猫(大嘘)
「へえ、旦那の大舞台、ねえ。
...鈴、繋いでくれ」
「毎度、伯父さん」
「...鈴、俺に悪く影響されちまったか?」
「いや、姉さんはもともとあんな感じです。Destiny Planであの世界を作ってからは更に酷くなりましたが」
「弓、お前は変わらないんだな」
「良くも悪くも僕の変化は少ないですから」
そんな事を言いつつも、弓は心の中でこう考えていた。
(なぜダグラス伯父さんがここにいるのだろう?)
その理由が、「旦那の試合を見てみてえな...。」と言う彼が言ったその一言に集約されていることなど、弓―――スカルアロウには気付けなかった。
―――
「さて、と。なんだかんだで2時間か。残りは...7人。まあまあだな」
俺はなんだかんだで長く戦い続けてきたこともあり、疲れ果てていた。
あの荒野の後もちょくちょく俺の許には敵が現れた。
そして、その悉くは俺に、もしくは俺を狙っていたほかのプレイヤーに誤射されて倒された。
倒した数は17(+ベルとスカルアロウで19)。
それが、俺だ。
俺は、疲れていたためにステータスを開く。
そこで変わったものと言えば、プレイヤーウィンドウに倒したプレイヤーの数が書かれるようになったことだ。
残っているのは俺、氷華 斉太、スノウアレイ、往々、グロウ、グレア、そして優《<V>》だ。
その中でも特に多いのが俺と氷華 斉太で、15人以上だ。
他の者も往々と言うやつを除けば2人ほど。
...俺達の倒した数がおかしいのだろうか。
―――
「...減ったな」
俺は荒廃した土地に建ったビルに座して待っていた。
いや、狙撃点に来た者を撃てるようにして居たまま待っていたのだが。
特殊能力を利用―――いや、悪用したそのシステムで俺は左腕を指掛けたままステータスを見ていた。
どうやら近くに敵はいなさそうだが、ほかの人たちも相手がいないのなら自分で動くだろう。
そう思いながらステータスを見ていると―――。
突然、銃声が鳴り響いた。
そして、俺の身体はその反動で吹っ飛んだ。
―――
「そういえば、自動的に撃てるようにしてたな...。」
俺は、その音が自分を主因とするものだと気付くのに7秒程度を費やした。
先程も説明した様に、あれは無意識で撃てるようにしていた。
その為、俺がやったのだという自覚を持つために時間を使ったのだ。
ステータスを見ると、往々と言うやつが死んでいた。
どうやら、今引っかかったのは往々サンらしい。
それは、彼の死因である〔Iaの狙撃により死亡 順位:7位〕からも分かる。
―――
残り六人となったわけだが、突然そのうちの一人が消えた。
スノウアレイ?と読むのであろうプレイヤーは、どうやら優に接近戦を持ち込んだらしいのだが...。
―――それで優が勝ったようだった。
優は近接戦もできるのだろうか?それならば俺も負ける可能性があるかもしれない。
そうも思ったが、そのよううなことがあって堪る物か。
そうなってしまえば、俺はもう二度とVR世界には顔を出さない―――いや、出せないだろう。
そのSnow Aleyが負けた理由が、優に会いに来てそのまま倒されてしまった、と言うことなどこの段階の俺には知る由もなかった。
―――
―――某呟きサイトにて
『VR世界にもついに大会形式の試合が登場!
この熱き狙撃戦を見逃すな!』より
〔最近VRMMOをお手軽に作成できると話題のDestiny Planにて、ついにVR世界の大会が初めて開かれた。
本戦は本日開催、この機を見逃すな!
※某動画配信サービスアプリに配信中〕
・そもそもそういう世界なんて危険なんじゃないの?
↑・そもそも危険だったのは何とかナイツだけで、この世界は危険じゃありません。
後、何とかナイツに入っていた兄も無事に帰還したので、あれが危険だって言うのも多分嘘です。
↑・何言ってんだコイツ。
・もともとこんな話なんて面倒臭いだけだし、話すのもダリいわ。お休みー。
☆管理人コメントだよ♪☆
この世界の許の形は確かにDoomsday Knightsで、設定もグラフィックも似たようなものですが、それはあの世界の下位互換であるDestiny Planからドゥームデイレベルにしたのだから、危険性はありません。
このコメントからVRの安全性を広めていければと思っております。
管理人 BELL.
※この後も沢山の議論が続く
―――
「さて...全然堕ちなくなったな。
...っと!」
俺は廃ビルから離れた場所を歩いていた。
ちょくちょく俺を狙った銃弾(恐らくスナイパーライフルのもの)が飛んでくるのだが、俺には当たらない―――と言うより、そもそもとして狙撃手の腕が悪いのか分からないが、俺の近くには当たるが、それだけで特に危険性は無かった。
それでもイライラしてきて、俺は立ち止った。
そして、弾の飛んでくる方向を見ることにした。
すると、俺がいた廃ビルから飛んでくるのが見えた。
どうやら俺は割と危なかった―――いや、逆に倒せたかもしれなかったことを考えると、もったいない事をしたな、と思ったのだが―――。
不意に、その銃弾が飛んでこなくなり、不審に思った俺はステータスウィンドウを開くことにする。
すると、グロウ、と言うプレイヤーとグレア、と言うプレイヤーが死亡したようだった。
死因はそろって〔(相手の名前)による斬撃〕だった。
この世界は現実のように相打ちシステムは存在しない為、同時に斬りつけたことになる。
...まさか、あの二人ではないのだろうか。
―――ありえないと思った俺は、残り俺を含め3人の戦場で残りの二人を探しに行った。
―――この3人の組み合わせは、約5年前からずっとあったものだと気付くのは、もっと先の事である。
 




