郵便屋さん
瀬戸の小島の郵便屋さん
今日も山道バイクで走る
届けた婆ちゃん一人暮らし
孫が生まれる電話があった
喧嘩息子は逢いに来ない
次の船便その手紙が来た
喧嘩息子だ急いで届ける
ハサミの婆ちゃん震える両手
どんな知らせか期待している
読んでおくれと頼まれた
「ミカンの花の頃ですね
お母さんお元気ですか?
家を出てから十五年
ご心配をお掛けしています
この度ぶじ長男が生れました
幸いにも母子ともに健康です
名前は『誠』としました
本来ならすぐに帰るところ
妻子の体調を考えて自重します
お母さんもお身体を大切に」
喉が渇いた郵便屋である
めでたいお祝い大役果たす
うれしい婆ちゃんため息ひとつ
早く会いたい望みが増える
きっと会えると励ました