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ランタナのこと・1

○●○1○●○


 アークが皇帝に即位する前に話は巻き戻ります。


 ジルバ王国の王族は、ムール帝国とは違い、昔から魔王や魔族、魔力の存在を信じており、それに関する書籍や知識も豊富でした。


 黒髪が人間と魔族の混血であると知っているランタナは、いずれ帝国を牛耳るのはアークであるという確信を持っていました。故にアークの正室の座を欲したのです。


 それに加え、今生において、兄であるシャルミンから過去世のことや、魔王との契約のことなど全てを聞かされていました。その協力もするつもりでした。


 ランタナは目論見通りアークと結婚しますが、ランタナと一緒に住むはずの夫婦用の部屋に、アークが行くことはありませんでした。


 今までのアークは、どんなに理不尽な規則でも、帝国の規則は全て守ってきました。しかし、イベリスに裏切られたと誤解した日から、まるで人が変わったかのように傍若無人に振る舞うことが増え、自らが納得しない規則などは平気で破るようになります。


 アークが自室に使っている客室の前でランタナは仁王立ちをして、皇室の用事からアークが帰ってくるのを待っていました。護衛騎士に囲まれて廊下を歩くアークと目が合うなり、辞儀をして言います。

「皇子殿下。貴方様の部屋はこちらではありません。どうかご自分の部屋にお戻りくださいませ」


 アークは鼻で笑います。

「そんなことを言うためにわざわざここで待っていたのか。第二皇子の俺の正室にするという契約は守った。それ以上は無い」


 ランタナは薄笑いを浮かべます。

「夫婦とは寝屋を共にするものでしょう?」


「共にしない夫婦もいる。お前には正室という役職を与えた。それで終了だ。だが、確かにそろそろ自分の宮殿に戻ろうと思っていたところだ」


 アークはそう言うと、ランタナに背をむけ、再築したばかりのオニキス宮殿へと足早に向かいました。


 ランタナは薄笑いを浮かべたまま、その背中を見送りました。

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