食事
「着いたわよ。ってなんで寝てるのよ!」
「·····う、ん。ああ、おはようマナ」
「おはようリオン。てなんで寝てるのよ!聞いてるのはこっち!」
「馬車の揺れが心地よくてな。つい寝ちまった」
「あなたが寝過ごしたせいで出発が遅れてこんな時間になったのにまだ寝るの?」
「その件はごめんて。ベットが思ったより寝やすくてさ。それに俺は朝が苦手なんだよ」
俺はいつも深夜に寝て、11時頃に起きてるオタクみたいな生活をしていた。夜に寝ようとしても寝られず、朝早く起きようとしても起きられず、小中高の時はいっつも遅刻ギリギリだった。
「それよりも、もう着くのか?」
「ええ。て言っても王城ではなく王都にだけど」
俺はこの世界に来て始めてみる街が気になって窓から顔を出した。
「おお!」
街は日本の街とは大違いで、まず見えたのが大きな壁だった。それが街を囲うようにぐるっと一周している。
そんな俺の姿を見て
「ふふん。どう?凄いでしょ?ミルド王国の王都ミルディは。て、あなたSランク冒険者なんだから城壁ぐらい何回も見たでしょ?」
「ん?ああ、他のも見た事はあるが、どれもこれも現実味がなかったていうか」
「現実味がなかった?変なことを言うのね。どれもこれも全て現実よ」
「ああ、そうだな」
俺は正直今までゲームの中だと思っていた。脳は現実だと分かっていても、まだゲームの中の世界だと思い込んでいた。しかしこの城壁のリアルさSMGとはどこか違うリアルさにここは現実なんだな。と再確認できた
「そうか、この世界は現実なのか」
「???」
「さて、早速向かうか」
俺はそのまま馬車を降りようとした
「何してんのよ。王城まで馬車に乗っていくのよ」
「ん?そうなのか?」
「でっか!!これが城か」
俺は今城を目の前にしていた。形は洋風の城でゲームで見かけたようなやつだが、大きさが桁違いだった。
「ふふん。凄いでしょ。ミルド王国の1番の場所よ」
「ああ、本当に凄い」
「リオンもマナも早く城に入るぞ」
「ああ」
「はい」
「この料理はなんて言うんだ?」
「この料理はキングベアの肉を煮込んだものだ」
俺は今ルイスと王妃のサナとマナ、レナ。そして第1王子で王太子のルーカス、第1王女のナナと食事している。
「ねえ、リオンさん。あなたはどこから来たの?」
その一言で場が凍った。全員が意識して聞かないようにしていた言葉が出てしまった。どうやってその若さでその力を手に入れたのか?その異質な魔法はどうしたのか?確実にリオンの出生が関わっているとリオンを除いた全員が理解していた。こんな力はどれだけの努力、研鑽を積めば手に入るのか。考えたくもないし、もしあったとしても思い出したくもないだろう
「俺の来た場所か?」
凍った空気の中その言葉はよく聞こえた。
「うーん。説明が難しいな。この常識が全く通らないぐらい遠くから来たとしか言えないかな」
「そ、それじゃあ。どうやって、その力を手に入れたの?」
「マナ!!」
「だ、だって気になるじゃない」
「俺の力か?別に大したもんじゃないぞ。スキルをとことん鍛えるだけだからな。レベルも上げ続ければ強くなるよ」
「それだけであんた程強くなったら苦労しないわよ」
「それでも俺はそれしか言えないからなあ。なんでこんなこと聞くんだ?」
「私はこんなんでも学園の首席なのよ。でも盗賊相手には全く通用しなかった。レナを守ることが出来なかった。だから!私は自分をレナを守る力が欲しいの!」
「だったら頑張ればいいじゃん」
「は?」
「レナが守れないんだったら守れる力を手に入れればいい。でも力は天から降ってくるわけでも誰かがくれるものじゃない。自分で頑張んないと絶対に力は手に入らないからな」
俺はここで1度息を吸い
「それにレナだって弱くないだろ?それにレナを守りながら戦うより2人で協力して戦った方が確実だろ?」
「·······うん。」
「それに依頼すれば、俺がまとめて護ってやるのさ」
「「「「「「え??」」」」」」
「依頼は依頼だからな。報酬くれればやるさ」
「しかし、そんなことでSランクに依頼してたらSランクの威厳とかが無くなるのでは?」
「俺が威厳とか考えるやつだと思うか?俺は威厳や権力には興味もないし、それよりも俺は実力や実利を選ぶよ。まあ、その依頼も皇女お迎えの依頼が終わったらだけどな」