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Cardinal Online  作者: ia
Leviathan Corner(進行時間が短いのでストーリアは少な目)編
33/105

悪魔の攻勢 or 妖精の館にて+ある少女の話

俺は、またVR世界に舞い戻った。

ただそれだけなのに、俺の心はある女へと思いを馳せていた。


その少女は、俺と同じ様に『Doomsday Knights事件』に巻き込まれていた。

一度死亡し、そして復活させられたもの。そんな経験をしているのも彼女位のものだろう。


―――<Bell>。

俺がかつて出会い、俺と共に過ごし、或る時は『鉄楼団』の副団長として、そして或る時は俺と共に暮らし、俺に存在を忘れさせない、そんな少女だ。



―――

風切り音が五月蠅いと感じ、俺は目を開く。

その時に俺の人生が変わってしまったのかもしれない。

「ん?」

俺の下には―――

山脈が広がっていた。



俺の記憶が、『ここは悪魔の領域だ、早いうちに逃げた方がいい』と伝えていた。

......なぜ逃げなくてはいけないのか?




「...ん?なんでこっちに来るんだ、アイツら...。ってオイ、なんだか俺の方に向かってきてるんじゃ…。」

その俺の懸念通り、悪魔(背中に翼が生えていたため、後は敵性生命体と認識されたため)たちはこちらに向かってくる。


彼らは口々に、「俺らの領地を汚すな、天使プレイヤーども‼」や「死ね、くそども」など、色々な罵声を浴びせながら俺に向かってくる。


そんな中、俺は色々と我慢していた。

こいつらの罵声は別に気にしない。

『孤狼』と呼ばれた時代にほかのギルドの奴らに陰口を言われていたのを知っていたからだ(何故か自然と聞こえていた)。


だが、こいつらが何もしていない俺に対して、こう異常な敵対心を持っているのがおかしかった。


俺は、なんだかんだで理不尽な命令や怒りを持たれたことはない。

酷いと思ったことはあっても、それは酷いと思えるだけましだと思っていたから、そしてその場合殆ど誰も欠けることが無かったために、俺は良かったのだ。


なのに、こいつらは......!



攻撃に晒されつつ俺は怒りと共に背中にかけていた剣を取り出す。

その剣は俺の手の中で二つの剣片となった。

それを見ると、俺は無意識に双剣ツインソードのスキルを入手し、気付けば俺は叫んでいた。


「いい加減にしろ、手前らぁぁっ‼」

そう、ただその怒りに任せた一言を。




約5分後、38名の悪魔の大隊はただ一人、俺の手で全滅した。

しかし、流石に俺にも疲れが届いていた。

それもそのはず、慣れない双剣で戦ったからだ。

それにしても―――


何故、この世界であの(・・)技が使えたのだろう。




―――

「...眠いなあ」

私は今日も今日とて眠かった。

でも、眠いそぶりを見せないようにしないと、厳しいで有名な教師に怒られてしまう。

だから、私は今日も中3の冬を過ごすのだった。




「やっほー、グロウ君!今日も今日とて寒空、私の身体があったまる事はあるのかなー?」

「...俺にあっためて欲しい、そういう事だろ」

「その通り!それにしても...。」

そういって、私はグロウ君の横を見る。


「...その子誰?」

「初めまして、かな。私の名前はグレア、これからよろしく頼む」

「...ああ。そういえば、ユイはグレアを見るのが初めてだったか?」

「うん。もしかしてだけど、グロウ君の妹だったり...。」

そういうと、グロウ君はさも当然だと言うように首を振る。


そして、グレア、と名乗ったグロウ君の妹さんは喋りだした。


―――

...私は昔、ある世界にいた。

其の世界では、兄上も空も陸も川も、全てが輝いていて、私たちは満たされていた。

だが、或る時私はその世界でしばらく動けなくなった。

そして、私は兄上に助けられながら、その世界で生き抜いた。

...その後、私はある女性に助けられてこの世界で生きている、と言うわけさ。


―――

「...すごいや。私なんかよりも、何十倍も。

...その女性の許に行かせてくれないかな?」

すると、グレアは微笑んでくれた。


「ああ、勿論だ。ともに行こうではないか、彼女の許へ」



―――

私は、久しぶりに辟易していた。

何にかって?もちろん、私の父の事だ。


氷華 斉太。かつて、桜地 斉太名で世界を震撼させた男が、私の父親だった。



そして、私はある過去を持っている。

幼いころ、母さんの家で起こった、私と母さん、そして父さんしか知らない私の昏い、右手に醜い傷を残した過去。


そんな過去など、もう誰も知ろうとはしない。

私の、『昔やけどしちゃって』と言う言葉を信じているから。

だけど、同級生の女の子、...柚依?って言う名前の子はなんとなく気付いているのかもしれない。

私の過去なんて、消えてしまえばいいのに。

でも、そう考えた日の夜は、たいてい悪夢を見る。

きっと、今日も悪夢を見るのだろうと思うと、恐怖で私の体が震えた。

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