パトとラッシュは、ず~っと一緒♪⑥終わりと始まりは、しっぽの気持ち
ついに最終話!、そして間違い探しの回答発表になります!!!
《問題文》
『【パトは必ず赤い首輪をしている】はずなのですが、①常足で【ラッシュの夢の中に出てきたパトが首輪の色を間違えているイラスト】があります!、それは合計何枚あるでしょうか?』
《答え》
①ボールを見つけて喜ぶ犬の時
②ボールを持って一緒に遊ぼうとラッシュを誘う人の時
の【合計:2枚】になります!
短い受付時間で申し訳ありませんが、問題の答えが発表されましたので、これにて回答〆切とさせていただきます!、皆様、ご応募ありがとうございました!
※厳選なる(自作あみだくじ)で当選されたました3名様は、この次の活動報告にて(ご本人様に確認の上)発表予定とさせていただきます!、惜しくも外れた方には参加賞を送らせていただきます。(いらないって言われたらどーしよ・・orz)
長々と関係のない前書きで失礼いたしました!、それでは『ヒトとイヌとをつなぐ』本編最終話、どうぞ宜しくお願いします!m(__)m
『犬の十戒は、作者不詳のまま世界に広まった短編詩・・貴方は現在、犬と共に暮らしているヒトですか?・・それとも未来に、犬を飼いたいヒトですか?』
『あるいは過去に、犬と過ごして来たヒトですか?・・犬と関わり合のない貴方も含めた、全てのヒトに・・この事をどうか、忘れないで覚えていてほしい』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・黄昏が迫る教室で、僕らの為に尽力してくれている理事長先生だけど、その手に持っている『金色のボール』を僕が『卑猥な名称』で呼んでしまったために・・
元理事長「ラッシュ君ヒドイです!、私がこんなに苦労しているのに、よりにもよってコレを『金○』と呼ぶとは!?、信じれません!、えぇ、確かに金色の丸いボールですよ!?、球ですわ?、珠ですか?、玉ですよ?、確かに金色をした金○ですとも!?、えぇ、これは誰が何処から見ても、紛れもなく金タ・・」
ラッシュ「わぁーっ!?、理事長先生ストップっ!?、それ以上はダメです!?、僕が悪かったんです!、すいません!、スイマセン、すいませーーん!!!」
一見、笑顔にも見えるけど理事長先生を怒らせてしまった!?、目がコワイ!?
可憐で気品のある『美少女イヌ』さんに『タマタマタマタマ』と隠語を止まらなく言わせてしまうなんて、僕はなんて大罪イヌだろうか!?、教室の床に這いつくばって平謝りするしかない!、くぅーん、くぅーん・・許して下さい~!?
・・『管理者の証である青い首輪』が『こげ茶色』に変わってしまっている・・
きっと、また僕らのせいで理事長先生の立場が悪くなってしまったんだ。
元理事長「ホントにもう!・・いいですか?、これはとても大切なキン・・ゴホン!、『御霊』なのですよ?・・この卒業試験は、ラッシュ君たちがこれを受け入れられるかが合格のカギとなっているのです!・・さぁ、立って下さい?」
どうやら許してもらえるらしい?・・理事長先生が教卓の上に『金色のボール』を置いて・・土下座している僕に手を伸ばして・・その手を取り、僕は立ち上がる。
不思議と教卓に置かれたボールは転がったりせず、ピタリとして動かないまま・・
ラッシュ「あの・・とりあえず、僕はあのボールを取ればいい・・ということですよね?・・えぇっと・・その・・この手は?」
でも、それより気になるのは、手をつないだままなことなんだけど・・互いの『にくきゅうがたっち』していて・・パトの時と違って、すごく恥ずかしい!?
元理事長「えぇ、そういうことになりますけど・・何を恥ずかしがっているんですか?・・何があっても、ラッシュ君たちは犬として生まれ変わるつもりなんでしょう?、ならば、他の犬とも、ヒトとも触れる機会があるはずです!、この程度の接触で恥ずかしがったり、気遅れしてはなりません!」
それはその・・すごく真っ当な意見なんですけど・・でも、今の僕の状況と心境は、ちょっと意味が違うんですよねー!?
そんな僕の恥ずかしがる態度にも気にせず、理事長先生はつないだ手に更に力を入れて握ってくる!?、あわわワーン!?、キレイなお顔も近いんですけど!?
