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《勝利》の古具使い  作者: 桃姫
白城編
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88話:集いし者達

 王司、白羅、紫苑は、とりあえず塔の前まで行くことにした。そして、巨大な塔の前にたどり着いた。するとそこには既に真希と真琴が居た。


「真希。来てたのか?」


 王司の問いに、真希は、少し不機嫌そうに、真琴の方を見ないようにしながら答える。


「うん、まあね。パパに連れてこられたの」


 真希は不満そうだった。だが同時に、真希は王司に会えて嬉しそうでもあった。そんな微妙な顔をする真希。


――プァアアアン!


 そんなタイミングで大きなクラクションが鳴った。そして、真っ赤なスーパーカーに乗って四人が現れた。


「ルラ、それと……秋世か」


 派手な車に乗っていたルラ、秋世、彼方、深紅の四人。あまりにも派手な登場に王司は面を喰らった。


「相変わらず派手な登場の仕方をしますね、深紅さん」


 気づけばいつの間にか居た清二と美園。そして、炎の翼を広げて舞い降りる煉巫。続々とチーム三鷹丘の面々が集まってきた。


「ふぁあ、すっごいね。人がいっぱい」


「お姉ちゃん、夜の冒険とかわくわくしちゃう」


 王司が連絡を入れた愛美と彩陽が合流を果たす。総勢十四人もの人数がその場にいた。あまり面識のない人物も多い。


「おい、親父。面識の無い面子が多すぎて話しにならないんだが、自己紹介でもさせあうか?」


「ああ、俺も今、同じことを言おうとしてた」


 王司と清二が、そう言って久々の話を交わす。久々だと言うのに、二人は特に何の隔たりも無く会話できていた。


「じゃあ、年配組から頼む」


 王司の言葉に、清二が渋々頷いて、自分から自己紹介を始める。


「あ~、年配ってのは不本意だが、チーム三鷹丘の青葉(あおば)清二(せいじ)だ。一応、王司の父親に当たる」


 清二の言葉に、「一応って、あんた……」と思う彼方や、「お義父さん、格好いい」と思う愛美など。


「私も年配は勘弁。天龍寺(てんりゅうじ)彼方(かなた)よ。そこの秋世の姉で、学生時代は生徒会長をやってたわ」


 彼方の言葉に、「会長、わたしの大先輩、か」と紫苑が思った。ついでに、秋世が、「姉さん、相変わらず清二さんを諦めてないんだ……」と悲しいものを見るような目で見ていた。


「わたしは、立原(たちはら)……、いえ、青葉美園(みその)です。王司の母親ですよ。学生時代は副会長をつとめていました。まあ、紆余曲折の上、青葉君をゲットした勝ち組です」


 ブイと茶目っ気溢れる自慢をする美園に恨みがましい視線を送る彼方と煉巫、白羅。この辺の人間関係は相変わらずのようだ。


「私は、氷室(ひむろ)白羅(びゃくら)。清二とは一緒に修行をした師匠でもあるわ」


 プラチナブロンドの髪をなびかせ大人っぽく言う白羅。「アーサーの上位互換だな、あれそういやアーサー居ねぇ」と思う清二。


朱野宮(あけのみや)煉巫(れんむ)ですわ。ちょっとやそっとじゃ死なない自身がありますわよ」


 ニッコリとお嬢様の如く微笑む煉巫。「確かにちょっとやそっとじゃ死なないな」と呆れたような目で見る清二。


「あ、やっぱり最後に回ってくるんだ……。僕って、一体……。まあ、いいや。僕は篠宮(しのみや)真琴(まこと)だよ」


 爽やかな笑みを浮かべた真琴。これだけモテそうな外見をしていて、くっついたのが久々李だと言うのが驚きである。


「ふむ、まあ、天龍寺深紅(しんく)だ。彼方と秋世の叔母に当たる。こんなかじゃ一番の年上だろうから年配扱いも認めてやるさ」


 深紅の自己紹介で、年配組の自己紹介を終わりにする。そして、王司たちが自己紹介を始める。


「あ~、まあ、俺は、青葉王司だ。親父と母さんも含め、そっちの面々は俺のことをほとんど知ってるだろ?」


 王司の自己紹介に、年配組が「うんうん」と頷いた。そして、次いで紫苑が自己紹介を始める。


「わたしは七峰(ななみね)紫苑(しおん)。現在、三鷹丘学園高等部の生徒会長を勤めております。青葉君とは、少々特殊な関係に当たりますが、え~と、きょ、姉弟と言いますか、前世が姉弟、なんですが……」


 みょうちきりんな紫苑の自己紹介に彩陽が「前世で姉弟?!お姉ちゃんの専売特許を奪わないで!」とみょうちきりんなことを叫ぶが、皆、特に気にしていない。


「私は、南方院ルラ。なんか、最近、仲間外れ感があるんだけど……」


 ルラが軽く自己紹介をした。「はぶってるわけじゃないんだが」と王司が申し訳なさそうに見る。


「篠宮真希だよ。王司とは幼なじみ」


 言うことが妙に少なく感じる真希。「もう少し詳しく言おうよ」と真琴が苦い顔をしたが、真希は気にしていない。だが、ここまでは普通の自己紹介だが、次あたりから頭のおかしい自己紹介が始まる。


愛籐(あいとう)愛美(まなみ)。愛と絆を司るマナカ・I・シューティスターだよ。王司さんとは運命の赤い糸と《勝利》と言う概念で繋がった幼妻!皆さん、よろしく!」


 全員がきょとんとした表情になる。愛美は、ここに居る面々の中で一番最近皆に知り合った人間のため、知名度は低い。


「お姉ちゃんは、九龍(くりゅう)彩陽(あやひ)だよ。王司ちゃんのお姉ちゃんなの。お姉ちゃんは、王司ちゃんのためなら、なんだってするよ~」


 またも、皆がギョっとした。何者だよ、と皆が思う。しかし、王司は、彩陽を姉と認めているため、何も言わない。


「天龍寺秋世(あきよ)よ。生徒会顧問をやっているわ。って、まあ、私はどちらかと言うと年配組所属だし、現役組とも面識があるから自己紹介が一番不要だと思うけど」


 秋世の言葉を持って、この場の自己紹介を閉じたが、この場にいて自己紹介をしていない者が二人いた。


 サルディア・スィリブロー。王司の中に存在する銀翼の天使。


 蒼刃聖。清二の中に存在する第六典神醒存在。


 これら、計十六人が塔の前に結集したのだった。

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