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Cardinal Online  作者: ia
Doomsday Knights編
10/105

Ⅰ層攻略、暁の瞬き

「...さて、と。

やっとここまでたどり着いたね。

みんなの平均レベルは14、本当ならまだlv,5くらいで来るところだから死ぬ事は無いだろうけど、念には念を入れて挑んでくれ。


―――俺達はきっと、いや絶対死なないし死ねない。

...かつぞ!」


その声に、皆は素直に受け取るか「恋人のためだろ!」とヤジを飛ばすか、だった。

まあ、俺達はその間に扉の目の前までそそくさと移動しているのだが。



Ⅰ層守護塔、最上階。

俺達は、攻略会議から約半日でここに着いていた。

俺が24階からたった一時間で<グランリッヒ>まで到着したのが異常だとよく分かるペースだ。




「じゃあ、入ろ―――ちょっと!入るのが早いぞ―――!?」


そんなことなど気にせず、「お前らの御託が長い所為だろ!」とだけ返しつつ、俺達は走る。

アイツらの平均レベルは俺達よりも低い。

また、その分フード=アリスが遅れるものだと思ったのだが―――


「いやあ、君、早いねー。

AGIに殆ど振ってる私と同じくらいってことは、結構振ってるの?」

「...!?

―――あ、ああ。そうだぞ」

「そっか。じゃあ、高速戦闘スタイル?」

「いや、どっちかと言うとそれにプラスで攻撃力もあるぞ」

「そっか。じゃあ、頑張ろっ!」「あ、ああ…。」


どうやら、彼女はスピード重視だったらしく、俺に余裕で付いてきていた。

......スピードを落としている必要はないらしい。


「わあ!相当早いね!私もちょっと限界かも―――。」

「と言いながら付いてきてるだろ!まあ、俺も結構きついが...。」



そんな事を言っている間にも敵の影は近づく。


そのモンスターの目の前に着くと、多少驚いたような顔をした牛頭の人型モンスターがいた。

所謂、ミノタウロスだろう。


たしか、本物は地下の迷宮に封印されていたはずだが...。

そんな伝説など、この世界は知らないのだろう。

桜地 斉太の怠慢に感じた。



「おー、大きいね。

......17Ⅿ位?」

「かもな」


名前とフォントが調整され、体力バー3段が見えてきた頃、やっとほかのメンバーが到着した。


「...ちょっと急ぎ過ぎじゃないかい?」

「「俺(私)はそのくらいがちょうどいいから」」

「そうか。まあ、今回は不問にするよ」

「「有り難う」」

「......君たち、息ぴったりだね」

「「そんなことない!......あ」」

「諦めな」

「「そんな...。」」



「お前のせいだぞ!」

「何言ってるの!貴方が合わせるのがいけないんじゃない!」


そして、鼻息一つ顔を背けるアリス。

そんな事をやっていると、後ろから咆哮が聞こえた。


《 Minotaurs-asterios》。

やはり、アイツはミノタウロスだったみたいだ。

そう思いながら、戦闘は開始された。




―――

中々に奴は強敵だった。

範囲攻撃+スタン攻撃は見切れるようになってきたが、最後までタックルは見切れなかった。

だが、そんな奴も数には勝てず―――いま、奴は全体と向き合う形で、倒れていた。



「...仕方ないか。

誰がとどめを刺す?」

「じゃあ、私が」

「仕方ないなあ、我が妹よ」


今回、なんだかんだで頑張っていたのはこのグレアと言う槍使いだった。


「......と言うことだ。

譲っていいか?」


その声に皆は賛成した。

ただし、俺達だけは関わるのはいやだったから、ミノタウロスを見ていたのだが。

突然、奴はどこからか斧を取り出し、皆が集まっている方に振りかぶろうとしていた。


「グレア、後ろだ!」

「兄上、何を―――」


その瞬間、グレアの視線は真っ二つに裂け―――る寸前、グロウが防いでいた。

ギャリギャリと、少しづつグロウが押されている。

グレアはようやく気付くと、グロウもろとも右に飛び出した。

だが、無傷な筈がなく―――





「......助かった、兄上」

「なんの、妹のためなら死んでみせるさ。

......誰か、回復ポーション持ってる奴は?」


そういうと、皆はその手にポーションを出した。

そして、彼女の無くなった右半身にかけると、何とか彼女は肉体を取り戻し、またHPも全快したようだった。



「......助かった。

では、次は―――」


再び、斧が投擲された。それも、5本同時に、だ。

1本は俺達の所へ、残りは―――またしても、集団の所だ。


今度は全員が回避し、勢いで俺達がとどめを刺した。



「...すまない、グレアさん。

俺のせいで最後に攻撃できなかった」

「いや、いいのだ。

私があれ以上に攻撃をしようとしていたら、命がいくつあっても足りなかった。

...兄上、私は前線から退くことにしました」

「...なんでだ?」

軽く詰問口調なグロウに対し、グレアは平然と答える。


「私の力では、生き残ることは難しいと判断いたしました。

...許してくれ、兄上」

「...お前が生きてくれるならなんだってするさ。

......いつか、屋敷を買ってやるからな」

「それで兄上に死なれては困るな」「ははは、大丈夫だよ」



皆が、そうやって和んでいる間に、俺はアリスとのチームを解除した。

一応フレンドに残しておく理由は、いつか彼女にお世話になるかもしれないからだ。

それが、すぐそこに迫っていることなど知らず―――

レアドロップ品、《星夜のコート》を装備し、俺は人知れずつぶやく。


「......またな、攻略組。

グロウ、あんたとはまた縁がありそうだ」と。

その呟きの意味を理解したのは、アリスだけだった。

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