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4.可能性……除け者。

 もぐもぐ。

 

 少し堅さの残る何かを咀嚼する。因みに味はない。

 

 今、川海老の天ぷらを食べる夢を見てる。

 

 歯の隙間に詰まった川海老の脚を取るところからスタートしたのは残念だ。

 

 見た目を楽しむ間も無く、籠城という名の無駄な抵抗を見せたその脚も舌の先の感覚が無くなる頃には何とかなった。



 舌の動きが夢の中では思い通りにならず大変難儀した以上に、コレでは秘技【口の中でチェリーの蔕結び】を披露できそうにないと心配になった。チェリーの頃から必死に特訓したのに。

 

 

 

 おはよう諸君。私だ。

 

 寝ても覚めても景色が変わらないのはこれまでどおりとして、舌先の疲れが取れないのはどう言うことだろうか。

 

 川海老を食べたのは夢だったのだろうか。


 なお、察しの良いものは先程の夢の話しは消去して欲しい。自分でも消去したいくらいだ。

 

 依然として四肢を動かす事は儘ならないが、無意識に寝返りはうっているようで右向きに身体を丸めた状態になっていた。

 

 それでも、舌先を動かす事ができるようになったお陰で世界が広がったような気がする。

 

 今のところ唯一自らの意思で動かせる随意筋が舌だけと言うのは赤子よりも未熟なのかもしれないが、繊細な感覚器が備わったのだ。

 

 もう、何でも口に入れちゃうよ。バブー。

 

 国民的な永遠の幼児であればバブバブハイハイしか言わなのかも知れないが、ただの赤ん坊と違って知性を持つこの俺がその感覚器を動かす事ができるようになったのだ――ならば、試す価値はあるのだろう。

 

「ステータスオープン」

 

 意を決して紡いだ言葉は蚊が鳴くというよりも、エレベーターに乗り込む際に息を殺して失礼しますと心の中で喋るより小さな響きだった。

 

 

 

 ……。

 

 

 ……。

 

 

 ?

 

 

 違ったのか? メタルプレート的な何かの方だったのか? 

 

 そちらだった場合、全くもって無駄な決意になったのかも知れない。俺の決意を返して欲しい。

 

 

 

『……最適化しています』

 

 キタコレ。

 

 脳内音声だか脳内文字どちらかとも判別できない告知に心踊る。

 

 つか、何か色々と統合されちゃうパターンでしょ。

 

 

 ワクワク。

 


 ワクワク。

 

 

 今なら言える。俺がワクワクさんだ! と。

 

 

 ***

 

 

 頭の中だか心の何処かだかに表示されたステータスと格闘すること数十分たぶん

 

 あまりにも難解過ぎて読み解けなかった。いや、読み解ける訳が無いのかも知れない。


 表示されたステータスはこうだ。

  

 †††††††††††††††††††† 

 名前:名前を入れてください 

 HP: 3


 STR: 8

 VIT: 2

 DEF: 2

 DEX: 0

 AGI: 0

 INT: 32

 MIN: 10

 MAG: 0


 スキル: 魔力操作

 ††††††††††††††††††††

 


 

 【シンプル・イズ・ザ・ベスト】誰が言ったか知らないが、至って簡素。オレTueeeとか感想もない。

 

 よくネトゲのアバター名の両サイドに置いてある記号で囲われてるんだぜコレ。ってのが感想に分類されないのであればだが。

 

 それよりもやっぱフラグの乱立はいけないよね。反省。

 

 

 ステータスについてはある意味諦めた。

 

 基準をどう設定するかで変わる絶対評価も比較対象が無ければ、どんなに数字で表そうともそれが良い数値なのか悪い数値なのかもわからない。相対評価にしても比較対象があって初めて成り立つ。

 

 つまり、この表示は今のところ気休めにも成らない表記の羅列だ。

 

 普通の流れであれば自らネトゲ知識をベースに解説するか、ヒロインだか窓口のおねーさんが一般的な標準を元に「期待しているわよ。ウフフ」とかなるのかも知れないが、世界はそんなに優しくなかった。

 

 救いは、女神が本当にスキルをくれたってことだろうか。ただし、使い方はわからない。

 



 夢と希望を胸いっぱいにして求めた結果は芳しいものではなかったが、全くもって無意味という訳では無かった。

  

 国民的な青いヤツと同じHPに妙な親近感が沸く。

 

 そして、それ以外の数値が全て偶数。スゲー落ち着く。

 

 心の平穏。コレ大事。

 

 

 DEXとAGIが器用さと素早さならば、ある意味納得。身動き取れないのがそのまま表現されたと思う。


 悩ましいのは身動き取れないからゼロなのか、ゼロだから身動き取れないのか。俗に言う卵の問題だ。

 

 因みに親鳥に卵を作る遺伝子が発見されたらしいから鶏が先になるんだよな。どうでも良いマメをひけらかしてもどっちが卵かわからん状態では何の意味もない。


 そして、MAGが魔力ならば操れる魔力は御座いませんってことも色々試すなかで自覚した。

 

 端的に言えば、打つ手なし。

 

 可能性なんて思い浮かぶ訳もない。

 

 有るのはアレが川海老の脚で無い可能性だけだ。

 

 しかし、ここに断言! アレは川海老。それ以上でもそれ以下でもない。


 以上! 寝ます。

他人ひとはそれを八方塞がりという。

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