第二十七話 みんなで引っ越し!?
「リーゾット……ダメ?」
サエルザが上目遣いでこちらを見てくる。
うう……断りづらい……。
「さ、さすがに……」
「そ、そうよ! ひとつ屋根の下で男女が暮らすなんて……破廉恥だわ!!」
スゥが顔を真っ赤にしながら、一緒に住むことを全力で否定した。
「じゃあ、サエルザ、お外で寝る?」
「それは、ダメだぁ!」
あたふたしていると、サーシャが勢いよく口を開いた。
「じゃあ、私もリーゾットさんと一緒に住みます!」
「さ、さーしゃぁ!?」
サーシャの突然の発言に、アビさんが驚愕していた。
「だって、二人がダメなら三人なら大丈夫ですよね! おとうさん、今までお世話になりました!」
「ささささ、さーしゃぁぁ!?」
深々と頭を下げるサーシャに、アビさんは魂が抜けたような顔をしている。
「じゃ、じゃあ、私も住むわ!! アンタたちだけじゃ何しでかすかわからないですもん!!」
顔だけじゃなく、耳まで真っ赤にしたスゥが、自分も住むと宣言した。
「ちょ、ちょっと待って! みんな一旦落ち着こう!!」
「大丈夫です! わたしは落ち着いています!」
「わ、わ私も! いつも通りだし!!」
……二人とも、目が怖いよ……。
「みんなと一緒、楽しみ」
サエルザは表情こそあまり変わらないが、声のトーンが少し嬉しそうに聞こえた。
ーーー
「はいはい、みんな落ち着きましょうね」
パンパン、と手を叩いて、アカネさんが場を落ち着かせる。
「「「す、すみません!」」」
僕たちは、アカネさんに謝りつつ、一旦冷静になった。
さすがアカネさん……。
そう思っていたらーー
「じゃあ、みんなでリーくんの家に引っ越すということで決定ね♪」
「えええええええええええええ!?」
「なんでそうなるんですか!?」
僕が思わず叫ぶと、アカネさんは落ち着いた様子で説明を始めた。
「だって、サエルザちゃんには泊まる場所がないでしょ? でも、男女二人きりはみんなが心配。それなら、みんなで引っ越すのが一番平和じゃない?」
「……そ、そうだな。アカネなら安心できるし、問題も起きないだろう……」
アビさん……アカネさんが一番問題を起こしそうな気がするのですが……。
「リーくんはどう? ……嫌だった?」
「びっくりはしましたが……仕方ないですよね」
まぁ、こうなったらもう流れには逆らえない。
「じゃあ、みんなで引っ越しだー!」
「「「「おーっ!!」」」」
アカネさんの号令に、みんなで頷いた。
ーーさて……どうなることやら……。