第6話.position lamp
第6話.position lamp
サウルはウッドスクートを漕いで、アールヴのいる東の草原に向かう。
!?
今日は…誰も来ないはずだが…。
アールヴは不安な気持ちを抱いた…。
「おい!」
サウルは顔を歪ませながら叫ぶ。
…
…
…
「久しぶりだな…」
サウルは言葉を発した…。
「んーー…そうか?」
アールヴが答える。
そう…
サウルは転生前にアールヴの運転手の
神原 悟志だったのだ。
「なんか急に老け込んでないか?」
アールヴは言った。
「俺がこの世界に来たのは、20年前だからな、それにしてもよく分かったな!」
「そうか…、まぁでも、老けたとしても特徴はあるだろ。分かるさ。」
「てか、なんでお前は新車のままなんだ?」
「俺が転生したのは、つい4日前だからだ。」
「飛ばされた世界は同じだったが、時間軸が違ったのか…。」
「悟志はなぜサウルなんだ?」
「この世界に飛ばされた時に、言語が全く分からなかった。
自分の名前を言ったがこっちの人達にはよく聞き取れなかったらしくて、
神原=Kantola カントラ、悟志=Saul サウル となった。
で、こっちでは、サウル・カントラという名前になったんだ。」
「なるほどな。」
「アールヴ、お前はこれからどうするんだ?」
「ラノン村でお世話になるかもしれん。ラッセから聞いてないのか?」
「俺はIDカードを見て慌ててたから、それどころじゃぁなかった。」
「あはは、なるほどな。」
サウルは、20年前にこの世界に飛ばされた。
ラノン村にたどり着く5年前までは、海峡を挟んだ西の大陸にある都にいたそうだ。
それから1年が経った後、海峡を渡り、ラノン村から西に150km程にある王都に2年いた。
ウッドスクートを売りに来ていた、ラッセ爺さんと知り合って、ラノン村に移り住んだ。
そこからラッセの娘と結婚して娘を授かった。
婿養子だが本当の親子のように仲がいい。
サウルはアールヴが話しているのに、さほど驚いてはいなかったのはなぜだろうか…。
日本では、物にも魂や宿る…。そんなことが昔から言われているから…物にも心を通わせることもある…
と、いうのを心のどこかにあるから…
かもしれない…。
それと、大切に扱っていたというのもあるだろう…。
さぁ、明日は、ラノン村に行く日だ。
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