表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cardinal Online  作者: ia
Doomsday Knights編
17/105

ハロウィーンの一幕

俺は、久しぶりに何も被らずにⅩⅬⅧ層主街メインフロンティア、<グランダース>に来ていた。

此処に初めて来たときは、犬でもいるのかと思ったが、本当にこの町には犬が存在する。

それも、肉を与えると、《此処掘れワンワン》と言うスキル(地面から食物、宝箱、装備が確率で採掘できるようになるスキル)を入手できるために、俺は前一回ここに来て、そのスキルを習得して川から水を引いて畑を作り、序でにそれ以外の派生で出なさそうなEXスキル、《農耕ファーマー》を入手していた。

なんだかんだでそれを火で炙ったり、それを生で食ったり。

時には、それを撒いて魚を取ったりしている。

その二つのスキルレベルはどちらもマックスな為に、掘り出すとレアな野菜しか出ず、土地がふかふかになる。



そんな事は半ば関係なかった。

今回俺がここにいるのは、ベルに呼び出されたからだった。


2039年、10月31日の事である。




「......久しぶり、イア」

「ああ、久しぶりだな、ベル」

「案外軽いんだね」

「まあ、グロウがお前を復活させてくれたって聞いて、すごくうれしかったぞ」

「...そっか」


微笑むベル。

何故か、その顔は俺の頭から離れなくなった。



「...イア。私の事、怒ってないの?」

そう聞くベル。

まあ、答えは一つしかない。


「...生きてるのに、俺に何も伝えないで」

「...え?」

多少ビビっているようだが、俺の今までのベルへの悲しみは、その程度では収まらない。


「俺に、今まで無駄な手間をかけさせやがって」

「い、イア、ちょっと!?」



「俺の手間と時間と悲しみを返せ――――――っっっ‼‼‼」



その俺の怒りの咆哮は、一時ベルを卒倒させ、周りにいた犬が驚いていなくなり(俺は犬に好かれているのかすぐ戻ってきた)、周りにいたプレイヤーが驚いて俺の方を見ていた。




―――

「......いう事は?」

「ゴメンナサイ」

「よろしい、これ以上は俺に迷惑をかけないな?」

「...いや、いっぱいかける」

「なんでだよ」

「だって...」


「...戻ってきてよ、イア。

イアが居ないと、私おかしくなりそう」


俺は、その言葉に発狂しそうだった。

お前のせいで俺はおかしくなってたんだぞ!と言いたい心があった。


だが、どうにか堪え、俺は言う。


「...お前のせいで、俺は苦しんだ。それは分かってるだろうな?」

「...うん」

ベルがしょんぼりしている。これはまずい。


「...だから、お前が望む形にはしない」

「そんな...。」

「だが」


俺は、いつこんなに素直じゃなくなったのだろう、と思いつつも俺は言う。



「...お前が望むなら、仕方ないから戻ってやらんこともないぞ」

「...イア......!」

ベルは、感極まっているようだ。



「......イア―――ッ!」

「おい!?」


ベルは、俺の身体に腕を回してきた。

この勢いだったら、何をされるかわかったもんじゃない。

だから、何とか逃げようとあがいたのだが―――


「―――!?」

ベルは更に身体を強く抱きしめ、俺は動けなくなった。


そして、ベルは―――


「―――っ‼‼」

「...ふふ、私がこんなことしないとでも思ったのかな?」


突然、キスをしてきた。



「...いや、なんとなくそうかもしれないとは思ったが...。」

「えへへ、私ね、なんで今日にしたか分かる?」

そして、俺は日付の行事を考える。

すると、どう考えてもこれしかないと言うのが一つだけあった。



「...ハロウィーン、か?」

「そうだよ。なんでそうしたかは簡単、お菓子をくれなかったから、悪戯だよっ!」

「...悪戯にしては酷いだろ。俺は帰るぞ」

「...許せるとでも?」



「私の初めてのだから、ね?」

その笑顔には、なぜかどこまでも冷たい空気を纏ってるように見えた。



「あ、ああ...。わ、分かったぞ......。」

「へへ、有り難う!」


その顔には有無を言わせぬ力があったのを言いたかったが、言っても無駄になっただろう。

そう思ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