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スケバン郵便配達員サキ!登場!
哲朗は高校生で、彼女はいない。帰宅部で、毎日アニメや本に囲まれて過ごす、地味なやつだった。
今日も放課後、居残りで教室に残っていた。誰もいない机と椅子だけの空間で、
課題もやる気が出ず、ノートに好きな漫画をぼんやり描いていた。
のどが渇き、水筒のふたをひねった。
――ん?
哲朗はなにかに気づいた。
水筒の中を覗くと、黒髪の少女がじっとこちらを見ているではないか!
「ひ、ひぃぃぃ!? なんで水筒に……」
思わず後ずさり、机にぶつかる。手の水筒がガタガタ揺れる。
丈の長いスカート、パーマのかかったロングヘア、小さな体に鋭い目つき。
「おい!アンタ! アタシはスケバン郵便配達員サキ! 今日からよろしくな!」
「えぇぇぇぇ!? ちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!」
机の角に頭をぶつけ、哲朗は後ずさる。
「よろしくって。。」
水筒から出てきた変わった風貌の小さな存在に、ただ圧倒されるばかりだった。