Rebellion for Gun or Darkness waltz
【えー、お久しぶりですね、皆さま。
本日、当大会、<Rebellion for Gun>を開催いたします。
それぞれブロックごとに転移を行いますので、今暫くお待ちいただきますよう、お願いいたします】
鈴の締めの声と同時に、空に光華が咲く。
それを開始として、転移が行われた。
【じゃあ、頑張れ、威亜♪】
そんな鈴の声が聞こえたと思うと、俺はχブロックにいた。
何故かここだけは人がいないように見えた。
見える人影はあと一つ―――どこかで見たような灰人間だ。
「【また会ったな、威亜。楽しく二人で殺りあおうじゃねえか】」
「......おめえかよっ!?」
そこには、諸悪の根源に近い存在が俺に笑いかけていた。
―――
「【これを作ってくれた奴の好意に感謝だな。
存分にお前と殺し合えるなんて、素晴らしいじゃないか。
俺は今から楽しみだよ】」
「...俺は全然楽しみじゃねえよ」
「【なんだよ、反応詰まんねえな】」
「そもそも殺し合いしようなんて言ってるのがおかしいんだよ!」
「【...そうか?】」
「そうだ!くそ、鈴め...。次顔見たらどうしてやろうか...。」
【私は特別登場で出るからね、やるなら現実でよろしく】
突然の声に驚いたが...この程度で驚いていては俺の心は持たないのだ。
「ああ、戻ったら覚悟しろよ?」
鈴が軽く息をのむのが聞こえたぎり、通信は終わった。
―――
「【さて、始めるか】」
「やりたくないんだが...。」
「【まあ、俺の許された行為だ。それに、どちらが勝とうと決勝には行ける】」
コイツは脳筋だ。
決勝には行ける、その言葉がコイツの性質を表している。
...毎回思うが、俺には何故か異世界、と言う物の来訪者が接触してくるらしい。
最初はステータス面(イヴェンシアその一だろうか?)、次は独龍、そして目の前にいるイヴェンシアその二だ。
...なぜこうも俺に固執するのだろうか?
―――
暫く、斬撃の応酬が続いた。
稀に掠ることはあるのだが、それも続かず、そのうち回復すると言うことが続いた。
...【ちょっと、ほかの所もう決勝終わったよ!?】と言う、焦ったような鈴の声が聞こえたが、そんなものに気を取られては瞬殺間違いなしだ。
実際、今までよりも何段階も早く、殺気まで込められた斬撃が飛んできた。
なんとか防げたのだが、髪がバッサリと持ってかれた。
「【......!?殺気だと......!?】」
そう灰野郎が言った瞬間、俺はその首を刎ねていた。
「......俺の見た目の最たる部分なんだ、よくもやってくれたな」
《Winner:Ia》の文字が見えた時、俺達は人馬宮に転移させられていた。
―――
【えー、お疲れさまでした。
この後に一名特別登場プレイヤーがいるために、49名のバトルロワイヤルとなります。
では、この星に龍の祈りの届かんことを。Bell verio】
さすが、鈴だ。
期待させておいて落とす作戦、俺には到底使えないだろう。
...それを俺が使う羽目になるのは、氷華 斉太の所為だ。そう信じたい。
―――
「さて、私の作戦も佳境を迎えたか。
...由紀君、君もそろそろ彼に会う時だよ」
「そうかなー、斉太小父さん。ボクはとりあえずゆっくり行こうかなーって思ってるけど?」
そういう由紀と言われた少女の言葉に苦笑する男。
「優と過ごしているのだろう?私は君にあの世界でもクレジットと言う名の金を渡しているが?」
「ああ、あの人ね。...てことは、私に物理的にやってるわけ?娘の面倒を見ているから?」
「流石鋭い。私の片腕なだけある」
男の言葉に、由紀は喜ぶ。
「ふふふ、私が佑子おばさんが途中まで作ったのをやったからね。
小さいころから続けていたのが良かったよ」
そうして、二人は暗闇の中笑う。
いつまでも、いつまでも。
暗闇を廻る舞踏曲が、二人を包んでいた。
いや、二人がワルツを奏でていたのかもしれないが。




