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秘すれば花、ハグすれば戀  作者: 濱マイク
3/3

ハグしなきゃ、戀は始まらない

【エピローグ】


約束したドライブの日は、明日に迫っていました。

ひかりとは、あれから全く話していません。


って言うか、終わってんのか。



浪漫も辞めちゃったから、逢えず仕舞いだし、今更何がドライブだ、と言われれば、返す言葉も無い。


彼はひとり悶々としていました。


やっぱりおとなしくて紳士のノグチさんの方が安全だ、とでも考えてるんだろうか。


人畜無害の安全パイだと思っていたのに、スケベ親父の様に豹変して、裏切られたと思ってるのか。



そりゃそうだ。



自分らしく、やれる事は頑張ってやったと思う。


受け入れられなければ、それだけの事だったんだろう、と半ば諦めようとするんだけど、小学生の泣き虫小僧になりそうで、それもまだ踏み切れない。


プライドなんか何にも無い。

有るのは、握り合ってたひかりの手のぬくもりだけだ。


その温もりのためなら、死神に寿命を半分にされてもいい。


身から出た錆だから、誰も恨めない。


元々誰かを恨んだり妬んだり愚痴をこぼしたり言い訳したりする事が嫌いなんだけど、神様がもし本当に居るなら死ぬほど祈りたい。



ひかりを、離したく無いんだ。



あっという間に日が落ちて、辺りは薄暗い夜を迎えようとしていました。


時間ばかりがどんどん過ぎて行く。

それとも、これから永遠に過ぎていくだけなのか?


大学で学んだばかりの心理学の教科書をひっくり返し読んで、ひかりの今の気持ちを類推してみようとしたけど、嫌われただけだ、の一言で片付けられてしまいそうだったので、止めた。



それでも、あらん限りの勇気を振り絞って、彼女の実家に電話したのは、9時を少し回った頃だった。


親父さんが出て、妙に丁寧で親しげなな対応の後、光にかわった。


「何か?」

何か?だって!

だよなぁ〜


「元気?」

「普通」


「いや〜それは何よりで。ハハ(笑)」


「酷い事したの覚えてる?」


ひえっ、ひ、酷い事だって!

いきなりカウンターパンチ!

やっぱ根に持ってるさぁ。


終わったな。


「うん」

「うん、じゃないっしょ」


「な、何してたのぉ?」

「…」


「え?」


「さっきまで手紙書いてたさぁ」

「手紙?誰に?」

「ノグチさん」


何で?

ラブレター?


「あなた、言ったしょ、言われなきゃわからない人も居るって」

「ああ、うん」


「言葉に出してきちんとお返事しなきゃって思ったの」

「そうか」


「好きな人がいますって、ちゃんと書いたよ」


え?


「今は明日の準備してた」


え?え?


「外食勿体無いからさぁ、一応お弁当持ってくよ」


て、手作りの、お弁当〜!


「明日早いっしょ、早く寝なさいよ(笑)」


笑ってる!

ひかりが笑ってるよぉ。

小学生の泣き虫小僧になってきた。


「うん、わかった、じゃ明日な」

「うん、明日ね」


「あ、違った、明日からさぁ(笑)」

「ん?明日から?」


「明日からは、その、一応、お友達じゃなくてさぁ、その、一応彼氏になるんだからね」


「へ?」


「この一週間あなたの事ばかり考えてたよ。酷い事しようとしたけど、まっすぐで馬鹿正直でさぁ」

「うん」


「あなたと、ずっと一緒に居たくなったの。だから、これからもさぁ、末永く、よろしくお願いします」

きちんとしたご挨拶でした。


「はい!」

いいお返事。


顔中泣き虫小僧が占領しました。

鼻水ズルズルです。


よっしゃよっしゃ〜

任せなさい!


すでに天に昇ってます。

宇宙まで舞い上がって踊り出しそうでした。


世界中にこの幸せを吹聴したくてたまりませんでした。


抱きしめなきゃ、始まらない戀もあるんだぞぉ〜!

勇気を出して、一歩踏み出せってね。


(おわり)

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