⑨シャルミンの回想・3
○●○3○●○
地下牢は楼の火のみが頼りの薄暗く、かび臭い場所だった。
冷たく硬い、ノミキリの凸凹した敷石に俺は腰を下ろし、ヒザを立て、どうやって脱走するかについて考えていた。
牢番の兵は1人しかいない。鍵は腰にぶら下げている。どうにか出来ないか?
そのとき階段のほうから複数人の足音が響いた。足音が近づいてくると、牢番とは別の兵を筆頭に、2人の男が姿を現し、彼らは俺の居る牢の前で立ち止まった。
中年で肉付きが良く、いかにも動きが鈍そうな兵の胸には星が3つ付いており、お偉いさんだということが分かった。その後ろにいる2人のうち1人は背広を着ており、金持ちっぽい感じで、もう1人は大柄でガタイが良く、白シャツを腕まくりしており、用心棒であることが推測できた。
お偉いさんの兵が両手を後ろに組んだ格好で俺に話しかけた。
「お前の雇い主がまだ子どもだから許すと言っている。感謝しろ」
そう言い終えると、牢番の兵が牢屋の鍵を開けた。
訳が分からなかった。
俺には雇い主なんていないし、2人とも知らない男だ。
けど、牢から出られるのは好都合だった。俺は黙って言う通りにした。




