氷華 斉太
「悪いな、イア」
「いや、良いんだ。あんたもいいんだろ?桜地 斉太」
「...さすがは―――と言う所だ。ここにいると言う事は、私をⅭ層まで自由にしてくれるのだろう?」
「...ああ」
2040年、7月15日。
今日、俺は副団長の<Blowー∀>―――こと、桜地 斉太とあっていた。
俺と照らし合わせたように同じの、銀髪。
後ろに束ねているのも同じだ。
どうやら、コイツと俺は似たようなものらしい。
「それで、だ。お前が現実に戻ったら、捕まることは分かっていないのか?」
そういうと、彼は不敵な笑みを浮かべた。
「フッ、私はそこら辺の詰めを甘く見積もるほど愚かではないのだよ」
何故か、彼が無性にイラつく。
同族嫌悪だろうか。
「...君には言っておこう。君には、後で娘が世話になる予定だからな」
何を言ってるんだ?と思う間もなく彼は続ける。
「私の本名は氷華 斉太。だから、私に罪がかぶさる事は無いさ」と。
―――
「ハア...。」
「どうしたの、イア。そんなんだとベルに怒られるわよ?」
「そうだよなあ…。...ってなんでお前がいんだよ!」
「まあ、ベルが空中戦やりたいって言うから、その代わり?」
「いや、受けたんだったら理由位分かれよ...。」
「まあ、いいでしょ。どうせ、そのうち帰ってくるし...。あ、やっぱり帰ってきた。じゃ」
「おい!?」
2040年、8月12日。もう少しで盆だが、そんなのは俺達には関係ない。
もう少し頑張れば、此処から抜け出せるのだから。
桜地―――いや、氷華 斉太から伝えられたことには、【Ⅽ層まで来たのならば、暫く羽を休める権利を平等に与えよう】と言う物もあった。
要約すると、【Ⅽ層をクリアしたのなら、この世界から暫く関係のない人生を送らせてあげよう】と言うことだ。
そのことを知っていたので、俺は行事に何も関わらなかった。