ランタナのこと・3
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アークはすぐさまランタナの部屋へ行くと、詰め寄って問いただしました。
「皇帝に薬物を飲ませたのか?」
ランタナはニヤリと笑います。
「栄養剤を入れたワインを酌み交わしただけですわ」
「栄養剤……?酌み交わした……?薬物をワインに入れて飲ませたの間違いじゃないのか」
ランタナはアークに背を向け、窓から外を眺めます。
「わたくしが陛下に薬物を飲ませた証拠はあるのですか?」
アークは信用出来る騎士たちを集めて連れてきていました。廊下に待機していた彼らを部屋に入れると、ランタナを拘束させ、部屋の中をくまなく探すように指示をします。すると、枕の中から薬物が見つかりました。
それでもランタナは余裕の笑みを漏らします。
「それを陛下に飲ませた証拠はあるのでしょうか?今わたくしを捕らえるのは得策ではありませんよ。この胎の中には陛下のお子を授かっているのですから」
「皇帝の子だと……?」
驚くアークにランタナは冷笑を浮かべ、首を横に傾けると、猫なで声を出しました。
「はい。そうです。アーク皇子がわたくしとの夫婦の努めを怠るので、陛下がご慈悲をたまわってくださり、なぐさめてくださったのです」
してやったりと言わんばかりの笑顔にアークは冷ややかな視線を送ります。
ランタナは己が性悪であることを楽しむ女でした。




