった。
「ただいま戻りました。お父様。お母様。」
リシェルはワンピースの端を持ち、優雅にカーテシーを披露する。
――えっと、俺はどうすりゃいいんだっけ?
そんな俺の疑問符をよそに、リシェルの父――国王は一瞬目を見開き、その表情をみるみる赤く染めていく。そして次の瞬間、憤怒に満ちた顔となった。
……まぁ、そうなるよな。娘が帰ってきたと思ったら腹が膨らんでるんだもんな。覚悟はしてた。してたけど……殴られるのは、もう仕方ないかもしれん。
「きさまぁーーーーっ!! 貴様が我が娘にぃ!!!」
「まぁまぁ。」
のんびりと宥める声を上げたのは、リシェルそっくりのお母様だった。
「お父様。私、エルシェリアは王位継承権を正式に返上いたします。」
父王の怒声を無視して、淡々と話を進めるリシェル。
……おいおい、本気かよ。
「はっ?」
呆然と声を漏らす国王に向かって、リシェルはさらに畳みかける。
「それと――結婚いたしました! お腹の子はすでに六ヶ月です。この子に継承権が及ばないよう、お願いいたしますね?」
一気にまくし立てるリシェル。国王の顔色が一瞬戻ったかと思えば、再び赤く燃え上がった。
「ふざけるなぁーーーーっ!! この馬鹿娘がぁーーーー!!!」
……うん。ロイヤルでも反応は庶民と変わらんのな。
「まあ落ち着いてください、お義父さん」なんて言ったら、火に油だろうし……ここは黙っとくしかねぇ。
「それでは、私たちはこれで――」
そう言って退席しようとするリシェル。
え?! いいのかこれで?!
「待ちなさい、エルシェリア。」
お義母様の声が、柔らかくも確かな威圧を孕んで響いた。
「はひ……」
おお……リシェルがこんな反応をするなんて珍しい。なるほど。お義父様よりお義母様の方が怖いのか。
「まずは席につきなさい。そして、あなたの伴侶となる方をきちんと紹介なさい。それから――あなたも落ち着きなさい。一度も連絡を寄こさなかった娘が無事に帰ってきたのです。まずは喜ぶべきことでしょう?」
「そ、それはそうだが……だが! その男だ! なんだそいつは?! まさか! そやつが、そやつが……っ」
「まずは落ち着いてください。これでは話になりません。」
お義母様の声音は穏やかだが、拒絶を許さぬ迫力があった。
その迫力に押され、王も、リシェルも、そして俺も、自然と席につく。
いつの間にかサイラスは席を外していて、四人だけのプライベートな空間になっていた。
リシェルの母は笑顔を崩さずに友好的だが、王様よりもずっと圧がきつい。逆に王様の方はわかりやすい。直接的な圧で来てくれる分、むしろありがたいくらいだ。
……正直、リシェルのお母様の方が圧倒的に怖い。
「それで? そろそろいいかしら? 説明してもらえる?」
「はい……えっと……彼が私の旦那です。」
ちらりとリシェルが俺を見た。――話していいのかな?
「お初にお目にかかります。ロックと申します。冒険者を生業としております。」
「冒険者……冒険者だと……」
「あなた。」
お義母様が国王の手にそっと触れる。その瞬間、王様の怒声はピタリと止まった。
「そう、冒険者なのですね。わかりました。それで――娘はあなたを旦那と申しましたが、私共は何も聞いておりません。ある程度は娘の自由を許してきましたが、これはさすがに度が過ぎましたね。」
正直、なんも言えねーーって!
お母様のおっしゃる通りすぎて反論できねぇ!
つか……すみません。ほんとはお宅の娘に隷属紋施して色々やらかしました。マジですみません……って言えるか!!!んなこと!
