【試作】ある転生者の嘆き
初めまして、和和と申します。試しに作ってみました。
「あー…ハーレムつくりてぇなぁ…」
とある小さな村の家の一室で少年がつぶやく。
「ヨウ、あんたまだそんなこと言ってるの?」
同じ部屋にいた少女が呆れたように話しかける。
「だってさ!異世界転生ってそういうもんじゃない?チート能力を身に付けたり、勇者に選ばれたり!そして極めつけはかわいい女の子達とキャッキャウフフするもんじゃん!!!」
「転生物の読みすぎでしょ。そんな物語みたいに都合よくいくわけ無いじゃない。」
「そもそも今の状況が物語みたいじゃん!」
「それはそうだけど…」
熱く語る少年の名前はヨウ。それを呆れながら聞く少女はレイ。何を隠そう、2人とも日本から異世界転生をしてしまったのである。
「この世界に生を受けて早10年…そろそろ旅に出ても良いんじゃないかな!」
「旅に出て何をするつもりよ。」
「それはその…魔王を倒しにいったり!」
「いないわよ。」
「魔物を討伐したり!」
「いないわよ。」
「エルフとかと交流したり!」
「この村にいるじゃない。」
「かわいいエルフとイチャイチャしたいよおおお!!!」
「近くにいるじゃない。とってもかわいいエルフが。」
「かわいいの種類が違うよ!産まれたばっかりじゃん!」
「わがままねぇ。」
「これはわがままとは言わなくない!?」
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「とにかく、旅はもっと成長してからで良いんじゃない?私たちまだ子供だし。…それより!今日もおじさんとおばさんは街で仕事でしょ?うちもそうだしまた泊まるわよ。」
「はーい。晩飯何にする?」
「この前狩った鹿がまだ残ってるでしょ?スープにするわ。食料庫から取ってきて。」
「あいよー。…しかし魔王も魔物もいないのに魔法はあるんだよな…まあそのお陰でこうやって冷凍保存が出来るわけだけど。」
「私たちに魔力があって良かったわね。普通の人より多いらしいから色々使えるし。」
「もっとこう…戦いとかに使いたかったなぁ…」
「平和が一番よ。私たち庶民にはこういう普通の暮らしが性に合ってるのよ。」
「それはそうだけどね。ただ、旅には行ってみたいな…」
「旅なんて大人になってからでも遅くはないわよ。」
「そうだね。行ってみたいところがいっぱいあるんだよね…王都とか、隣の大陸とか!レイはどこに行きたい?」
「南の島でバカンスがしたいわね。」
「いいね!やっぱり目標があると人生楽しいもんね!」
「そうね。前世はほとんど病院だったし。」
「同じく。」
「さ、もうすぐ出来るわよ。今日の宿題はやったの?」
「レイが来る前に終わらせたよ。レイは?」
「ここに行く前に終わらせたわよ。」
「真面目だねぇ。」
「お互い様よ。」
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「ふー食った食った!やっぱりレイのご飯は旨い!」
「褒めてもなにもでないわよ。あとは洗い物して、体も洗ったら寝るわよ。明日も早いし。」
「寝る前にコイバナでもする?」
「恋の対象がいないじゃないの。」
「確かに。」
「くだらないこと言ってないで、チャッチャと済ませるわよ。」
「はーい。」
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「ちょっと、もっと詰めなさいよ。ベッドから落ちるじゃない。」
「狭いよー。」
「もっと大きく作れば良かったじゃない。」
「2人で寝ることは想定してないよー。…仕方ない、今度の休みに拡張させるか…」
「次は大きめに作りなさいよ。」
「はいはい。もーレイはわがままだなー。」
「こんなの、わがままのうちに入らないわよ。ほら、さっさと寝るわよ。おやすみ。」
「おやすみー。」
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「むにゃむにゃ…ハーレム…良い…」
「まったく…どんな夢を見てるのよ…まあ、夢くらいは良いもの見せても良いかしらね。私もさっさと寝ましょ。」
「楽しい夢を見れるくらい、平凡な毎日が何だかんだで幸せなのかもね。」
前世では病弱で若くして生を終えたヨウとレイ。今世ではたくさんの子や孫に囲まれながら、村一番の旅好き夫婦として幸せな生涯を歩むことを、2人はまだ知らない。
これから少しずつ作品を作っていこうと思います。