Ⅹ市立第二中学校 or 親友以上恋人未満
今回は優と柚依、それに輝弥がメイン回です。
輝弥は、グロウの事です。
後半は3人称視点です。
「おはよう...。」
「おはよう、優ちゃん!昨日のテレビ見た?
優ちゃんってすごいよね!二週間前からある事知ってたじゃん?」
「...CMでやってたよ、柚依。しっかりとCMも見た方が良いんじゃない?」
「えっ?そうだったの!?うわー、恥ずかし...。」
「ふふふ、柚依って輝弥と付き合い始めてから抜けてないと思ったけど、最近はまた抜けてるところが出てるよね」
「...まあ、輝弥君は最近戻ってきてくれたしね。
だから、その反動を今出してるのかもなあ」
「そっか」
12月、16日。
そろそろ冬休みになるけど、皆はそれ以上に興奮している物がある。
Fall of Leviathan。あの世界で、彼等彼女等は楽しんでいるらしい。
でも、私は楽しんではいられない。父さんの手伝いが激しいからだ。
父さん曰く、「あの世界でこれが解放されれば、私は死んでしまうかもしれないな」と、冗談めいて言っていたが、あの顔は割と本気だった。
「...私はね、あの世界はおかしいと思うの。だって、なんか昔のあの世界みたいな感じでしょ?」
そう、私が事情を知りながら言うと、柚依ちゃんは首を振った。
「いや、おかしくてもいいよ。あの世界が、皆を安全に楽しくいさせてくれるもん」
「...そっ、か。まあ、そうだよね。...(何も知らないから、そんな事が言えるんだよ)」
「何か言った?」
「いや、創った人は楽しく作り変えてもらって、喜んでるんじゃないかな、ってさ」
柚依はそれでも疑わし気にいたが、突然こんなことを言った。
「じゃあさ、いつかお兄ちゃんを紹介してもいい?貴方のお父さんもあの世界に巻き込まれて、帰ってきてないんでしょ?だからさ、優ちゃんのお父さんが還ってきたら、皆でどこかで打ち上げをしたらどうかな?...まあ、その創った人も来たらいいと思うけどさ」
その創った人が父さんだとは何故か言えず、私は押し黙ることにした。
柚依は何処か遠くを見ていた。
―――
「グロウくーん...。」
「なんだい、ユイ。今日はお疲れのようだけど」
「眠いよお...。」
「そっか。そういえば、ユイの義兄...イアもこの世界にいるんだっけか?」
その問いに、ユイ―――氷桜 柚依は頷く。
「うん。義兄さんもこの世界にいるみたい。ただ、なかなか会えなくて」
残念そうにするユイ。
グロウは、軽く困ったような表情をした。
そして、何かを思いついたようにユイに話しかける。
「そうだ!俺の能力があの世界と同じで、識別コードも同じなら―――」
ユイは、そのことが思いつかなかったかのように、大きく口を開けた。
そして、それを採用し、二人はイアにある事をするのだった。