貴族との出会い&初対人戦
???視点
ブシュッ!グアアアァァ!ボカン!
また1人、また1人と護衛が倒れていく。相手はこちらの倍以上の数がいるのでそれは当然だ。私達も必死に応戦しているが焼石に水で、護衛が減る速度が変わることはない。
ボカン!
今の魔法でまた護衛が1人倒れた。護衛の数は既に10人を切り、当初居た人数の3分の1以下になっている。まさか雇った冒険者が盗賊と繋がっているなんて····。流石にお父様も予測できなかったみたいだ
誰が、誰が!私達を襲うの?既に人数も7人に、私達を含めても10人にしかならない。私達がいくら魔法が使えても、学園で優秀でも今は何の役にも立たない。生まれてきてここまで力を渇望したことは無い。学園ではトップの成績をとり、家でも学園でも期待された私が下賎な盗賊にこの有様だ。たった1人の妹も守れないような不甲斐ない姉。
しかし無慈悲にと時間が進んでいき、盗賊も余裕が出てきているのか数人が私達の方に寄ってくる。
私は恐怖で声が出せなかった。盗賊たちの目が、手つきが、顔が、全てが怖かった。ドラゴンに睨まれたスライムのようにその場を1歩として歩くことを許されず、盗賊が迫ってくる。私は恐怖で目をつぶった
ああ。初めては好きな人が良かったな。
私は、既に終わりと思いながらも、何処か諦め切れない気持ちで祈った
誰か!助けて!!
「【ダークボール】」
恐怖と静寂に包まれているこの場で、その男の声はよく通った。しかし、私は信じきれていなかった。
この男も、冒険者と同じで私達を捕まえるのではないか。
と、そして、突然訪れる浮遊感。流石に驚き目を開けると、私は抱えられていた。いや正確には抱きかかえられていた。俗に言う『お姫様抱っこ』と言うやつだろう。私の心を支配していた恐怖がゆっくりとだが確実に剥がれていくのが分かった。
この男の人は普通の人と違うな
私は直感でそう思った。
しかし私は妹のことを思い出し
「あの、私の妹も、えっと助けてくれると···」
「妹か?ならそこで寝ている女の子でいいのかな?」
その男、いや彼が指さした方向に目を向けると、そこには私の妹が死んだかのように倒れていた。しかし胸が上下していることから起きていることが分かる。
「ほっ」
ほっとして声が漏れた。そして気づいたら目をつぶり睡魔が襲ってくる。ここで寝てはいけないと思いつつも、どこか安心して寝てしまいたい自分がいる
「眠いのなら寝ていいぞ。後のことは俺が片付けておくから」
彼は私のことを知っているかのように言ってきた。その通りだが。そしてその言葉は初対面なのに安心できる言葉だった。そして私は眠りについていた
リオン視点
俺は音だけを頼りにその場へと向かった。
俺が着いた頃には既に一方的な戦いとなっていた。いや戦いと形容できないようなほど一方的だった。鎧をまとっている側。恐らくだが兵士か騎士?が盗賊?に囲まれてボコられている。そして馬車側は女の人、こっちは豪華な服を着ていることから貴族か金持ちの娘さんだと思う。その2人が盗賊達に捕まろうとしている。俺は咄嗟に体が動いた。
今回は盗賊全員に当てられるように全員が直線上になる位置から撃った
「【ダークボール】」
、、
俺が言うと。ダークボールが6個出て、全てが盗賊1人1人を飲み込んで消えた。
「·······」
想定外のこと(2回目)に黙らざるを得なかった。確かに女神も『考えるだけ』とは言っていたが、数も調整できるなんて···SMGでは詠唱の工夫で補えていたが、想像だけでできるなんて·····チートスギルノモイイトコダナ。
とりあえず俺は2人の令嬢?を馬車の近くへ運び、結界を張れるように念じると2人を囲う結界が現れる。今度は1人ずつ囲う結界を思い浮かべると、結界が形を変える。結界は光のベールのような感じなので、光魔法かな?
そして俺は女の子に宣言した通りこの状況を何とかしなければならない。
俺は数を使った集団戦術で攻めることにした。
ここは森だから木を使った方法がいいだろう。
「【ウッドスネーク】」
俺が言うと生えていた木に突如として自我が芽生えたように人を襲い出した。しかし食べるとかではなく、巻きついて捕まえていた。
スネークじゃなくてウィップでも良かったが、自動で拘束して欲しいから自我があるスネークにした。
突如として捕まったことに盗賊だけではなく騎士も驚いた
「とりあえず護衛の拘束は解いて、盗賊の拘束はつけとく。だから後は煮るなり、焼くなり、殺るなり勝手にしとけよ」
そう言って護衛だと思う側の拘束を外す。これで間違っていたら俺が責任もって責任を取ればいいだけの話だ。
幸いにも護衛と盗賊を間違えることはなかったようだ。
「ま、待ってくれ!俺は護衛として雇われた冒険者なんだ!だから俺も解放してくれ」
「リーダー?!ちょ、ちょっと待ってください!私も護衛の冒険者よ。もし解放してくれたら、私の体を一日中すきにしていいわよ?」
「お前たちは黙ってろ!兄貴!こいつらは嘘を着いています!本当は俺だけが雇われた冒険者なんだ!ほら、ここに」
そうして示したカードには銀色の文字でAランク。そう書かれていた
「それは冒険者ギルドのカードか?なら俺も持ってるぞ」
そう言って【ストレージ】の中から取り出す理音
そこには金色の文字でSランク。そう書かれていた
「まさか、Sランクだったなんて···」
さっきまで突っかかってきたリーダーと呼ばれる男は俺のカードを見て愕然とし、力なく項垂れた。
「これがSランクの実力」
後ろでは護衛達が俺の実力に戦慄?しているように見える。
「なら後は頑張れ!俺は邪魔者だろうし、消えるわ」
そう言って消えようとする理音
しかしその手首を掴む手が。その手の先を見ると····