真章PART13『ニュー・フロンティア』
「...さて、では深層対策会議を始める。
...議題はもちろん『深層のモンスターに対して有効なものは何か』だ。では開始しよう」
其の斉太の言葉と共に皆は話し合う。
議題はもちろん、先程斉太が語った事だが。
...だが...。
『...。』
「む?何も言わないのか?では私から語らせてもらおう。恐らくだが、この世界の材質の武器を用意しなくてはならないのだろうか、と思う。そうすれば、恐らくこの世界にも適応できるだろう。
(...そして、次の世界に行く前にはそれらを棄てるべきだろう)」
何も言わなかった俺達に、斉太はそう語る。
...後で聞こえた小さな声に関しては黙っておこう。
―――
ということで、俺達は鉄の採集に来ていた。
働き手は一人でも多い方がいいという斉太の意向で、ⅬⅩⅩⅢ層よりも上にいた―――つまり、上半分にいて生き残る事が出来たプレイヤー約1万7000人は殆どがここで採掘を行っていた。
それにしても、何故ⅬⅩⅩⅡ層までは消滅したのだろうか?
それが起こった理由が恐らくⅭ層を超えたから、という事は誰にとっても明らかだったが。
「それにしても、なんでこんなになってんだろうなあ...。」
「わかんないけど、こうやって新しい家を作るのもいいのかもね!あ、そうだ!木を切ったり、石を取ったりしてやればいいんじゃない?」
「ハイハイ、どうせこれもなくなるんだからせめてスキルを取ったりそのレベルを上げたりするぞ」
〈「はーい!」〉
数人用の小さ目な家を作りながら、俺はついぼやいてしまう。
それにしても...この家は実に温かみがある。
勿論、ⅩⅩⅩⅣ層にあった俺のプレイヤーホームよりは小さく、設備も乏しく、<砂細工>のスキルを入手して日が浅い由紀の加工では硝子も脆い。
だが、自分で作ったものだからか、それとも俺達で作り上げたものだからなのか、この家はずっとあってほしいと願ってしまうのだった。
―――
色々なものを改修したり、改築したり、創ったりしてから2か月。
遂に全体の改修が終わり、装備も皆全てが<純然たる鋼装備>になり(俺等速度を重視している奴らは革装備)、ようやく新しい世界に飛び立てるようになった。
それでいいのか分からないが、そこには新たなフロンティアと言うべきものが出来上がっていた。
<ニュークリア>。
なんて物騒な名前なんだろ、と決めた本人でもある新生<鉄楼団>団長の由紀も呟いていたがそれでも皆に支持されたものだったため、覆される事は無かった。
...そんなにサクッと決まっていいものなのか?
(ちなみに、ニュークリアは真円系のフロンティアで、大半が非戦闘プレイヤーの居住区だが一部は鍛冶などの職人が集まる場所があった)
―――
「...呆気ない」
それが、俺達皆の総意でもあった。
あれから3年。
現在、俺達はⅭⅩⅩ層にいる。
12層ごとに強い敵がいる―――筈なのだが今回は非常に弱かった。
何故なのだろうか、と訝しんでいると、何事もなく次の階層に行く為の螺旋階段が下りてきた。
最近になって知った事だが、フロンティアを一つでも作ると守護塔が作られるようになっていることに気付いた。
つまり、それぞれの階層にフロンティアが必要だという事なのだ。
「?威亜、どうしたの?」
その由紀の言葉で俺は考えを振り切ると、螺旋階段を上る。
昇り続けることになるだろうと思うが、それでもいい。
「...今行くよ、由紀」
...由紀がいるから。
これで死なれては困るが、由紀がやられるようなことはないだろう。
...それに、その頬を抓るという制裁を現実に戻ってから行わなければいけないことがあるしな。




