白銀の雪景色
数年前に掲載した完結作の再投稿で改稿は一切していないので、設定や文章、挿絵に拙い部分があるかと思います。あらかじめご了承下さい。
何処までも広がる白銀の雪景色の中、齢十五の少年は佇んでいた。その青く澄んだ瞳は感情さえなく、ただ呆然と目の前に広がる血の赤を見つめていた。そこに横たわるのが、自分の両親である事を認識する事が出来ずに……。
そして、もう一人。この残酷な状況を目の当たりにしている黒いフードの男がいた。その手には黒い装丁の分厚い本が開かれた状態で収まっていたが、それはこの状況をどうにかする為の物ではない。男に哀れんでいる様子はなく、寧ろ、口が裂けるぐらいに笑っていた。
「ふははははは! ついに、俺はやったぞ!」
男は天を仰いで、両腕を広げた。
「どう……して?」
少年の囁く様な声がして、男は少年の方を見て本を懐にしまった。
「喜ぶのは“これ”が終わってからだったな」
バッと男が手を振り翳すと、少年はプツリと意識の糸を切られて倒れた。直後、少年の背中から黒い影がゆっくりと姿を現し、男は再び笑い始めた。
「はははは! さあ、我と契約を交わすのだ! 闇より出でし邪悪なる王――――」