「さて――エルシェリアの望みは継承権の破棄でしたね。破棄にしても婚姻にしても、どちらも今は認めるわけには参りませんよ?」
「なっ?! ですがお母様。すでに私とシ……ロックは婚姻を果たしておりますし、この子もいます。今さら認めないと言われましても……!」
「ええ、そうでしょうね。ですが、今は認められません。あなたも何だかんだと言いながら、結局は関係を認められたくて戻ってきたのでしょう?そうでなければこちらに報告する必要などなかったのですから。」
……たしかにそうだ。リシェルがこの事を一生黙っていれば、誰にも分からなかった。だが、それを俺に話し、両親に会うことを望んだ。つまり、心のどこかで「認めてほしい」と思っていたに違いない。
「え?! そんなことは……」
「ないと言い切れますか?」
「う……」
ちらりとこちらを横目で見てくるリシェル。――ほんとにもう、素直じゃないんだから。
「では、どうすれば認めていただけますか?」
「なっ! 認めん認めん認めん! 認めるわけがないだろう! お前のようなどこの馬の骨とも知れぬ輩を!!!」
「あなた。黙って。」
「ひっ……」
おうさまーーー!!! 情けなさすぎやしませんか?!
「主人が失礼しました。」
静かに頭を下げる王妃様。相手が誰であれ、娘が連れてきた男として礼を尽くす……。こえぇ。こういうタイプは本気で怖い。
「いえ。」
「認めるかどうかという話ではなく、まず私はあなたのことを知りません。いくつかお話を聞いても?」
「はい。」
「先ほど娘が継承権の破棄を願い出ていましたが、あなたはそれでよろしいのですか?国の王になるチャンスですよ?」
「そうですね。ですが、私には大きすぎて抱えきれませんので、必要ありません。」
「野心はないのですか?」
「王の器にない者が王になっても、どちらも不幸なだけだと思います。」
「……わかりました。先ほど今はできないと申しましたが、正直に申しますと、あなた達が継承権を放棄してくれるのは助かります。無駄な政争を呼び込まなくて済みますからね。ですので、早速、そちらに関しては手続きしてしまいましょう。本来ならこのような簡単な話ではないのですけどね。」…
王妃が手を打つと、小さな扉からメイドが数人入ってくる。無言で食器を取り替え、菓子を並べ直すと、王妃から耳打ちされ、いくつかの書類を机に並べた。
「こちらが継承権の放棄を記した書類です。エルシェリア、こちらにサインを。」
リシェルは無言で頷くと、その内容を確かめ、自身の名前を記す。
「いいでしょう。では、あなた。ここに書いてくださいましね?」
「だめだ!わしは認めんぞ!」
「この期に及んで往生際が悪いですよ。継承権の放棄は以前からあった話でしょう。それを正式なものにするだけです。ほら、書いて。」
「だが…しかし…」と口にしながらも、渋々筆を走らせる王様。……なんかすみません。ほんと。
王のサインを確認した王妃は、書類をメイドに渡し「それを宰相に持って行き、処理するように伝えなさい」と指示を出した。
「これで継承権の破棄については心配ありません。あなたの連れてきた方が権力に興味を持たない方で、ホッとしましたよ。」
そう言って、とびきりの笑顔を浮かべる王妃。
……そりゃそうですよね。王様じゃないけど、どこの馬の骨かもわからない人間に王族を継がれるなんてごめんですよね。
「さて、それで結婚ですが。まぁ、継承権を放棄してくださるのなら、お好きになさいとしか私は言えません。二人で式は済ませたのでしょう?親としては、あなたの式を見れなかったのだけが残念ですが……あなたの選んだ相手です。間違いはないのでしょう?」
「はい!お母様!それはもう!」
「ならばよ――」
「良いわけないだろうが!!!!」
と、王様が割り込んだ。
「あなた……困ったものねぇ……」
『お祖父様!お待ち下さい!』
『ええい!うるさい!』
『今大事なお話をされているところです!』
『エルシェリア様が帰ったのだろう!!』
『ですが!』
『子を孕んでいると聞いたぞ!』
『だからといって飛び込めば無礼です!』
『無礼であろうが、忠義を尽くすのが騎士の務め!』
『エルシェリア様が望まれた方です!』
『子を成して、無理やりかもしれんだろうが!!ええい!どけ!!』
「まさか……」
「お母さま?!」
「おお!トーラスか!さすが予の忠義の臣よ!!!」
……おいおい、マジかよ。絶対エンカウントすんじゃねーか。はぁ……。槍聖だっけ?殺さずに無力化?できんのか???