元理事長「だけど・・クロ先生が言った通り、無事に犬として生まれ変わったとしても、また不幸な目に遭うかも知れない・・また虐げられて、大切な命を粗末に扱われてしまうかも知れない・・それでも、ラッシュ君たちは・・」
突然、青い宝石のような瞳を伏せ、話しかける理事長先生の口調が変わったことで、僕は恥ずかしがっている場合じゃないことに気付いた・・
ふざけている場合じゃないんだ、真剣なんだと・・
僕たちのことを心から想ってくれている先生に、僕は答える。
ラッシュ「確かに、幸せな未来が約束されているワケじゃない・・それにどれだけ長く生きたとしても、犬の命は十数年しかない・・ヒトと違って短い命しかない」
今の僕にはわかる・・ヒトの魂とイヌの魂を持ったボクなら・・
ラッシュ「けれど、ボクたちは知っています・・人と犬たちの関わりが、そんな悲しい関係ばかりではないことを・・そんなニンゲンばかりではないことを・・」
『きくち』も最初は、自分が大切に育てた命が、また新たな命を生み出して・・
その命が、新たな家族として迎え入れられた時、大きな喜びを感じたことがあった・・ヒトとイヌとの絆を確かに感じたんだ。
ラッシュ「短い命だからこそ僕たち犬は、全力で色々な事を感じるために、ヒトと共に生きて行くのだと・・お互いに大切なパートナーとなれるように願って」
初めから金儲けの為だけに、犬と関わる仕事を始めた訳ではなかったということを覚えている。
『きくち』に育てられた犬たちの中には、喜びの日々を過ごし、そして幸せな最後を遂げた命もあったのだと・・
・・もしかしたら、『きくち』を大好きなパトは、その気持ちを嗅ぎ取っていたのかも知れない。
その喜びをまた『きくち』に感じてほしい!
その喜びをまた『自分』でも感じたい!
その喜びをまた『ラッシュ』にも感じてほしい!、と・・
だからこそ、辛い日々を耐え、再び、犬として生まれ変わりたいと願うのだろう。
ラッシュ「理事長先生・・ありがとうございました!、どんなことがあろうとも、僕はきっと試験に合格してみせます!、パトときくちと一緒に、犬に生まれ変わってみせます!」
いつしか間違った方向に進んでしまった『きくち』・・その償いの為にも!
僕は返答として、つないだ手を力強く握り返す!
元理事長「それが『犬の性』・・ヒトの何倍もの幸せを感じるために、敢えて引き換えにしたもの・・私はラッシュ君たちの、その覚悟の成就を見守っていますね」
その返答に満足してくれたのか、理事長先生が手を離して微笑んでくれる。
その笑顔はとても、とても美しかった・・ずーっと、ずーっと見ていたかった。
・・けど、僕は試験の為、ボールに向き合う!
貴女が寄せてくれた期待の為にも、僕は応えないといけないから!
元理事長「・・・・・・・・・最後に、ちょっとこっちに来て下さいな?」
ラッシュ「へっ?・・あ、はい・・理事長先生、もう僕を殴るのは・・」
何か小声が聞こえたような・・脳裏に先ほどの怖い理事長先生のイメージが甦って、少しおっかなびっくり近付くと・・
(ちゅっ)
近付く僕のほっぺに、何か柔らかい、とても柔らかい感触が当たったぁー!?
ラッシュ「うワーンっ!?・・えっ?、えっ?、い、いま何を!?」
顔を真っ赤にした僕に対して、いたずらっ子みたいな笑みを浮かべる理事長先生!?、い、今したのは、ま、まさか、まさかっ!?
元理事長「うふふっ、私を怒らせた罰です♡・・だって言ったじゃないですか?」
僕がすごく狼狽えて、なぜ!?って聞こうとした瞬間に・・
元理事長「私は、ラッシュ君のことが・・でも、時間切れのようですね・・」
僕の大切なイヌが炎に包まれる!?
ラッシュ「り、理事長先生!?、そんな、どうして!?・・くそっ!、動けない!?、どうして動けないんだっ!?、僕のカラダっ!?、動けよっ!?」
目の前の大事な存在を燃え盛る炎から助けたいと思うに反して、僕の身体が言うことを聞かない!?、聞いてくれない!?
元理事長「ヒトもイヌも炎を怖がるモノ・・秩序に反したモノの末路・・こうなったのも私の責任・・仕方ないんです・・ラッシュ君、どうか慌てないで?」
その体を炎が焼いて焦がしているはずなのに、なんでそんなに冷静で・・
ラッシュ「そんな!?・・どうして笑ってられるんですか!?、ダメだ!、先生!、火を消して下さい!?、先生は動けるんでしょ!?」
僕が必死に訴えても、先生は自分を焼く炎を消そうとしない!、してくれない!
・・無駄だって知っているから!?
『これが私が最初で最後に出す試験』・・だからですかっ!?
