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Cardinal Online  作者: ia
Gun Rebellion編
60/105

心を壊してもなお、紡ぐ思い

「...姉さんをいじめるなッ!」


ただその想いだけで敵プレイヤーを切り裂いていくのは、<Scull Alow>。

要は、弓だった。


俺達のせいで心が壊れた弓だが、鈴の関わることになるとこのように獅子奮迅の戦をする。

そして、鈴と共に―――いや、鈴を守る様にして生きているのだ。

それだけが、弓の生きる道だとでも言う様に。



―――



「大丈夫、弓?」

「...大丈夫だよ、姉さん。この肉体がいくら傷付いても現実では死なないから。

...僕だけ頼ってくれればいいんだよ」

「...弓」


弓は変わった。

いつか、俺が言った言葉だ。


―――だが、それは現実世界での話だ。

現実ではほとんど壊れてしまっている彼女が、VR世界に来ると活発になる。

それは、俺に―――俺達にはうれしい事だが、反面弓の現実での壊れ具合も俺達にとっては看過しがたい存在だ。


...それは、俺が由紀につかまっていた時に、ダグラスのみが気付いていた物だった。



「イア君、大丈夫ですか?」

一瞬何を聞かれたか分からなかったものの、ふと気づき俺は苦笑で返す。

すると、ムッとした様に頬を膨らませ、弓は言う。


「僕がそんなに変になりましたか?」

その仕草に、笑いをこらえきれずに噴き出したのは鈴だ。


「もう、姉さん。

...(可愛いんだからなあ)」

俺には弓の言葉が聞こえた。


弓に、そんな事を思う心があって、嬉しく思う。



―――



「...弓君がおかしくなってしまったか。

目標としては彼女の心を取り戻させるしかないが―――私の計画には大して支障がないな。

―――鈴君が死することが無ければ」

由紀のみが場所を知る小屋にて、氷華 斉太は今日も笑っていた。

が、その笑いは軽く憂いを帯びていた。


―――『鈴君が死することが無ければ』。

この一文が、鈴と呼ばれた威亜の恋人のような存在の命運を示唆していた、それに―――彼の計画に支障が出、彼が皆の前に出る羽目になったのだが、彼はまだそのことを知らない。


...いや、知っていたかもしれないが、彼は知ったとしても否定しただろう。

自ら生み出し、彼等の持った可能性―――それに大部分を賭けた彼の計画、『転生リインカーネーション狂皇エンペラー』。


自らの行く末すら賭けた、その計画に彼らは否応なく引きずり込まれ、変わっていく『計画』の中、彼等は何を見るのだろうか。

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