表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

日記帳3ページで終わり

作者: 由々

 隣の部屋のベランダから、ロケット花火のパンパンと乾いた音が響く。むかし身なりも子供だった頃に母親が買ってきたロケット花火を遊んだのを想いだした。あれもベランダでやったが、当時はうるさいとしか思えなかった。


 いま聞くとだいぶ印象も違う。いまだパンパンと続いている無味乾燥な音は、その鮮明な刺激とは逆に、私の記憶をあいまいに呼び起こす。オブラートに包まれたような淡い光景が頭の中でちかちかする。そこには利己的な美化がかかっているが、少なくともいまのわたくしよりははるかに人間らしい私が、その光景の中央にいることは間違いない。


 火のついたままの花火を飲み込んで、平気で吐血できるような人間ならどれほど幸せかしれない。私は長らくのあいだ、一瞬に賭けられる人間ではないのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