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2t(ツーティ)  作者: 内平しげ美
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第3話.passing

第3話.passing



朝になった。


夜は特段変わったことはなかった。

強いて言えば、星がきれいだったということだけだ。



今日は、確実に少女が現れるだろうと予想をしている。

もしかしたら、村人だか町人、同世代の友達、兄弟も引き連れてくる可能性もあるだろう…。


人数が増えると非常にややこしくなる。

また、大人だとこの世界のルールとか(ことわり)なんかもあるだろう…。



不安しかない…。



しばらくすると案の定、遠くの森の方から少女がこちらに向かってきた。



!?



何やら乗り物に乗っているようだ…。

認識できる距離まで来たところで、それが何か分かった。


少女が乗っているものはキックボードだった。


「○▼□*※○!!」

おそらく挨拶だろう。


「おはよう。」

私は普通に挨拶で返した。



少女のキックボードが気になってしまったので

まじまじと観察した…。


ホイールにあたる部分は木製で驚くべきことにタイヤはゴム製。

そのほかも全て木製だった。


もう少し観察してさらに驚くべき箇所を発見した。

軸受けが木製のベアリングであった…。

そういえば、木製ベアリングは、500年前にかの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチがデッサンで残していたな…。


確かに、少女がこちらに向かってくる際にかなりスムーズに走ってきていた。

このベアリングとゴム製のタイヤだからできることだったのか…。

この世界は普通に科学があると確認できた。





実は、昨晩に考えていたことがあって、それを実行しようとしていた。

少女の言葉が分からないが、全く分からないという感じでもなさそうだったからだ。


私にはナビが付いている。

ナビの言語設定を変えたらコミュニケーションが取れるのではないか?と。


早速、ナビの言語設定を変えてみる。

言語設定を変えながら「おはよう」と発してみる。


英語…これは明らかに違うか…。

イタリア語…スペイン語…ロシア語…



フィンランド語…

Hyvaa huomenta



少女の顔がハッとなった。

「Hyvaa huomenta!」

と少女も「おはよう!」と返してきた。



完全一致とはいかないが、フィンランド語に近い言語だということが分かった。



とりあえず話してみよう。

まずは自己紹介からだろうか…。


先日の通じなかった自己紹介を再度いう。

「俺は、日田自動車から発売されている2tトラック 車種名はアールヴ

CMではヒダノニトンの愛称で親しまれている。ディーゼルエンジン車だ…」



「日田、自動車??トラック?」



自動車、トラックもないのだろうから通じないのはあたりまえだろう…。


「日田という、自動車…トラック…うーん、自分で走る馬車?を作る、モノづくりの集団から生まれた。

車種…名前はアールヴ、別名ヒダノニトンだ。動力…動かしているのはディーゼルエンジンだ。」

こんなもんだろう…。


「馬車…、とは違うよね?馬いないし話せるし…。んー…、トラックという種のアールヴということね!

でも…あなたは生き物?なんで話せる?」


「そうだな、トラックという種のアールヴでいいな。

昨日の狼のような生き物ではない。物といったほうがいいだろう。君のその乗り物と同じようなもんだ。

なんで話せるのかは全く謎だ。」


「不思議なこともあるものね。

あ、自己紹介がまだだったわね、私の名前はアイラ。あそこの森にあるラノン村に住んでいるわ。」


「そうか…ところで気になったんだが、その乗り物について聞いていいか?」


「あぁ、これ?これは、ウッドスクートという乗り物よ。うちのおじいちゃんお手製なの。

王都でも人気があるのよ。」


「その、タイヤだが私とほぼ同じものかと思う。ゴム製品を作る技術があるのか?」


「ゴム??ああ、ガムのことね!ガムはラノン村で栽培しているのガムの木の樹液から作るのよ。」


なるほど、地球で言うゴムと同じか。


「それと、ホイールのベアリングだがそれも?」


「そうね、これも作っているわ、昔はガムもベアリングも質が悪かったけど、ここ15年くらいで良くなって、今は村の産業として成り立っているわ。

ウッドスクートと同様、王都から注文があるわ。これもうちのおじいちゃんが作ってるの。」


技術もそうだが、ある程度の産業も発達していることが分かった。


昼過ぎまで、アイラは私のところにいたが

家の手伝いがあるそうでラノン村に帰っていった。


アイラはまた明日私のところに来るそうだ。


対動物的な身の危険はないだろうが、ずっとこの場所にいてアイラ以外の村人に見つかりでもしたら何が起こるか分からない…。


何とかしなければ…。

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