第二十五話 仲直りの姉妹 ☆
夜——
僕たちは、ミカーン農園のおじさんの厚意で 今夜は家に泊めてもらうことになった。
「いやー、お前さんらのおかげで、この農園も安心じゃな!!」
おじさんは 上機嫌でビールを煽っている。
「おじさん、何回も言ってるけど、あくまで 撃退しただけ だから、また来るかもしれないわよ?」
スゥが 注意を促す も、おじさんは 豪快に笑って さらに酒をあおった。
「ガハハハ! その時はまた、お前さんらに依頼するワイ!」
……すごいメンタルだな。
僕も このくらいポジティブでいたい ものだ。
そんなことを思いながら、僕たち 6人は食卓を囲んだ。
ミカーンを使ったシチューは 香ばしく、とろっとしていて絶品 だった。
でも、それ以上に——
「みんなで食べる晩御飯か……久しぶりだな」
おじさんの 永遠に続く武勇伝 を聞かされているスゥ。
その横で 優しく微笑むサーシャ。
サエルザの 頬についた汚れを拭いてあげるハウルザ。
それを気にせず もくもくと食べ続けるサエルザ。
—— 両親を亡くして以来、こんな温かい食卓は久しぶりだった。
その夜
コンコン
「ん? はーい」
ドアを開けると、ハウルザとサエルザ が立っていた。
「すこし、いい?」
「ダメ?」
「……いいよ、どうぞ」
二人を招き、椅子に座った。
「どうしたの?」
「アンタに お礼 と お願い があってきたの」
「お願い?」
何のことだろう? そう思っていると、ハウルザが 真剣な表情で 口を開いた。
「サエルザをパーティに入れてほしいの」
「えっ?」
「この子、世間知らずな面が多くて心配なのよ。でも、アンタたちなら……任せてもいいかなって思って」
「サエルザ、リーゾット、サーシャ、スゥと一緒にいたい」
二人は 僕に向かって深く頭を下げた。
「全然いいよ。むしろ僕らでいいの? まだまだ Dランクパーティ だけど……」
「大丈夫よ! 逆にランクが高いパーティだと 変なヤツに絡まれそうで怖いし」
「サエルザ、ここがいい」
二人の瞳には、一切の迷いがなかった。
「……分かった。明日、サーシャとスゥにも聞くけど、多分 喜んでくれる と思うよ」
「よかった〜!」
「よかった」
二人は安堵し、ほっとした表情を見せた。
話が弾む中で——
その後、僕たちは たわいのない話 を続けた。
亜人は 生まれつきスキルを持っている者が多い らしく、二人が 氷や炎の魔法を使えた理由も納得 だった。
「へぇ〜、知らないことばかりだな〜」
そう感心していると——
「……私たちもよ」
「まさかスキルって 複数持てる なんて」
「意外」
二人は 僕が複数のスキルを持っていることに驚いていた。
「あ……それは……」
「ん? どうしたの? ……まさか 変な薬とか使ってないでしょうね!?」
「ち、違う違う!! そうじゃなくて……」
ここまで来たら仕方ない——。
僕は「キスの呪い」のことを話した。
ただし、魔王のことは伏せて、マジックアイテムによる呪いということにした。
「まさか……そんなスキルがあるなんて……それに 呪い って……」
「リーゾット、かわいそう……ちゅっ」
「えっ?」
突然、サエルザが僕にキスをした。
「さささサエルザ!! な、なにしてるのよーーー!?」
「んっ……ちゅっ……今日のお礼」
「お、お礼って 他に方法があるでしょ!?」
「これが一番 喜ぶと思う。……ハウルザも する?」
「はわぁっ!? はわはわぁぁぁぁ!!」
サエルザが 上目遣いでハウルザにキスを求める。
「い、いや、無理にしなくても……」
「いいわ! やりましょう!!」
「えええええっ!?」
覚悟を決めたハウルザが 迫ってきた。
「今日のお礼もあるし、これからサエルザがお世話になるんですもん。これくらいしないとね」
「さすがお姉やん」
——ベッドに押し倒される。
「ちょ、ちょっと待って——」
「んちゅっ……はむぅ……ちゅっ……ちゅはっ……♡」
「ちゅっ……ちゅっぺ……ちゅっは……♡」
「んんっ……ちゅ、ちゅるっ……はちゅっ♡」
——3つの舌が絡み合い、淫靡な音を奏でる。
「はぁ……ちゅっ……ちゅるっ……はむっ♡」
「んっ……ちゅ、ちゅるっ……ちゅぱっ……♡」
——さすが姉妹。
舌の動きが 絶妙にシンクロ し、僕の口内を貪るように蹂躙していく。
「はぁ、はぁ……どう?」
「りーぞっと……これ、くせになる……♡」
「す、すごく……いいよ、二人とも……そろそろ……」
そう言いかけた時——
——ビカァッ!!
身体中が熱くなり、光を放った。
「わっ!? 光った!」
「リーゾット、輝く!」
驚く二人。
僕はすぐに ギルドカードを確認 した。
—— 《火炎》《氷華》
「……本当に、スキルが追加されてる……!」
「……アンタ、すごいわね……」
「リーゾット、強くなった」
二人は さらに喜んで 僕を抱きしめる。
「さて、夜も遅いし……これで……んちゅ♡」
「ちゅっ……ちゅるっ……ちゅっ♡ んぱ……♡」
「ちゅぱっ……ちゅるっ……ちゅっ、ちゅ……♡」
「申込し、お礼をしないとね♡」
「サエルザ、もっとキスしたい……♡」
「えええええええ!!??」
——夜はまだまだ続いていくのだった。