第五話 ハーレム編
気づけばクラスの男子に殺意の視線を向けられていた。
「なんでみんな俺を見るんだ?」
教室が静かになった。理由は知らない。
視線が刺さる。どこを見ても刺さる。
「今日も人気者だね」……人気者の自覚はない。
「ちょっと二人きりで話せる?」
(※周囲:え?私も話すけど?)
「……俺、死ぬの?」
「もう逃げられないよ?」
(※ただの放課後デートの誘い)
「脚本家どこ?助けて?」
(※ヒロイン全員:は?今誰呼んだ?)
「私が一番だからね?ここで選んで?」
(※三人同時)
「なんで怒ってるんだ?」
(※怒ってはない。拗ねてるだけ。)
空気が凍る音がした。
「あなたが決めるまで、動かない」
(※全員正座し始める)
空気が凍る音がした。
「逃げるの禁止ね?さぁ――答えて?」
(※かわいい笑顔で言ってるだけ)
「その手、離してもらえます?」
(※別のヒロインが腕を掴んでる)
空気が凍る音がした。
「これ以上、誤魔化せないよ?」
誤魔化してないのに、誤魔化した扱い。
視線だけで殺されそうだった。
「……助けてくれ、誰か」
(※男子:無理。自衛するわ。)
「逃げても追いかけるよ?だって……好きだから」
え?
「気づいてないの?みんなあなたが好きなんだよ?」
「選ばせるつもりなんて、最初からなかったよ?」
「モテ期って、地獄なんだな。俺の平凡な学園生活返して」
「あなたが困ってる顔、ちょっと好きかも♡逃げても追いかけるよ?だって……好きだから♡」
「転校したい」
「ちゃんと捕まえた。今日からは私の番♡責任、取るよね?」
空気が凍る音がした。
男子(小声)
「……いやこれ、ハーレムじゃないよな?事件だよな?」
教師(廊下から)
「お前ら、昼休みに校内ラブコメの撮影会やるのやめろ」
俺
「テンプレって、怖ぇよ……」
ナレーション
――こうして“振らない主人公”は、
“振れない主人公”へと進化した。
ねぇ……誰か、俺の平凡な学園生活返してくれ。
__完・第五話 ハーレム編
実験作のため、ここで完結です。
ありがとうございました。
好評であれば続編いきます。




