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《勝利》の古具使い  作者: 桃姫
白城編
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86話:終焉の物語

 昔々、あるところに、一人の少女が居ました。その少女は、名前とは真逆の艶やかな黒髪を靡かせながら、ありとあらゆる頂点を目指す。己が欲望の赴くままに、全てを手に入れようとした。地位も名誉も武道も、全てを欲した。「最強」と言う、その言葉を欲した。その少女の名を「白城(しらき)王花(おうか)」。【白城事件】の首謀者であり、犯人である少女。


 そう、これは、【白城事件】と言う、残酷な事件の軌跡。全ての始まりである物語。






 雷鳴が響く世界。暗雲が立ち込め、そこを紫雷が地面へと駆け落ちる。誰もいない世界はずの世界は、いまや、戦場と化していた。


 轟音と人々の声が、世界を揺らす。大戦乱。魔法、魔術、剣、銃、大砲、あらゆる攻撃の嵐。それらは、たちまち世界を包み込んだ。


 そんな戦場に立つ人々が居た。時空間統括管理局飛天王国理事六華直属烈火隊を始め、天宮塔騎士団(レクイア)も含めた、時空間統括管理局トップクラスのメンバーだ。


 時空間統括管理局飛天王国理事六華直属烈火隊一番隊隊長(通称、一門)、篠宮(しのみや)無双(むそう)。最強の存在として末代まで語り継がれる女性。無双とは渾名のようなもので、本名は別にある。真琴や真希の先祖、初妃の母親に当たる。初妃の母に当たると言うことは……。なお、この時点で、一門であり、現在は交代済み。


 時空間統括管理局飛天王国理事六華直属烈火隊二番隊隊長(通称、二門)、植野(うえの)春夏(はるか)。無双のよき理解者として、無双を支え続けた存在。無双に引けを取らないほどの逸材で、《翠華》の一族。後の一門となる少女、【氷の女王】を育て上げた育ての親でもある。最強の一門を支え続けた存在だ。なお、この時点で二門であり、現在は、時空間統括管理局特務監察官である。


 時空間統括管理局飛天王国理事六華直属烈火隊三番隊隊長(通称、三門)、天龍寺(てんりゅうじ)深紅(しんく)。無双や春夏には大きく劣るものの、カリスマ性の高さなどから有能さが分かる。なお、二人が強すぎるだけで、深紅も一人で国一つくらいは潰せる(なお、二人は、一人で世界を潰せる)。彼方、秋世の叔母に当たる。なお、この時点で三門であり、現在は引退済み。


 時空間統括管理局飛天王国理事六華直属烈火隊三番隊隊長(通称、三門)、霧羽(きりゅう)未来(みらい)。深紅と同じく無双や春夏にはおよばないものの、深紅と同等の力を持っている。王司をホテルで助けた張本人である。なお、この時点で四門であり、現在は世界をまたにかける探偵をやっている。


 時空間統括管理局飛天王国理事六華直属天宮塔騎士団騎士団長、蒼刃(あおば)蒼天(そうてん)。最強の一角である青年。若くして剣士として戦い始め、その戦績と力が認められ、騎士団長になった。無双と並ぶ剣の使い手で《古具》を創った張本人でもある。また、清二たちが倒したダリオスによってその終止符を打たれた。


 時空間統括管理局医療対策班リーダー(元烈火隊特殊医療隊)、緋葉(あかは)。後の朱野宮(あけのみや)家に当たる一族の先祖。煉巫(れんむ)の先祖にあたる。最強の治癒能力を誇り、どんな傷すらも一瞬で治してしまう。敵味方問わず癒す心優しき少女。





 彼女達の力は強大だったが、王花率いる【白王会】も強かった。最強と謳われる三人は、戦場に躍り出た。敵の多くを引き付け、吹き飛ばし、叩き切る。


 しかし、それが長く続くわけもなかった。まず蒼天が死んだ。敵の攻撃を前方向から受けて即死だった。


 緋葉も、爆発の魔法に巻き込まれて倒れた。


 世界など、そのようなものだ。いかに強かろうと、いかに頑丈だろうと、死ぬ時は死ぬ。無双は、それを知ってなお戦場を駆る。化け物。その呼び名が嫌にしっくりきてしまう。


 竜巻、雷、土砂、夜の世界、ありとあらゆる無双の知る魔法を放ちながら、一騎当千。幾多の敵を打ち倒す。その力を【絆】と呼ぶ。






 そして、無双はたどり着く。名前とは真逆の真っ黒な髪を、強風になびかせ、刀を携える少女に。かつての部下にして、最大の敵。ありとあらゆる力を使い果たし、もはや手元に残るのは、自分の愛した双剣。――【琥珀白狐】。


 無双の誇る無敵の剣術。【無双流】。しかし、それに対抗して王花が生み出した、殺すことだけに特化した一対一専門の個流剣術【藍那流】。今までは、未完成だった【藍那】の剣を王花は、完成させようとしていた。


 そして、落ちた一筋の稲妻を合図に、二人は、剣を振った。


 ポタリ、ポタリと刀を伝う赤い血。それは、無双の胸に深く刺さっていた。そう、王花は、無双と殺しあう時に、ついに【藍那流】を完成させた。――無双に勝ったのだ。


 そして、無双の死は、とある契約の発動を意味する。それは、神の誕生。





 そう、これで、【白城事件】は幕を閉じる。しかし、この話には続きがある。一人の少女。紫色の髪を持つ一人の少女の話のプロローグとなる話が。


 王花の身体が凍りつく。足元から、徐々に、凍っていく。そしてあっという間に、王花は氷像となってしまう。


 そう、その少女こそ、後の【氷の女王】。その場で、植野春夏に保護された、彼女の名は、希咲(きさき)雪美(ゆきみ)。かの【血塗れ太陽(ブラッディー・サン)】の母でもあり、無双の後任として二代目一門となる最凶であり最も冷たい、されど心温かい女王だ。





 契約の末、生まれた三人の神。所謂、三神。


 篠宮無双の成れの果て、《天辰流篠之宮神あまたつるしののみやのかみ》。


 蒼刃蒼天の成れの果て、《蒼海空逆巻立之神あおみそらさかまきたつのかみ》。


 緋葉の成れの果て、《朱光鶴希狂榧之神あけみつるきくるがやのかみ》。


 今、その三神の末裔達は、各々の世界を生きる。青葉王司、彼もその一人だ。

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