答えの導き手
「それで?イアの答えは?」
「...ベル、お前は言っていたよな。俺がお前の事しか考えられなくなる、と」
「そうだね」
「結論から言おう。お前しか考えられなくなるということは絶対にない」
ⅠⅭ層ボス、<Annihilation Knight>を討伐したものの、俺にまた憑依されてしまった。
幸い今回は乗っ取られなかったが、またもやステータスと共に首に帯が追加された。
前回、“憑依”は黒、今回の“消滅”は紫だった。
そして、俺には昔課せられた課題が残り―――そして、今に至る。
2040年の3月、まだまだ寒いこの季節だった。
「...なんで?」
悲しそうにこちらに話を振るベル。
その顔を見ると、俺の心に痛みが走る。
「...お前だけの事ばかり考えていたら、俺の命が持たない。
此処ではお前の虜になるわけにはいかないんだよ」
そういうと、顔は怒りに満ちた。
「イア」
「は、はい」
「...そっか。
まあ、それでもいいさ。でも、“ここ”ではダメなんだよね?」
流石鋭い。
ベルは、やはりベルだ。
「...ああ。ここ、ではな。だが―――現実に戻って、そこでだ。それでいいのなら、俺はお前を受け入れる」
「......。」
「ベル?」
ベルは黙ってしまったが、突然抱きついてきた。
俺は、そんなベルを好きにさせた。
大体、俺はベルに対して好意を持っているということは昔に把握していた。
だから、多少の喜びと共に止めなかったのだ。
「ねえ、イア」
「なんだ?」
「私ね、死なないように頑張るよ!」
ベルは、今日も明るい。
その明るさに、胸打たれた。
まあ、前からかもしれなかったが。