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Cardinal Online  作者: ia
日常編
63/105

由紀との競争+赤く燃え盛る炎

「...ラァ!...ってえ!」

「といやっ、わあぁぁっ!?」


偽スケアクロウ、Ⅰ層の中央広場にて。

俺達は戦って―――いや、競い合っていた。


勿論、剣技を。

だが、此処まで由紀が強いとは思っていなかった。


その為、俺は双剣を使うことにしたのだが―――。


「...いやあ、イアも私と同じかあ。ふふっ、久しぶりだよ。こんなに楽しいのは」

「...そうか。よかったな」

「なんだよ、そんなしけた反応して。そんなの僕と遊ぶのが嫌い?」

「いや、そういうわけじゃあ...。って!そんな事を言ってる場合じゃ…」

「引っかかったなあ!やあっ!」「うおっ!?ひ、卑怯だろ、それ!?」

「ふふん、勝てばよろしいのだよ勝てば!」


―――どうやら、由紀も俺同様双剣のスキルを持っていたらしい。

俺意外に双剣のスキルを持っている者を見た事が無かったため、新鮮だった。


...俺が負けたのは、コイツが俺を動揺させたからだと信じたい。



―――



「...姉さん、僕たちも二人に挑んでみる?」

「ええ、私じゃ勝てないよ」

「むう、面白くない」

「面白くない、じゃないの!これ以上私の責任が増えたら許さないからね!」

「まあ、姉さんだったら別に許されなくても...。」


それを弓と鈴は遠くから見ていた。


この頃になると弓は発作にも似た鈴への狂愛も起こさなくなり、普通に生活できていた。

...ただし、相変わらず鈴への愛情は強く、この様な感じである。

鈴は、威亜とはナアナアな感じになってきているが、今でも威亜が心を完全に許しているのは彼女と―――氷華 斉太ぐらいしかいない。

なお、氷華 斉太と会う機会は無い為、実質鈴だけが威亜の心の内の想いを理解していたと言っても過言ではないだろう。

...その心の内の想いも、彼の知っている範囲で、だが。



―――



「ねえ、イア」

「僕たちと戦ってみません?」

俺達が戦い終わり、一息ついていたころ二人がそう言った。

しかし、鈴の顔には申し訳なさが、弓の顔には勝てるかな、という疑問が存在していたことから、弓が鈴を引きずってきたことなど容易に想像できるのだが。


しかし、俺が答える前に由紀が答えた。

「いいよ。でも―――」


「―――ボクを倒せたらねっ!!」



―――



「いやあ、二人って結構強いんだね!でも、ボクには負けちゃうんだねえ」

「う、五月蠅いッ!」

「...ちょっと悔しいかも」


軽くニヤニヤしながら二人を煽る由紀とそれに強く反応する弓、悔しさをにじませる鈴。

多少可哀想とは思うが―――。


「...ねえ」

「なんだ?」

軽く挑発めいたその言葉に、俺は反応する。


「...ボクともう一戦しない?」



―――



「...つっよいね、イア」

「まあ、あれ(・・)を交換条件に出したお前が悪いんだ」

「...ゴメンナサイ」

「......本当だったらいくらお前と言えど容赦してねえんだからな」

「ご忠告痛み入ります」

「...なんで敬語なんだよ。気持ちわりぃ」


俺は、余裕の圧勝で由紀に勝った。

それもそうだろう、由紀が、俺が負けたら銃の世界で長髪禁止だというのだ。

俺のあの世界のトレードマークなのだ、なくすわけにはいかない。


...それとも、あの髪には何か意味があって、それをなくす怒りが俺を強くさせているのだろうか。

俺には、そこのところは分からなかった。



―――



「...で、なんでこうなったんだ、鈴、弓?」

「「そ、それは...。」」


―――3日後。

俺達の競争は、大量の人によって見学されていた。


しかも、そのことを由紀に聞くと『どうやらあの子たちが集めてたみたいだよ?』と二人を指さしながら言うものだから、戦いが終わった後にこうやって二人に尋問していたわけだ。


「...二人とも何も言わないのなら、どうしようもないな。

残念だなあ、教えてくれたら優がやりたいって言っていた新しい研究の方に手が出せそうなのに...。」

「「コイツがやるって言うから!」」

「...両方なんだな?」

「「あッ...。」」


語るるに足らず、というものだ。

誘導尋問と言うのは性に合わないのだが、いまのは完璧につられた二人が自白しただけだ。

俺は悪くない。


...悪くない...よな?



―――



「...ふふふ、これが彼女らのすることか...。

ふふふ、ハハハハハ!」

その戦闘の観客に、彼はいた。


正直ここまでやるとは、というのが彼の感想だったが、この様に動かれたのなら仕方ない。

彼はもうすべての要素を持ち合わせたものでもなく、疾風のような日々も久しい。


...なら、彼は何があるのか。

そう考えた時、彼に残ったものは自らの持った計画のみだった。


なら、と彼は考えた。

なら、彼は自らの計画を大きく育てた男を尊敬し、彼の名を刻もうではないか、と。


だから、今の彼はProminenceだった。

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