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Cardinal Online  作者: ia
Leviathan Corner(進行時間が短いのでストーリアは少な目)編
31/105

新たなる世界

ー--<ダグラス視点>ー--


途轍もなく冷え込んだ12月。

ガランガランと、お世辞にも綺麗とは言えない音には耳を向ける。


「お、旦那が来たか?」

笑みを浮かべて、旦那と呼ばれた年下の少年の幼顔を思い出すと、軽く肩が震えた。

その男の名はダグラス・ホーク・アルド。



嘗て『Doomsday Knights』と言う、狂人の作り出したゲームによって封印され、約2か月前に<Hollow Knight Blowー∀>によって一旦あの世界から消去され、また復活した時には彼は病院にて目覚めていた。


そして、此処にあるバーは彼とその妻、ライアが経営している。

彼が眠っていた間は一時休業としていた。

此処は人気のあるバーであり、また地域に根付いた喫茶店と言う面もある。

そのため、いつもの常連客としては(少しの間寂しくなるなあ...。)と思っていた。



そんな彼の店は2年もの長期休暇から明けたばかりとはいえない程に大量の人が来ていた。

常連客が友にこの店を教えたのだろう、顔なじみの者と共に来る者が多量にいた。

それが、この店が土地に根付いていることの証左と言えるだろう。



そんなこの店だが、彼は自らが〔旦那〕と呼ぶ少年も来ることが多くなったと感じた。

昼の喫茶店の時間帯に彼は来るため、序でに珈琲と卵サンドと言うちょっとした昼食も食べに来るのだ。

本来ならばまだ学校にいるような年齢なのだが、その者はまだ復帰から1月半ほどであり、そもそもとして帰還されないと思っていたため事件後約2ヶ月に退学処分となっていた。


そんな彼を軽く憐れみつつも、ダグラスはその手元に二つのソフトケースを保持していた。



ー--<イア視点>ー--


ガランガラン。全く綺麗とは言えない、小さな鐘の音が鳴る。


近所の人に、「D's Cafeと言う店を知りませんか?」と聞くと、

「ああ、あの大きな人の所だね。あそこをまっすぐ行ってーーー」

と、詳細な場所を教えてくれる。


ほんの少しだけ見た事のあるような通りを進み、何個目かの交差点を過ぎて駅が見えてきた頃合いの場所の角にあったその建物。

入口が二階にあり、一階は倉庫の様になっているようだ。

入口の階段の目の前にはネオンの様なライトの文字で〔D's Cafe〕と書いてあり、喫茶店にあるようなメニュー板が有った。


俺は此処がダグラスのいる店だと確信し、幾度も通うようになり、そして今に至る。



「いらっしゃい...旦那か!よく来たな!今日はいいものがあるんだよ!」


入るなり、突然そんな事を言うダグラス。

相変わらずの快活さと突然さだが、慣れっこな為何も言わない。


「“あの世界”と同じ様な世界があるらしくてな、紹介しようと思ったんだ」

あの世界、とはDoomsday Knightsの事だろう。

だが、あれを見るのはもうこりごりだ。藍理栖との件もある。

そのため、断ろうとも考えたのだが...。


「......仕方ねえ、これを見ろ」


その一枚の写真。恐らく、その世界の誰かがとったものだろう。


「...誰にも上れねえ滝があるらしくてな、その滝の上を取った奴らしいんだが...。」

そこには、暗灰色の見慣れた姿が。


「...氷華 斉太......。」

氷華 斉太。

それは、桜地 斉太名で作ったDoomsday Knightsの主だ。

そして、さっきの写真に写っていたのは、彼のアバター、<Blowー∀>を石化させたイメージにそっくりだった。


「...一応、確認のために行ってみる。だが、2か月いても手掛かりがないのならやめるからな」

「当たり前だ。だが、もう一個有るんだ」

「なんだ、独身貴族」

「独身じゃねえ!嫁いただろ!」


多少驚いたものの、続きを話させる。


「...ったく、相変わらず旦那はひでえなあ...。

それで、言いてえのはな...これ、二つあんだよな」

「は?」


つい間抜けな相槌が出てしまったが、俺はどうしろと言う事か、なんとなく予想が出来た。


「だからよ、...」

「...藍理栖と一緒にやれって事だろ?」

「...まあ、そうだ」


ダグラスの長口上を途中で遮り、ダグラスの意図せんとすることを汲み取る。

不服そうなダグラスに、「暇ならコーヒーをくれ」と先に楔を入れ、さっさと受け取ることにした。


そのパッケージには、滝が書いてあった。

赤い大地と文字通り案山子の見た目だったDoomsday Knightsとは対照的に、現実にもありそうな、滝のマイナスイオンを感じれた。

ー--異常に盛り上がってなければ。




「...それで、これをこうすると。Doomsday Knightsと変わらないと。

同系統とは聞いていたが、これまで一緒なんてな...。」

フォール・オブ・レヴィアタン。

水龍の大滝と呼ぶのか分からないが、そんな感じの意味を持つそのゲームは、完璧なまでにスノウ・クラッシャーに対応していた。


スノウ・ガーディアンとかいう、スノウ・クラッシャーの改悪版ともいえる物があるのだが、それは完璧にあれの下位互換なのだ。

それに対応しているということは、当然スノウ・クラッシャーも対応していた。



そして、またしばらく閉じこまれるかもしれないと思いつつも、俺はVR世界に舞い戻る。

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