表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/51

第七話 目覚めるスキル ☆

第七話 目覚めるスキル


「キスがした……」


自分の言葉に、頭が真っ白になった。


「えっ?」


サーシャが驚いたように目を丸くする。


(や、やばい!! 違う! 今のは心の声で……!!)


「あっ、いや、これは違――」


「……いいですよ」


「え?」


言い訳する前に、サーシャがぽつりと呟いた。


気のせいか、頬がさっきよりも赤く染まっている。

しっとりと濡れたピンクの瞳が、真っ直ぐに僕を見つめていた。


「わ、わたし……キスは初めてですが……」


サーシャは恥ずかしそうに指をもじもじと絡めながら、そっと目を閉じた。


(サーシャと……キスを……?)


一瞬、頭が追いつかない。

今までの人生で 女の子とキスする なんてこと、考えたこともなかったのに。


なのに、今――


サーシャの柔らかそうな唇が、目の前にある。

頬がほんのりと紅潮して、長いまつ毛が微かに震えている。


(……これ、僕も覚悟を決めるしかない……!)


心臓の鼓動が、どんどん速くなる。

喉がカラカラに乾いていく。


サーシャの顔が、ゆっくりと近づく。


僕もそっと目を閉じて……


そして――


「……んっ……ふぅ……」


「んっ、んぅ……」


唇が触れた瞬間、ビリビリと身体が痺れるような感覚が走った。


やわらかい。

温かい。

少しだけ、甘い。


「さーしゃぁ……」


「リーゾットしゃん……」


お互いに熱を帯びたまま、顔を見つめ合う。


サーシャの頬は真っ赤に染まり、息は上がり、潤んだ瞳がぼんやりと揺れていた。

ピンク色の唇はわずかに開いたまま、まだ僕の熱を求めるように震えている。


僕も……同じだ。


まだ足りない。

もっと……サーシャを感じたい。


「んっ……」


サーシャが、そっと顔を近づけてくる。

誘われるように、僕も彼女の唇へと引き寄せられた。


二度目のキスは、さっきよりも深く、熱く。


「ふぁ……んっ、ちゅ……っ、ちゅる……」


サーシャの柔らかな舌が、恐る恐る僕の唇を押し開いた。

それに応えるように、僕も舌を絡める。


「ん……っ、はぁ……リーゾットさん……もっと……」


サーシャの指が僕の服をぎゅっと握り、身体を預けてくる。

僕の腕の中で小さく震えるその温もりが、たまらなく愛おしい。


熱を帯びた吐息が、互いの唇を潤していく。


「サーシャ……っ」


思わず、彼女の腰を抱き寄せた。

すると、彼女のふくよかな胸が僕の胸板に押し当てられる。


(や、柔らか……)


服越しでもわかる、しっとりとした感触。

サーシャの甘い香りが鼻腔をくすぐる。


「ふはぁ……」


「んは……はぁ、はぁ……」


唇を離すと、銀色の糸がゆっくりと伸びた。



「はぁ……んっ、リーゾットさん……すごく、ドキドキして……」


「僕も……」


サーシャの手がそっと僕の頬に触れ、指先がかすかに震えているのがわかった。

僕はもう一度彼女の唇に触れようとした――その時。


――ビカァッ!!


身体中が熱くなり、光り始めた。


「な、なんだこれは!?」


光はすぐに収まった。


「リーゾットさん……これは?」


「わからない……とりあえず、ステータスを確認しないと」


そう思い、ギルドで支給されているギルドカードを確認する。


このカードには、プロフィールやスキルの他に、現在の状態異常も記録されている。


ギルドカードを覗き込むと、状態異常の欄は何もなかった。


「なんだったんだ……?」


そう思いながら、スキル欄に目をやる。


「……えっ?」


「リーゾットさん、どうしたんですか?」


そこに書かれていたのは——


スキル 《譲受》 《癒し》


「な……なんだこれはーーー!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