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第二十話 結成「蒼銀の悠響」


「うーん、どうしようかな?」

僕は短剣と盾を机に置いて悩んでいた。

「どうしたんですか?リーゾットさん」

不思議に思ったサーシャが尋ねてきた。

「いや、みんなでパーティを組んで何回かクエストをしたんだけど、なんかこう……自分の戦い方に違和感?不安?があってね」

基本的にはスゥが前衛、サーシャが後衛か、たまに杖を振り回して前衛もこなしていて、僕はフォローに回っているのだが、その戦い方に違和感を感じていた。

「……要は、二人はバンバンモンスターを倒しているのに、自分はフォローばかりで役に立っているか不安ってことでしょ?」

スゥが核心を突いてきた。

「う……多分そうだと思う……」

「ったく、考えすぎよ。タンク役は基本的にみんなのフォローなんだから、今のリーゾットの戦い方でも十分よ」

「そうですよ、リーゾットさんにはいつも助けてもらっています」

「ありがとう」

少しホッと胸をなで下ろした。

「ただ……」

「ただ?」

「あんたのスキルを考えると、タンクじゃもったいないのは確かよね」

確かに、僕のスキルは今は4つある。

組み合わせ次第では、前線で戦っても遜色はないのだが……。

「まあ、この辺りは何回もクエストをこなしながら確立していけばいいと思うわ」

「そうだな……」

「リーゾットさん、一緒に頑張りましょ」

二人に励まされながら、受付へ向かった。

◆◆◆

「あっ、おはようリーくん!ちょうどいいところに!」

アカネさんが僕たちを見つけて、手を振ってくれた。

「おはようございます、何かあったのですか?」

「実はね、3人にお願いしたいクエストがあってね」

そう言うとアカネさんがクエストの説明をしてくれた。

街を出て南部にあるミカーン農園の収穫を手伝ってほしいクエストらしい。

ミカーンとは黄色の丸い果物で、外は硬い皮で覆われているが、中の実は甘くて美味しい。

どうやら最近、空を飛ぶモンスターが近くにいるらしく、怖くて収穫ができないとのこと。

モンスターの詳細は不明だが、数は少ないため、今回Cランククエストとして受理されたらしい。

ちなみに報酬の他に、ミカーンを分けてくれるらしい。

「お願いできるかな?」

「どうする?」

「いいと思いますよ。ミカーンの皮をお風呂に入れると美肌効果もあるので、大賛成です!」

「そうなの!?それならやりましょう!」

二人ともノリノリだった。

「ありがとう!じゃあ受理するねっと……あっ」

「どうしたのですか?」

「そういえば、君たちパーティ名どうする?」

……あ。

そういえば決めていなかったな。

「どうしよっか……」

「そうですね、もう何回もクエストをしていますし、そろそろ決めないと」

僕とサーシャが悩んでいると——

「わ……わたしね、考えているパーティ名があるの……」

顔を赤くして、恥ずかしそうにスゥが手をあげた。

「そ、蒼銀の悠響ってどうかな……別に深い意味なんてないけど、私たちが歩いた証が、この世界にずっと響けばいいなって思っただけよ!」

「蒼銀の悠響……すごくかっこいいよ!」

「はいっ、すごいですスゥさん!いつから考えていたのですか?」

スゥはさらに真っ赤になり——

「ぼ、冒険者になるときに、いつかパーティを組んだらつけようと思っていたのよね……」

「そうだったんだ。ちなみに蒼銀って?」

「……私の髪の毛の色」

「「ふふふ」」

「わ、笑うなーーー!」

スゥは意外とロマンティックなのかもしれないな。

「では、パーティ名は蒼銀の悠響でいいかな?」

「「「はいっ!」」」

「いい名前ね〜、じゃあ今日のクエストも行ってらっしゃい!」

アカネさんに見送られながら、ギルドを出た。

「さぁ、蒼銀の悠響の初陣だー!今日も頑張ろうね!」

「はいっ!」

「ああ」

3人でクエストへ向かった。

まさか、蒼銀の悠響の初クエストがあんな大事になるなんて——

その時の僕たちは誰も知らなかった……。


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