オルトラス大陸内某所にて
今回は3人称です。
メインは優や弓となっておりますが、新キャラも名前だけは出す予定です。
「...僕に何か御用でしょうか?」
「この前は、助けてくれてありがとう。
...でも、今度会ったらあなたは敵だから。
それを覚えていて頂戴」
「はあ...。」
Gun Rebellionと言う名の、銃を主体とした世界。
そのうち、3番目に大きく、最もプレイヤーが集まり、全ての気候帯が揃った大陸、オルトラス。
そのある場所で、二人の女性プレイヤーが会話をしていた。
片方は<Scull Alow>と言う名前であり、男のような見た目と女にしては低めな声音、そして高めの背。
これらが相互に作用して中性的な印象を与える。
実は彼女が<スノウ・クラッシャー>と呼ばれる旧世代型ヘッドギアを使用し、嘗てあった《Doomsday Knights事件》と呼ばれる大規模な集団殺人兼集団監禁の被害者だった時代のアバター―――つまり、彼女の現実世界の肉体に酷似した姿を与えていたのだが、もう一人のアバター―――<〔V〕>にはそのようなことなど知り得ない物だった。
―――
「...えっ!?あなたって女だったの!?」
「ええ、そうですよ。...昔団長に間違われていたから、もしかして、とは思っていましたが...。」
「...そう。まあ、そうなのね。あと、そんな堅くなくてもいいわよ」
「そうですか。まあ、僕にとってはこれが普通ですが...。」
佐々木 弓と言う名の中性的な顔と声音を持つ少女は、溜息を付いていた。
1年と5か月ほど前にも、彼女は同じような反応をされている。
その者は、逆に女のような見た目をしている。
それに、最近は彼のある悩み―――もとい、秘密を共有している。
その人の名は、氷桜 威亜。
彼女の姉、佐々木 鈴の恋人のような存在である。
そして、もう片方の少女、氷華 優は意外、という想いを隠そうとはしなかった。
3月26日の今日、彼女は緊張しているのだ。
どんな高校なのか、楽しめるのか、と思っている為に、今の彼女は緊張している。
その中で、意外なことがあると案外プレッシャーになる物だ。
―――そんな二人が、実はすぐに会えるような関係だと言うことなど、分かるまい。
......そして、優の父親がこの物語の諸悪の根源、ひいてはキッカケになっていることなど、物語の花である彼女たちには理解できまい。
―――
「それで?何か成果はあったわけ?」
「いや、何にも。さすがのボクでもわかんないよ。私はそんなにうまいわけじゃないし!あ、成果って言う成果なら、632,000クレジット入手できたけど」
「それを成果って言わないって、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、ボク一回だけレアドロップでオークションに出したら14Gで売れたから」
「140億クレジットなんてよく出せたわね…。」
「まあ、前の優勝者だったからね。僕のおかげで勝ったのに、私から買ったなんて言わないんだから!」
「興奮すると私になってるんだよね...。」
「何か言った?」
「いや、何にも」
優はプレイヤーホームで<Snow Aley>と言う名前のプレイヤーと会話していた。
その少女は、優にとっても身近な存在だが―――今はまだ、彼女たちは未来を知らなかった。