くめ納豆っておいしいよね
唐突だが、納豆の話をしよう。発酵させた大豆に醬油をかけて食べる、大豆食品と発酵食品のハイブリッドだ。
俺は、現実世界では納豆が嫌いだ。あの、箸にまとわりつくねばねばした糸。口に残る、納豆のじゃりじゃりした触感。そして、あの匂い。
全く好きになれなくて、柚依や藍理栖にはあきれられたものだ。
―――だが、それがVR世界だったら?
答えは―――
「うめえ!ここに納豆があるのが不思議だが、此処だったらいくらでも食える!店主、お代わりくれ!」
「はいよ。にしても、天使の人たちって大体この手の食品は忌避するけど...。」
「旨いから良いんだよ!」
「そうかい。よく食べて強くなって、強くなったのは私のおかげだと言ってくれれば私は万々歳だよ」
そう、この俺の反応に集結されている。
悪魔の領域から西に行くと、人族がすむ領地がある。
あの極寒の所から一転、とても暖かい。
そして、そんな気候だからこそ夜に屋台が出ている。
その一つ、〔東洋の食事処〕に俺はいた。
東洋と言うだけあって、日本食が多かった。
しかも、此処にいるいかにも屋台のおばちゃんです感を出す目の前のNPCなど、商魂たくましい発言を出していて、髪のくるくるパーマが更に日本の何処かにいる店のおばちゃん、と言う感じを禁じ得ない。
そんなところで俺は金を払い(単位はカルラとなっていたが、残額は幸いDoomsday Knightsの時に持っていたケイ数とおなじだった)、店を後にした。
その時に、俺の耳に、聞き覚えのある音が鳴る。
牛の鳴き声。
俺が、グロウからのフレンドメッセージだと気付くのに、時間はかからなかった。
『孤狼へ。
この世界にいると聞いてフレンド欄を見てみたら、通信中となっていて驚いた。
・・・俺は妖精領の風妖精族領主館に居候している。どうせなら、こっちに来てみないか?
お前の恋人を救った男、歌狼』
相変わらずの感じだな。
そう思い、俺は全力で南に位置する妖精族の領地に向かうのだった。
※急に動き過ぎたため、着地した時に軽く吐いてしまったが、納豆のせいではないと思いたい。
―――納豆を食べた時の特殊ステータス...納豆菌の力(一定時間、モンスターに襲われなくなる)




