6.蜘蛛の糸。希望があるだけ幸せだ。
暗い天井からこれまた暗い床へとだらりと降り立とうとする蜘蛛。
パクっ。
皆さんこん○○は。俺です。ムシャムシャ。
パン食い競争が在るならスパイダー食い競争が合っても良いよね。(絶望)
今はとにかくタンパク源が必要なのです。
何故なら、脚だけマリオネット作戦が失敗したのです。いや、失敗したと言うよりも実行出来なかった訳です。アハハハ。
妙なセリフ回ししてみたもののあれもフラグとして回収されたようですわ。イヒヒヒヒ。
それと、一つ分かったことがありまーす。
MIN:6
バリッバリッの精神状態依存で有ることが判明しましたー。自我崩壊中。
「ふぅ……」
ため息つくと幸せが逃げると言うが元から幸せが無いと思えば、かなり有用だと実感した。ほんの一息吐き出すだけで落ち着く。
自律神経を調える手段として手にした最良の手段では無いだろうか。何せ元手が要らない。MIN:12
奴等が何をしているのか大まかにではあるが把握出来た。
人の力を奪う為の儀式、身体中に施された紋様はその印のようだ。
一定水準の魔力を保持し続ける事が出来た者への褒美が他人の力だ。ただその褒賞としてバラバラに切り分けられる。
脚だけマリオネット作戦をどの様に活かすか温めたままでいた俺。
その成功率を少しでも高めようと意識のあるうちは常にそれに費やしていたのだが、立ち上がる事が出来なかったのだ。
両足に刻まれた絶望とでも記されたかのような黒い紋様を目にした時に全ての興味を失った。
やり直しの利くものであれば既にその機を逃がした事を後悔し、次こそはと決意を新たにしたのかも知れない。
その機は再び訪れるのかも知れないが、もう術はない。希望は絶たれた。
何も無い空間で狂ったように突然笑いだしたりしていた頃の方が人としてまともだったのかも知れない。
そうなろうと思ったわけでは無かったが、石礫のように何も考えず、動きもせず、鉱物と生物の間の存在になりかけた時、生物としての根源的な欲求に襲われた。
腹減った。と。
俺は究極生命体では無かったのだ。
夢遊病のように気付かぬうちに移動を繰り返して居たようだったのだが、食欲を感じた時には一処に長いこと居たようだった。
そして、もう一つ重要な事に気付くと同時に、これまで溜めこんだヘイトなんて滓とも思える怒りに包まれた。
女神はもう一つの約束も守っていた。
任された彼――を見付けた。
ただ、彼は俺以上に酷い有り様だった。
俺が受けるべき痛みや苦しみを代わりに受けていたのだ。
何故もっと早く見付けることが出来なかったのかと自分自身を責めたが、直ぐに気を取り直し、自分が彼に出来る事であればその全てを実行しようと思った。直ぐに。
幸いにもお互いに時間だけはあった。
文字どころか言葉さえも覚束無い彼は教えた事は直ぐに吸収する。渇いた大地に水滴を落としたと言う表現では足りない程だ。
より的確な度合いを表現するなら、ハイポリマーな化学繊維と青い水だ。瞬間的に吸収し、確実に蓄えるアレだ。
彼のステータスは
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HP: 4
STR: 8
VIT: 2
DEF: 2
DEX: 5
AGI: 5
INT: 1
MIN: 10
MAG: 女神の祝福
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数値化できていないMAGは女神のいった通りなのだろう。
そして彼の状態とINTの値から知性であると判断したのは間違い無かった。
今ではその低かった知性も12まで上がり、身ぶり手振りなしで意志の疎通が成立する。
死なない程度に生かされている身として虚弱な体質のままではあるが、着実に力を付けてきた。
腐りかけとどころか、腐っているスープを飲み干し、地を這いずる虫さえも口にした。
お互いの魔力と魔力制御のお陰で内臓がヤられると言うことは無かったが、前回奪われた力と共に味覚を失った事もあって、自らの糧に成るならばどんなものへでも喰らい付いた。味しないし。
互いに名乗る名前も無いまま2年は費やしたと思う。
この暗がりの中でも、あの怒りの火は消えることなく燻り続けた。
俺の心の奥底で渦巻く憎悪と混じり合って沸々と。
文体変わるのをステータスのせいにするスタイル。