「失礼仕る!!!」
重く大きな扉がズバンと開かれる。棒の先に布を巻いた槍を手に、老兵が姿を現した。先ほど会ったサイラスが必死に止めようとしているが、次の瞬間、紙くずのように簡単に吹き飛ばされる。
マジかよ……クソつえぇ……。
トーラスの目がリシェルの腹を見る。えー……膨らんでますよ?子供いますからね。そりゃ膨らみますよね。
ぐっと目頭を押さえると、トーラスがクワッと目を見開いた。
「きーさーまーかぁーーーーーー!」
ゾクリと背筋を震わす悪寒。ヤバい一撃が来る気配がビンビン伝わってくる。
まったく。
咄嗟にバルコニーの方へと飛び退く。
「かかっ!その心意気やよし!!」
……そりゃ後ろに王様がいたらやりにくいよな。俺だって巻き込むのは嫌だし。
「我が最高奥義、受けてみよ!!!――ライトニングゥゥゥゥヴァワァーーーーーーイス!!!」
驚くべき加速で残像を残しながら突き込んでくる。飛び退く前に使っていた強化がなければ反応できたかどうか怪しいレベルだ。
どうにか顕現させた円盾で槍の軌道をいなし、後方へと捌いた。
いやぁ……場所移しててよかった。あれ、刃をつけてない槍でも王様ミンチだよ?まったく……何してんだ……か?
ずごーーーーん!!
へ?壁突き破ったの?!何考えてるのあのじーさん!落ちるよ?
「へ」って顔してるじゃん。おいおいおいおい!想定外かよ!自殺まっしぐらだよ!!
アホか!
素早く鎖鎌を錬成してトーラスの足に絡ませる。壁を破ったのに衰えることのない推進力。
やばすぎんだろコレ!!
あっという間にトーラスに引きずられて壁の外側に……。バカみたいに突き進むトーラスも、やがて重力の鎖に絡め取られ、落下を始める。俺は残った手にシックルを錬成し、城壁の外側へと突き立てた。
城壁を切り裂きながらも、どうにか止まる二人。
そこに、ひょいっと突き破った壁から顔を出すリシェル。
「ちょっと、大丈夫?」
「なんとかな!おーい、じーさん大丈夫か?」
俺の問いに返事のないじーさん。
リシェルの魔法で補助を受けて這い上がってみると、じーさんはガッツリ気絶していた。
じーさんの介抱をリシェルと二人でしていると、呆然としていた三人がようやく意識を取り戻す。
「あの、お怪我は?」
「んー?多分ないと思うけど。足を掴んで落ちるの止めたようなもんだからなぁ。股関節あたり怪我してるかもしんないな。後でその辺は見てやっ……」
その返答にリシェルがコソリと耳打ちする。
「え?おれ?あ、俺への心配なのね?あー。大丈夫です。無事ですよ。かすり傷一つないのでご安心を!え?トーラスも大丈夫?回復魔法かけた?了解!えーと、トーラスさんもリシェルが回復させたので大丈夫ですって。なんで俺通訳みたいなことしてんだ?!」
「かすり傷一つ……あの……」
「サイラス、控えなさい。あなた方との時間は再度取っていただきます。まずはトーラスを連れて医務室へ行きなさい。」
「はっ!」
「主人とその臣下が誠に失礼いたしました。」
深々と頭を下げる王妃様。
「ほら、あなたも。」
「嫌だ!わしはやじゃ!!」
「あなた……」
「お前、名は何という?」
「私の名ですか?えっと、ロッ――」
「お前、嘘をついてるだろう?わしはわかるんだ。そういうのはわかるんだ。そんな相手に娘を任せられるか!!」
