表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

第1話『7年後』

長い間放置していましたが、自分に時間ができたこととモチベーションが上がってきたので、文章を直して再開しました。


 王女の誘拐事件から未だ多くの謎を残しているなかで、以後は何事もなく7年の月日が流れた。



 広大な大地が続くアスティア大陸の北部に、大国の1つであるクレスト王国がある。王都は国の中心から若干南側に位置しており、城を中心として広大な土地に年輪の様に家と城塞が築かれて、貴族などの豪邸と商業地と一般民の家々の順にそれぞれ三層の巨大な城塞が囲んでいる。


 太陽が昇り始めた頃、クレスト城の兵士の訓練所に声と金属のぶつかる音が響いている。


「はぁっ!!」


 そこにいたのは二人の女性が剣を交えている姿だった。一人はコバルトブルーのショートヘアに肌が小麦色に焼けた女性、もう一人が琥珀色の長髪をポニーテールにした色白の肌の女性だ。


「ふっ!はっ!」


 お互いに模擬戦用の刃を潰した剣を使用しているが、それでも当たれば怪我はする。だが交わる刃は肌に触れることなく剣で裁かれている辺り、二人の技量の高さが見受けられる。


「はっ!」


 琥珀髪の女性が隙をついたのだろう、相手の女性の手に剣を突き出す。ショートヘアの女性は咄嗟に気付いて避けようとしたが、寸前で剣が手の甲をかすった。

 すると、ショートヘアの女性は緊張がとれた様に息をはいて剣を鞘へ納めると、剣を地面へと置き片膝をついて頭を下げた。


「お見事です、姫様」


「ロアン…、いつも言っているが、そんなに堅くならなくてもよい。こんな時だけでも名前で呼んでほしい」


「はい、エリス・・・様」


 琥珀色の髪をポニーテールにした女性、彼女が成長した『エリス』である。そして片膝をついているショートヘアの女性が、彼女の従者兼護衛騎士の『ロアン』である。


「ハハハ、まぁ良し!」


 照れているのか少し顔を赤らめたロアンを見て、エリスはニコリと微笑んで手を差し伸べた。ロアンは一瞬戸惑ったが、差し伸べた手をとって立ち上がると凛々しい表情を綻ばせて微笑んでいた。


「ありがとうございます、エリス様。」


「うむ!」


 その言葉にエリスは笑顔で返してお互いに笑い合っていると…


「いやぁお見事でしたねエリス。朝早くからなかなかの剣技を見せて頂きました。」


 訓練所の出入口付近、一人の青年が壁に寄り掛かりながら彼女らに拍手を送っていた。


「アークか、おはよう」


「はい、おはようございます。朝早くからお元気ですねぇ」


 少し長めで薄い茶髪をなびかせて、眼鏡の位置を直しながら彼…『アーク・ロギル』はエリス達の元へと向かっていく。


「給湯係に頼んでシャワーの準備が出来ていますので、私が警護を引き受けますからお二人ともどうぞ」


「・・・そうか、ありがとう」


アークからシャワーを勧められると、エリスはやや表情を曇らせた。


「まぁどうせ、自分の我が侭で日が昇る前からのシャワーの準備をさせる事に気が引けて頼まなかったのでしょ」


「あぁ、簡単に済まそうと思ってな・・・」


「まぁ幼少期からの付き合いですから何考えているか大体検討がつきましたよ。貴女は優しすぎます。たまには我が侭も言って下さいよ」


 その言葉に、エリスはニコリと微笑んで頷くと、ロアンの手を取ってシャワー室へと向かっていき、その後ろ姿をアークは微笑みながら見送っていた。



 兵士の訓練所にはシャワー室が設置されている。勿論男女別々だ。


「・・・・・あの、エリス様。何故私も一緒に・・・」


 室内は一台のシャワーごとに一人分のスペースで区切られている。その1つに体にタオルを巻いたロアンはいた。


「うむ、私が一緒に入りたいと思ったからだ」


 ヒョコリと隣から顔を出したエリスは満面の笑みだった。


「折角だから我が侭を言わせてもらった。・・・ダメか?」


 背が高い方であるロアンは、エリスの曇りの無い瞳で上目使いで見つめられ、顔を赤らめながら言葉を詰まらせた。


「し・・・しかし、身辺警護を・・・」



 何とか絞り出した言葉。しかし、上目使いで見つめられているロアンは・・・


「・・・・・かしこまりました」


・・・・・折れた。





 シャワーから温かなお湯が出てくる。エリスは汗を流すため体を手で擦りながら自分の体について考えていた。

 毎日剣の稽古などで体を動かしており、余分な脂肪などは見当たらない。かといって目立った程の筋肉が付いている訳でもなくスベスベとしたもっちり肌だ。お尻の形も良いし、スラッとした体は全体的にシャープな印象がある体だ。

 しかし本人は悩んでいた、胸が無いと!!



「やはり・・・・・これは・・・」


 自分の手で隠れる程のソレを見てエリスは内心で盛大な溜め息をつく。なぜなら、それは見事なまでのペタン――――


「んっ!」


―――――もとい、微乳であるからだった。


「今何か凄い怒りを感じた・・・」


「エリス様、どうかされましたか?」


 声をかけられたので振り向くと、様子を心配したロアンが覗いていた。


「あぁいや、何でもな・・・・っ!!」


 エリスは驚愕に言葉を飲んだ。なぜなら、自分の視界に入ってきた二つのメロンに衝撃を受けたからだ。



「普段鎧でわからなかったけど・・・、ロアンはそんなに胸が大きかったの・・・」


「え? あ、恥ずかしながら、剣を振る際に邪魔になってしまうため普段はサラシを巻いて押さえ込んでいます」



 その言葉にエリスは更なる衝撃を受けた。



「・・・・・ロアン、邪魔になるって、それは勝者の余裕か?」


 その瞬間エリスは両手を顔の高さまで上げてニヤリと笑って身構えると、それにロアンは寒気を感じて数歩後退りしていた。


「さーわらせろー!そして成長の秘密をおっしえろー!!」



「え!え!?ちょっ、エリス様!?イャアアア───!!」



 朝日の差し込む訓練所、そこのシャワー室から響き渡る悲鳴に、警護の為近くで待機していたアークは呆れていた。



「なにしているんだかエリスは・・・」


 アークはまた彼女が中心になって一日が始まるのだなと思った。しかし嫌な感じはせず、その表情は楽しそうに笑っていた。


成長したエリスと他二名を登場させました!!



読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