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⑤戸惑うイベリス・1

○●○1○●○


 イリアムは私たち妹をとても可愛がってくれる。


「国境から帰ってくる途中、イベリスに似合いそうなものがあったから買ってきたぞ!」

 そう言いながら両手一杯に沢山の箱を抱えて家族と共に見舞いにやって来た。


 地球に居たときは一人っ子だったから、兄妹がいるのがかなり嬉しくて新鮮だ。


「ずるーい」

「アナベルのは?」

「家であげただろ?もっと欲しいのか?」


 アナベルとデイジーによじ登られたり、髪を引っ張られたりしながらも、イリアムは嬉しそうに2人の相手をしている。私はそんな光景を見るのが好きだ。


 この日からイリアムを私の護衛騎士として側に置いてくれたアークには感謝しかなかった。


 しかしながら、その翌朝から戸惑う事件が連発することになる。


 心地よくいつものように眠っていると、誰かが優しく肩を揺すりながら「起きろ。イベリス。飯を食うぞ」と呼びかけている。誰?イリアム?そう思いながら目を開けると、そこにあったのは、アークの姿だった。


 驚きのあまり目を見開き、寝たままの姿勢で硬直していた。

 え?あんなに私を起こすの嫌がってたのに……てか、ご飯も一緒に食べるの嫌がってたよね……?


 アークは当たり前のように私に喋りかけている。

「今朝はお前の好きなものばかりを用意させた。火傷で手が痛むだろうから俺が食わせてやる。行くぞ」

 そう言うと、私をお姫様抱っこで抱き上げて丸テーブル前の椅子に座らせた。

 え?!何が起きてるの??!


「何から食いたい?」

「え……?」


 呆然とする私に問いかけるアークは優しく微笑みかけている。未だかつて無く彼は私に心を開いてくれているのだ。それは分かる。無下にしてはいけない。私は笑顔をつくった。


「ああ……えっと、サラダかな……」

「分かった」


 アークは器用にレタスを一口サイズに丸めると、私の口へ運んだ。私はそれをパクリと口に入れた。うう。恥ずかしい……。

 

「次は何がいい?」

「え……?あ……えっと……どれでもいいかな……アークが選んで」

 そう言うと、アークはバランス良くちょうど良い早さでちょうど良い順番に私の口に食べ物を運び、私は鳥の雛のようにパクパクとそれらを口に入れていった。


 恥ずかしくて死にそうな私と相反し、アークはとても嬉しそうである。


「うまいか?」

 キラキラとしたイケメンな笑顔で聞くアークに私は思わず見とれてしまい、けれどもすぐに12歳児に何ときめいてるんだと我に返り「ええ」と首を縦にふった。


 一体何がどうなっているのか?分からないまま、その日からアークは毎日私の好きなものばかりをコックに作らせ、両手の火傷が治るまで食べさせてくれた。


 そして数日が経ち、すっかり火傷や傷が治り、普通の生活が出来るようになると、事件がもう一つ起きた。


「スイーツ店に連れてってやる」

「エッ?」


 朝食を食べている最中にアークは突然そう言った。1回目の人生を含め、アークと食事に出かけたことなど1度もない。てか、スイーツ、私は好きだけど、アーク甘いの好きじゃないよね?まさか私のため?それともスイーツ店に何か用事があるとか?

 

 ともあれ、初デート(?)に連れ出された私は、超人気のスイーツ店が貸し切りだったことに皇族はやりたい放題だなと思いつつ、せっかくなので遠慮なく頂いた。


「うまいか?」

「あ、うん。ありがとう」

「どんどん食え」


 次から次へとスイーツを注文するアークの後ろにいるイリアムと目が合うと、ニッコリと微笑みながらも何やらソワソワとしているのが気になった。


 トイレ我慢してるのかな?


 イリアムの性癖をすっかり忘れていた私はそれくらいに流してしまった。そして第三の事件が勃発する。


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