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マヨラーズ結成!?

 ◆マヨイ視点◆


「おー! ここが冒険者ギルドか!」


 思わず声が弾む。

 扉をくぐった瞬間、熱気と喧騒が一気に押し寄せてきた。


 酒場の笑い声、依頼掲示板の前で言い争う冒険者たち、受付嬢に詰め寄る新人冒険者

 ――空気が活気に満ちている。


「すごい賑わいね。さすが冒険者の街ってところかしら。」


 隣でレーナも、少し目を輝かせながら周囲を見回している。


「じゃあレーナ、先に冒険者登録してきて。」


「わかった、行ってくるね――

 ……って、待って。マヨイ君は?」


「ああ、それなんだけどさ。」

 僕はポケットを叩いた。

「なんか、最初からギルドカード入ってたんだよね。多分、僕はもう登録済みっぽい。」


「そんなこと、ある……?」

 レーナは胡散臭そうな目を向けてきたが、やがて小さく息をついた。

「……まあいいわ。行ってくるね。」


 そう言い残し、彼女は受付の列へと向かっていった。


「さて、と。」


 一人になった僕は、ギルド内をぶらぶらと見渡す。


「この時間、何しよっかな。」


 その時だった。


 ギルドの隅。

 人の流れから外れた場所に置かれたベンチに、一人ぽつんと座る少年の姿が目に入った。


 茶色の髪に、中性的で整った顔立ち。

 けれど、肩は落ち、視線は床に固定されたまま。


 周囲の喧騒が、彼のところだけ避けているみたいだった。


 ……あー、これは。


 暇つぶし半分、好奇心半分。

 僕は自然と、そっちへ足を向けていた。


「ねぇ。君、どうしたんだい?ずいぶん暗い顔してるけど。」


 声をかけると、少年はゆっくりと顔を上げる。


「……あなた、誰ですか?」


 警戒と疲労が混じった視線。


「僕はマヨイ。新人冒険者さ!」


 できるだけ場を軽くするように、明るく名乗る。


「新人さん……?」

 少年は小さく首を振った。

「冒険のアドバイスなら、他の人にしてください。ボクなんかに聞いても……意味ないですから。」


 ……うん、重い。

 かなり重い。


「違う違う。」

 僕は両手を振った。

 「僕はね、マヨネーズの宣伝販売をしに来たんだ!」


「……はい?」


 少年の眉がぴくりと動く。


「マヨ……ネーズ?なんですか、それ。」


「神の調味料さ!」

 胸を張って言い切る。

 「まあ、百聞は一見にしかず。ほら、試しに舐めてみて。」


 匙にマヨネーズを乗せ、差し出した。


 少年はしばらく葛藤したあと、恐る恐る、それを口に運ぶ。


「……っ!?」


 一瞬、時間が止まったように見えた。


「な、なんですか……これ。」

 彼の目が、驚きに見開かれる。

「すごく……美味しい……」


 さっきまでの沈んだ表情は影を潜め、そこには、素直な感動が浮かんでいた。


 ――よし。

 マヨネーズの力、ちゃんと刺さったな。


「あ、そうだ。」

 少年は少し照れたように続ける。

「ボク、名乗ってませんでしたよね。

 ボクは――リオンです。」


「リオンか。よろしく!」


 僕が手を差し出すと、彼は少し戸惑いながらも、その手を握り返した。


 ◆


「マヨイ君……その子、誰?」


 気づいたときには、僕たちの背後にレーナが立っていた。


 右手にはギルドカード。

 どうやら、無事に登録は終わったらしい。


「この子はリオン! ついさっき仲良くなったんだ。」


「そうなのね……私はレーナよ。

 リオンちゃんよろしくね!」


「えっ……?」

 リオンは一瞬だけ目を見開き、それから小さく僕とレーナを見比べた。


「えっと……彼女さんと一緒に来てたんですか。」少し距離を取るように一歩下がる。

「それなら……お邪魔なボクは、もう行きますね。」


 そう言って、背を向ける。


「か、彼女じゃないわよ!!」


 レーナの声が裏返った。

 顔は見る見るうちに真っ赤だ。


 ……いや、そんな全力で否定しなくても。


「うん、この通り。」

 僕は軽く肩をすくめる。

「カップルじゃないから、大丈夫だよ?」


「そ、そうなんですか……?」

 リオンは少し安心したように見えたが、すぐに視線を落とす。

「でも……ボクと一緒にいても、メリットないですよ?」


 その言葉と一緒に、彼の表情がまた曇っていく。


 ――ああ。

 これは、相当な目に遭ってきた顔だ。


 理由は気になるけど、今ここで聞くのは野暮だな。


「よし!」


 僕は両手を叩いた。


「僕たち三人で、パーティ組もう!」


「……あの。」

 リオンが困惑したように言う。

 「ボクの話、ちゃんと聞いてました?」


「レーナもいいだろ?」


「まあ、マヨイ君がいいなら、私はいいけど。」

 レーナはリオンに視線を向け、少し柔らかく微笑んだ。

「リオンちゃん。嫌なら、断っていいからね?」


「パーティって言っても、仮だからさ。」

 僕は、不安そうな彼に向けて続ける。

 「そんなに重く考えなくて大丈夫だよ。」


 しばらく沈黙。


「……まあ。」

リオンは小さく息を吐く。

「仮、なら……いいですけど。」


 渋々、といった様子で頷いた。


「よし、決まり!」


 こうして二人の了承を得た僕は、パーティ結成の申請をするため、ギルドの窓口へ向かった。


「パーティ名は――マヨラーズ!!」


「却下!」


「ボクも、その名前はちょっと……」


 なぜか、即座に不評だった。


「じゃあ、他にいい案あるのかい?」


「うーん……」


「えっと……」


 二人とも黙り込む。

 数秒後。


「よし! マヨラーズで決まりだな!!」


「話聞いてた!?」


「強引すぎです……」


 最終的に、二人は揃ってため息をつきながらも、渋々その名前を受け入れてくれた。


 ◆


「……で? 冒険者って、何するんだ?」


 ふと、僕は素朴な疑問を口にした。


 その瞬間――


 リオンが、盛大にズッコケた。


「そ、そんなことも知らずに、冒険者始めたんですか!?」

 信じられない、という表情でこちらを見てくる。


「まあ、私たち」

 レーナがすかさず口を挟む。

「冒険が、本来の目的じゃないから」


「えっと……目的って?」


「ごめん。まだ、今は詳しく話せない」


 この子が、物語の主人公とまだ確定していない以上、不必要に巻き込むのは避けた方がいい。


「そうなんですか……」

 少し考え込むようにしてから、リオンは言った。

 「じゃあ、まずはダンジョン探索とかどうですか?」


「おっ! ベテラン冒険者! 流石だな!」


「ベ、ベテランじゃないですよ!」

 あわあわしながら、激しく首を振るリオン。


「もう。リオンちゃんを困らせないの!」

 レーナの鋭い視線と一緒に、肩を叩かれる。


「よし! いざ、ダンジョン探索に出発!!」


 こうして僕たち――

 仮パーティ《マヨラーズ》は、ダンジョンへと向かった。


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