元理事長「安心して?、私がいなくなっても試験は続くから・・やはり、ラッシュ君は優しい子です・・試験よりも私を心配してくれるんですね?・・私はラッシュ君を信じていますよ・・ずっと・・だけど、優しいだけではダメです・・」
・・その声は静かで優しかった・・けれど・・
元理事長「どんなことがあっても、と言ったのは誰ですか!?、貴方の覚悟は、その程度のモノだったのですか!?、私を失望させないで!、その願いを諦めないで!・・さあ、生きなさい!、あなたたちの未来の為に!、立ち止まらずに!」
炎が己の身を焼く火勢よりも、その声は力強かった!
『お別れ』することが分かってたから、僕にあんなに優しくしたんですか!?
ラッシュ「こんなのダメだっ!?、こんなことで貴女が終わってしまうなんて!?、まだ僕は貴女に何も・・貴女は僕の大切なっ・・うわっぁ!?』
僕たちを見守っているって、そういう意味だったんですか!?
『お別れ』することが分かってたから、思い残す事がないようにしたんですか!?
せめて、僕の流す涙が火勢を弱めることが出来れば!
・・そんな願いも虚しく熱波が押し寄せてくる!
元理事長「こんな勝手な私のために泣いてくれる、優しいイヌさん・・少しの間、お別れです・・いつか、また・・輪廻の果てに・・出会えたら・・」
ラッシュ「あぁ!?・・そんな・・先生・・」
業火に身を焼かれたイヌが、細かな火の粉となって消えて逝く・・
ラッシュ「せんせーーい!!!・・りじちょぉせんせぇーーぃ!!!」
悲しい別れの言葉を僕の耳に残して・・僕の口から絶叫が迸る!
ラッシュ「っっ!?・・火が迫ってくる!?・・くっ、早くボールを!」
その声を罪人の呼び声と思ったのか、その業火が僕の方に、その手を伸ばす!?
業火を避け、託された願いの為にも教卓に載せられたボールに、僕は手を伸ばす!
ラッシュ「えっ、なんだコレ!?、ビクともしない!?・・ぐぅっ!・・お、重い!?・・う、うわぁぁーっ!?」
だかしかし、見た目にはタダのボールだったが、僕の全力をかけても微動だにしなくて・・
その瞬く間に、僕の全身が燃え盛る炎に飲み込まれてしまう!!!
炎を消さねば、自分も先生と同じ運命を辿ってしまう!
いつの間にか、教室全体に火の手が回っていた・・出入口も窓も・・
・・だけど、僕のカラダが動いてくれない。
ここで同じように炎に身を焼き尽されれば、どうなるのかと思って・・
炎に焼かれる痛みを感じながら・・僕の顔には・・笑みが浮かんでいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ニンゲンとイヌ・・ふたつの魂を持つボクは、本能から来る炎への恐怖心で動けずに・・理事長先生を焼き殺した同じ炎に包まれて・・
それを言い訳にして、ここで僕らが燃え尽きたらどうなるのか想像してしまった。
犬の神は言っていた。
『汝らの魂が消滅した際には、晴れてパトはニンゲンへと生まれ変わる』のだと・・
その言葉が正しければ、パトは犬からニンゲンになるのだろう。
『今までの全ての戒めから解放される』ことによって・・
神様の言う通りなので、間違いが無いことなんだろう。
きっと、眩しい笑顔で自由奔放に野原を好きなように駆け回ることだろう。
過去の辛い日々を過ごした犬から解放されて、自由で幸福な人生を歩むことを約束されているパト。
僕たちの記憶も、僕たちへの想いも全て忘れて・・
ラッシュ「パト・・ボクらはもう・・」
僕は思ってしまった・・ここで終わってもいいんじゃないかって・・
罪を犯した『きくち』は、その重さを後悔し、ニンゲンの尊厳を喪失していくことに疲弊していた。
生前、辛い日々を過ごすパトに『いつか、きっと』という嘘をずっとついてきた『ラッシュ』・・
そもそも『ラッシュ』があの冷たい雨が降る日、『きくち』を呼んで来なければ、パトをそんな酷い目に遭わせることもなかった・・
ボクらの為に、あの理事長先生が命を懸けてくれる必要も無かった訳だし・・
ラッシュ「パト・・ボクらはもう・・疲れたよ・・」
次のパトなら、きっとひとりでも大丈夫さ・・今度は神様が応援してくれるから。
だから、ボクらはここで終わっていいんだ・・あぁ、でも最後に・・
一度でもいいからパトが、元気に外で走り回っているのを見たかったな・・
理事長先生、今から僕も・・期待に応えられなかった・・ごめんなさい・・
・・どうか、怒らないで・・パトも・・ごめんね・・
パト「どっぱぁーーーーぁんっ!!!!!!!」
パト「ラッシュ呼んだ?、パトのこと呼んだ!?」
パト「パトのこと呼んだよね!?、呼んだでしょ!?、パトキタヨー!!!」
逃げ場がない教室の燃え盛るドアを突き破って、そのパトが現れたぁぁぁあ!?
