Doomsday Knights事件ー2
何も見えない、真っ暗闇。
だが、少しづつ音が聞こえ、まだ誰もいないスポーン地点、<祈祷之洞>に俺はつく。
誰も見えないうちに移動しようとするも、どんどん数は増えていく。
βVr,の時に作った細長い体を持つプレイヤーはするすると混み始めた祈祷之洞を抜けていく。
筈だったのだが―――
「なあ、あんた!ちょっと俺に武器屋を教えてくれねえか?」
その声とともに、俺の希望は潰えた。
「―――お前の名前は?」
「<Daglass>だ。宜しく頼む」
ダグラスと名乗った巨漢は、それに似合う筋肉を持っていた。
「...で?何の武器が欲しいんだ?ものによっては俺は逃げるが?」
「ああ、俺が欲しいのはな―――」
「いらっしゃい。おや、お二人さんかい。
良い武器があるよ!ぜひ買ってみなされ!斧に片手剣、槍に盾!始まりの街の名店、<風裂亭>にようこそ!」
「「どうも...。」」
テンションの高いおばちゃんにテンション低く答える俺達。
『―――やっぱり斧が欲しいな!ほかの奴でも斧を使って前線を切り開くのが好きだったからな!』
『...なら、俺についてこい。俺が行こうとしてる場所だけが、初期金額で斧が帰る場所だからな』
『おお、有難え!頼むぜ、イアの旦那!』
『誰が旦那だよ...。まあ、いいが』
そんな事があってから、この店に来ていた。
この店には、片手剣、槍、盾、斧、刀、細剣と言った様々な装備があった。
防具がないのが欠点だが、当たらなければどうと言う事は無い精神で生きている俺としては全く問題がなかった。
俺はβの時と同じように片手剣の《アイアンソード》を購入する。
400ケイと言う破格の安さを持つため、俺はこの店で予備も買うことにしている。
それだけで初期金額の1000ケイは使い物にならなくなり、俺はさっそく片手剣を装備する。
序でに初期ジョブ(攻撃系スキルの事)を片手剣に設定する。
たったそれだけで1/1200という数値が出現する。
自分の用事が終わったため、ダグラスの方を見ると―――
「な、なあ...。
これ、どうやって買うんだ...?」
購入ウィンドウが目に入っていないようだった。
―――
「......んで、なんで俺についてくるんだよ」
「へへへ、まあいいだろ、イアの旦那?」
「まあ、良いけどよ...」
俺達は東門にいた。
第Ⅰ層中央にある町、<セントラル>。
その外界につながる4つの門の一つであり、βテスターには3時門と呼ばれ親しまれていた。
其の3時門は、山につながっている。
基本的には食用肉として売れるグトレーカウや、革が高く売れるが女性に不人気なカルカルフロッグ、それに―――クエストモンスター、<ゲルマ二ウムホーン>と言うモンスターが出るなど、金が稼ぎやすく、攻撃力が低いモンスターが多く、単調な攻撃をし、経験値が多いなど、初心者向けな西門(通称9時門)に行くのだが、あっちはプレイヤーが多く集まるため、誰もいなさそうなこちらに来たのだ。
「こっちでいいのかよ...。」
「まあ、もう一個良いところがあるんだよ」
そう。こっちには、もう一ついいところがあるのだ。
そのため、俺達はこちらに来ているのだ。