プロローグ
この作品には残酷な描写がかなりあります。特にはじめのうちは大変痛い描写もあります。タグを見るとコメディに見えるかもしれませんが米分は少ない気がします。また、まえがきでの注意喚起は携帯での閲覧の場合流れぶち切り感が強いと思っているので、以後一切行いません。同性愛を匂わせる描写が入る可能性もあります。地雷踏みにはご注意ください。自己責任という言葉は嫌いかもしれませんが俺は君の強さを信じているッ! いえ駄目なら無理せず逃げてください。
では、どうぞ。
──生まれ変わったら何になりたい?
吐息のようにささやかれた声に、自分はなんと答えただろうか。
生まれ変わりなど信じているのか、と笑ったことは覚えている。それまで考えたこともなかったことだから。そんなことを信じている相手でもないと思ったから。
でも。
「……他人に迷惑かけない程度に元気な自分になりた、かった」
きわめて切実な、それは願望だった。
──過去形でしか、望めない。
吐き出した声が震える。たった一言を告げるだけで全身が痛い。多分もう限界なのだろう。
目を開けていられずに、閉じた。急速に落ちる意識。
まどろみにも似た、けれど、もう戻れない深淵に。
「あと、よろしく」
言うことは言った。できることはしてきた。どうすることもできないことは、仕方のないこと。
だから。
せめて最期に、楽しい夢を見よう。
──もし生まれ変われるなら?
男になってみたいかもしれない。そして可愛い女の子にモテてみたい。ハーレム上等。良いではないか可愛いは正義。全力で愛でるべき。でもバリバリの英雄とかは無理そうだ。天才軍師とかも捨てがたいが、あいにくそんなに頭は良くない。魔法使いとかはいいかもしれない。修行は大変そうだけど魔法の為なら耐えられる気がする。お姫様はだめだ。さらわれたりいろいろされたり自由は無いしで大変だ。でも横からお姫様を眺めるのはとても面白そうだ。お邪魔虫要員にも、彼女の支えにもなれるポジション──ああ、そうだ。
──私は侍女になりたい。
なんてね。
声にならない想いを最後に、意識は途切れた。