あー、そういうことね。……てかリシェルさん?何驚いた顔してるのよ?お宅のお父様、王様でしょ?それくらいわかるんだ、きっと。
「謀るつもりはなかったのですが、申し訳ありません。」
「ほら!やはりな!そうだと思った!で、お前は何者だ?本当に娘の婿か?どうせ雇われた傭兵か何かだろう?でなければトーラスの一撃を捌けるわけがないからな!!」
「……あなた。あなたが疑うのは勝手だけど、私はあの子の旦那だって信じるわよ?確かに名前は少しねぇ……」
「そうよ!お父様!ちゃんと私の夫よ!確かに名前は嘘ついたけど……」
「あら、やっぱり。」
「ほら見たことか!それで、名は?」
「シオン・ナイトフィードと申します。二つ名は『萬色』冒険者です。」
「ほぉー……それがお前の名か。二つ名持ちとは……ふむ。分かった。ならば海神の試練だ!!試練を受けろ!海神様がお前を認めるならわしも認めてやる!」
「はっ?!何を言ってるよ!試練に合格した人間なんて一人もいないじゃない!」
「別にわしは構わんよ?認めないだけだし。それに、ちゃんと試練を合格した人間はいる。そやつが本物ならちゃんと海神様は認めてくれる。」
「なんでそんなことまでしないといけないのよ!ダメよ、シオン!受ける必要ないから!」
興奮するリシェルを横目に見ながら王妃様が優しくこちらに言葉を向けた。
「えーと、シオンさんでしたね。あなたの意見は?」
俺が受けるか受けないかってことね。試されてるって感じするなぁ…。そりゃ、受けるけどさ。
「そうですね。条件は二つ。これを飲んでもらえるなら。」
「ちょっとシオン、やめて!私、認められなくてもいいから!」
「条件、聞きましょう。よろしいですね?あなた?」
「ああ、かまわんよ?海神の試練を受けると言うならな。なんでも申してみぃ?」
「では、遠慮なく。一つは結婚を認めてもらうこと。もう一つは王位の継承を放棄させていただくこと。」
「あら、継承放棄はもうできてるから条件に出さなくてもいいわよ?ほかに何かあるかしら?」
「えーと……なら…………式をしていただけませんか?この国の様式で」
「あら。いいの?それで。」
「ええ、リシェルが喜びそうなので。」
「あう……いいのシオン?ホントにいいの?」
「何がだよ?何か問題あるのか?」
「シオンがいいなら良いけど……分かってるの?」
「何を?」
「……増えるわよ?」
「………そういう手合い?」
「うん……私の知る限り合格者が一人もいないの…たぶん100年くらいはいないはず…。」
「わかった。嫌か?」
「負担になるのは嫌。」
「負担にならなければ?」
「…嬉しい…」
「なら、決まりだな。増えても断るだけだしな。」
「バカ。」
「ぬおおおお!ここでいちゃつきおって!見せつけてるのか!?おう!?見せつけてるのか?!?!」
「あらあらまぁまぁ。」
そんな訳で俺は海神に挑むことになった。どんの試練なのか。倒すだけで良いなら一番楽そうなんだけどな…。まっ、待ってる間はリシェルも実家でゆっくりできるだろうし、ある意味ありか?
いつも読んでいただきありがとうございます。
幸せって人それぞれあると思います。
愛されたい人に愛し続けて貰えるのも1つの幸せかなと思う反面、お互いにお互いが愛されたい人で居続ける努力って結婚した後も重要だろうなぁと思ってたりたりたり…。
この二人にはずっと幸せでいてほしいと思って書いてます。




