99 あとがき
正直、十年くらい前まで文盲に近いほど、長い文章を読むのが苦手だった私は、ドラマや映画やアニメが主な楽しみでした。
【シャーロック・ホームズ】に関しても、ジェレミー・ブレット氏の演じるテレビドラマがメインだったのです。
そして昨年、テレビアニメで【憂国のモリアーティ】なる作品を拝見し、『いや、モリアーティとシャーロックは、こんなに会ってないだろう!』と感じてテレビドラマを思い出したところ、この両氏は【最後の事件】で二回程しか会っていない様に感じたのです。
(ベーカー街221Bに来た時と、滝で対決した時)
『あれっ?モリアーティって、シャーロック以外に会ってるか?』との疑問が生じ、『作中の客観的視野として、モリアーティは実在するのか?』と感じはじめたのが、本作を書きはじめた理由です。
ワトスンに関しても、シャーロックを善人としてしか見ないのは普通じゃないと感じ、実は悪事の尻尾を掴む為に否定や疑う素振りを見せなかった様に描きました。
作中でも描きましたが、ワトスンがロンドンに部屋を借りるのに、兵役恩賞だけではやっていけないし、後に医院を開く予算を捻出する為には医師の仕事を頻繁にしなくてはなりません。
同様に、シャーロックの収入源も謎です。
彼の博識を支える本や資料は、決して安くはありませんし、学生時代から科学の実験や薬学の研究をしています。これらの資材は当時、趣味で集めるには高額でしょう。
作中では、実家からの仕送りは無い様にしました。
事実、【最後の事件】ではマイクロフトから援助を受けていたので、普段から実家とは勘当状態だった可能性は否定できません。
探偵業でも、交通費や情報を金で集める事を考えれば、経費は少なく無いでしょう。
探偵での報酬では【緑柱石の宝冠】で、国の宝紛失事件の報酬として銀行頭取からで千ポンド受け取っていますが、その他の依頼解決は、もっと安い筈なのです。
【二つのシミ】でも首相からの依頼を受けていますが、銀行頭取程の報酬が出せるとは思えません。
地主などからの依頼も多々有りましたが、シャーロックの経費や浪費を賄えるとは思えないのは私だけなのでしょうか?
ワトスンの正体として描いた切り裂きジャックですが、小説【シャーロック・ホームズ】の掲載時期と【切り裂きジャック】の活動期間が、事実として重複しているので、コナン・ドイル氏が【医者】と【犯罪】を出して、絡めない筈もないと盛り込みました。
名前のジョン・H・ワトスンですが、J・H・W
をJ【|切り裂きジャック《Jack the Ripper》】・H【女嫌い】・W【|ホワイトチャペルの殺人鬼《Whitechapel Murderer》】ではないかと考えています。
最後の11話を描いてから、一話を書き始めたので、どこまでも続けられるのですが、10話でも描いた通りに、二人の関係を保つ為には、この辺で切るのが妥当だと打ち切りました。
タイトルのXXは、WとMの合成であり、悪人【X】が二人居る意味でも有りましたが、調べると【|ホワイトチャペルの殺人鬼《Whitechapel Murderer》もWMだったりしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。