表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/99

⑨シャルミンの回想・1

○●○1○●○


 1度目の人生のとき、イベリスはたしかにアークを嫌っていた。そして離婚をしたいが為に、アークと皇太子妃リリアンとの浮気をでっち上げようとして失敗し、逆に自分が投獄の末、処刑される羽目になってしまっていた。あんなことになるくらいなら、俺がキミをさらっていれば良かったと後悔した。


 後悔を取り戻すべく、俺は生涯をかけて魔王を探し出し、魔力とメビウスの涙という魔石を手に入れることに成功した。


 メビウスの涙という名の、青いガラス玉のようなその石は、輪廻転生、全宇宙をどれだけ巡り巡ろうと、必ず想い人と自身を引き寄せるといったものだ。


 そしてそれらをもらう代わりに魔王と契約を結んだ。


「もし願いが成就したその暁には、我が娘マーガレットと皇帝の心を切り離し、ムール帝国の宮廷から連れ戻してほしい」


 魔王の見た目は一見普通の人間と変わらない。そして魔王を含む魔族は成人すれば歳をとらなくなる。

俺は玉座に座る少年のような魔王の端正な顔を見上げながら言った。


「ああ。承知した。〝願いが成就した暁には″な。ただ、素朴な疑問がある。あんた同様、娘も永遠に生きるんだろ?だったら、そんなことしなくても皇帝は年老いてやがて死ぬ。待てばいいだけの話じゃないか」


 魔王は終始青白く無表情だった。

 生気のないその顔を俺に向けながらゆっくりとした口調で答えた。


「皇帝の身は滅んでもマーガレットの心の中で生き続けるのが耐えられんのだ。皇帝が生きている間に愛を切り裂いておく必要がある」


 父親が娘に恋愛感情を抱くだなんて、気持ち悪いにも程があるが、俺はイベリスさえこの手に戻ってこればそれでよかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