<Doomsday Knight>と言うモノ
俺は悩んでいた。
それも、Ⅽ層ボスの攻略法を、戦場でである。
2040年、9月21日。
俺達は、Ⅽ層ボスのドームにいた。
そう、ドームに。
ドームとしか言いようのない見た目をしている、Ⅽ層の中心。
俺達は、その中心で機械と戦っていた。
<Doomsday Knight>。
騎士とはもはや言えない、そんな存在が目の前にいた。
「...ふう。私ですら、流石にここまで硬くなっているとは思わなかったぞ」
「知りませんよ!とりあえず、攻撃を行わず、次の硬直時間に総攻撃!残り1段です!一気に削り切りましょう!」
それに、疲れて居ながらもやる気に満ちた怒号が返る。
......それから、丸2週間がたった。
何故わかるかと言うと、ステータスウィンドウに書いていたからだ。
俺のウィンドウには、ある一つの技が載っていた。
一撃でこいつを倒すことが出来る技だ。
だが、コイツを倒すためにはすべての仲間が後ろにいる必要がある。
そのために、俺は声をかけた。
「皆!俺に、コイツを倒す方法がある!分かったら、全員後ろに行ってくれ!」
その一声でも、皆は素直に後ろに下がった。
皆は、此処までで完全に疲弊していた。
対して、機械は体力を初期値の6段目まで回復している。
だから、それに頼る事しかない、と言う物だ。
「よし!じゃあ、俺が死ぬかもしれないが、試してみる!しぬなよ!」
皆が頭に?を浮かべている頃、俺はようやく準備が整った。
「【我は、彼方の物を滅せんとする。
我の魂は、虚ろなる力を放つ。
彼方まで、その先を滅ぼさんがため―――】」
そう言って、放った技。
嘗て、その使用をある男に封印されたという禁術だが、流石にこの場合は許されるだろう。
―――その俺の言葉と共に、或る異世界の男の声が混じっていたことなど、俺含めて、誰も気づいたものはいなかった―――。
ドオォォォォンと言う音を立てて、機械は崩れる。
俺以外に立っていたのは、ベル、アリス、そして氷華 斉太。
「...ありがとう、イア君。では、私は去ろう。君のステータスには、もう一筋の線が存在するだろう」
【2040年9月22日15時24分、この時を以て世界は放たれた。私は斃されてはいないが、Ⅽ層と言う目標に辿り着いたのだから、良しとしよう。これより、全ての者のログアウトを行う。それでは―――さらばだ】
その声と共に、<Doomsday Knights>最後の戦は、幕を閉じた。




