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序章2:《ロスパニ》を続けない。

私と凛の目の前にある筐体に映し出されているプロモーションビデオを見る。


《LOST SPELL PANISHMENT (ロストスペルパニッシュメント)》。通称・ロスパニ。


スタイリッシュなロゴと派手で個性的な15人の操作(プレイアブル)キャラクターが交互に表示され、激しい音楽と共に薄暗い部屋に真っ白な光を反射させている。


《ロスパニ》は真四角な画面の左右にそれぞれの選んだキャラクターが向き合い、プレイヤーがレバーとボタンを操作して一対一でキャラクターを戦わせるタイプの対戦型アクションゲーム。さっきから何度か言っている格ゲーのそれ。


西洋ファンタジーな世界観の作品なので、登場人物は剣や杖や弓で戦ったりするのが特徴。

種族も人間だけでなくシグマのような獣頭の他に、魔法で戦う精霊や火を吹いて暴れるドラゴンなんかも出てくる。

賞金が出る大きなゲーム大会などでは格ゲーのジャンルを代表したり、e-Sports(イースポーツ)の競技科目にもなったことがあったようななかったような。

そこそこ有名かつプレイヤー以外にもストーリーを追いたいファンやメディア露出も多い人気のタイトルで、先日更新された最新作で通算6本目の続編にもなる。


作品自体は私も大好きなのだ。ただ、今まで愛着を持って使っていたキャラクターが最新作にいないというだけで物凄く落ち込んで、物凄く葛藤して、なかなか意地を張ってしまっている。


「とりあえずゲーセン来たんだし、向かいの席座りなよ。遊んでるうちに他にも相性が良いキャラができるかもしれないって。僕は吉野さんに《ロスパニ》を続けて欲しいな」


「勝手なこと言ってるなあ。私もうこのゲーム辞めるってさっき決めたところなのに」


ぼやきながらも凛と向かいの席に着く。二つの筐体を挟んでいつものゲームセンターで遊ぶ姿勢になる。

財布からデータを保存しておくカードを取り出して、筐体に翳しながら百円玉を投入する。


スコン。ピロロリンッ。

コインが落ちる音に続いて画面が反応する音。


以前はあんなにわくわくする音だったのに、今は気が乗らない。こんなはずじゃなくて、凛やみんなと新作万歳が言いたかったのにな。楽しく遊びたかったのにな。


お金を入れてしまったからには後には退けない。なんとなくの時間潰が始まる。スタートボタンを押す。この筐体の真ん中にあるボタンはこんなに軽かっただろうか。

タイトル画面のロゴがホワイトアウトして、キャラクター達の顔がずらりと並ぶ選択画面へと移行した。私の推しで相棒のシグマはいない。

自動でランダム選択になる画面外にカーソルを合わせた。


もう少しだけ序章がつづきます。


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