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〜水面砕ける〜  作者: 中川 篤
プロローグ
2/6



 ちなみに、千地監督が率いるこのカヌー部は、ただ単にスポーツで結果を残せばいいという場所じゃなかった。見習のうちにやるべきことはいくらでもあった。アスリートには似合わない労働の類だ。搾取ともいう。


 命は時にへこたれそうになりながらもやるべきことをやったので、次第に仲間から信用を勝ち取っていった。何と言っても、働くものが一番信用される。口先だけで信用はしてもらえない。信頼にとる人物たるには、まずは行動で示さなければいけない。とはいえ、どういうわけか何をやっても叱られず、むしろ皆からちやほやされる仲間もいないでもなかった。


 それを見て、命はやっぱり世の中は不公平にできているのだなと感じる。が、気づくとその人たらしが作る輪の中に入り、やはり甘い言葉を投げている。彼といるのはどうも居心地がいい。


 練習は川で行っている。穏やかな流れの川で、幅が広い。日本でも有数のカヌーの練習場だ。国外からカヌーの選手が来た時にはだいたいこの練習場で、日本の選手と一緒に競技を行う。


 外国人選手は早い。とても。それは命の目標だった。いかに日本人から離れた漕ぎをするか。だから動画を見、ネットに上がっているオリンピックの優勝者のフォームを確認しては自分のフォームを直す。監督から指示が入り、またフォームを直す。


 「しかしまずは早い漕ぎができる体を作ること。それからね」


 ウェイトトレーニングの時間になった。いやなあだと思った。正直、重いものを限界まで持ち上げるのは、つらい。それでも彼女には味方がいた。吉川英治先生と剣豪の宮本武蔵だ。




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