ラッシュ「パトぉー!?、なんで!?、どーして!?、せっかくニンゲンになれるのに!?、パトまで燃えちゃうよ!?、パトのばかぁ!、なんで来るんだよ!?」
全く予想していなかった状況、理解が出来ない困惑から、飛び込んで来たパトに向けて、僕の口から責めるような言葉がドンドン出てきてしまう!
余りの出来事に、自分を焼く炎への痛みも忘れちゃうぞぉ!?
だって、ラッシュときくちは、パトが大好きで大切だからだ!
魂まで焼かれて死んじゃうんだぞ!?、ボクらなんて放っておいて・・
パト「だって言ったモン!、パトはず~っと一緒がイイって!、ラッシュときくちが一緒じゃなきゃイヤだもん!、ぜったいのゼッタイにイヤなんだもん!!!」
パト「また一緒に犬に生まれ変わるんだモン!、お利口さんなニンゲンじゃなくてイイもん!、おバカで何でも楽しい、幸せな犬のままがイイんだもん!」
燃え盛る教室に入って来たパトは、赤色に満たされたバケツを手に持って、僕らに不服な言葉を、ただただ単純で純粋な自分の願いだけを言い放つ。
まるで駄々っ子のようだけど・・それがパトなんだと、パトの魂の本質だと・・そんなパトにまた会えた喜びの裏返しで、責めるような言葉を使ってしまった。
パト「だって、きくちとパトとラッシュ・・みんな揃って『パトラッシュ』なんでしょ!?、こんな試験、早く一緒に終わらせちゃおう!」
『きくち』が名付けた『パトラッシュ』・・
『パト』がいなければ、その名は無かった・・
ラッシュ「そうか・・そうだね・・誰が欠けてもダメなんだね・・」
『ラッシュ』が『きくち』を連れて来なければ、その名は無かった・・
『きくち』がいなければ、その名は無かった・・
ラッシュ「先生は言ってた・・僕らの試験だって・・僕だけの試験とは言ってなかった・・だから、パトが助けに来てくれたのか・・ありがとう、パト!」
こんな不甲斐ない僕の姿を、理事長先生は望んでいないに違いない!
始まりが不幸だったら、終わりまで不幸のままでいいのか?
僕らの身を焼く炎への恐怖・・本能に抗う姿が見たかったに違いない!
ラッシュ「協力して、この試験を乗り越えよう!・・手を貸して、パト!」
先生は『僕らパトラッシュ』の活躍が見たかったに違いないんだ!
パト「うん!、ラッシュはずーっと、パトのことを助けてくれてたから!」
しかし、何を思ったのか近付いたパトが、無造作に僕を焼く火に手を突っ込む!?
ラッシュ「えっ!?、うわわワーン!?、パトの手が焼けちゃうよ!?」
でも、あり得ないことに僕を焼いていた炎が、パトの手によってベリベリと剥がされていく!?、まるで引っ付いた紙を剥がすみたいに・・
罪人の焼く業火だから、パトは怖くないし、焼かれないということなのか!?
パト「今度は、パトたちがラッシュを助けてあげる番なんだよ!」
激しく噴き上がる炎にも動じないパトのおかげで、僕を焼いていた火が消える!
剥ぎ取った炎をパトがバケツの中に突っ込むと、炎は見る見るうちに消えてしまう!
だけど、そのパトを逃がさぬ様に、今度は退路が業火に塞がってしまう!
これじゃあ、パトは逃げられない!
教室を覆う火の手は収まらない所か、ますます火勢を強めている!
これじゃあ、あのボールにも近付けそうにない!
仮に近付けても、あんなに重い玉を持って逃げることは出来そうにない!
これじゃあ、みんな火に飲まれてしまう!?、試験どころじゃない!?
パト「逃げちゃダメ!、ラッシュも、きくちも!、逃げちゃダメなんだよ!」
また悲観的なことばかりを、未だに逃げることを考えてしまう・・
そんな僕の耳に届いた必死なパトの声に、はっ!とする。
ラッシュ「そうか、これは試験なんだ・・罪人を焼く業火、パトと繋がっている赤いバケツ・・そして、理事長先生が残したボール・・これら全て・・」
先生は、ボールを『御霊』と呼んだ・・『僕』に、受け入れろと言った・・
『パトとラッシュときくち』なら既に、ここにいる・・では、いったい誰の魂か?
ラッシュ「全て僕らに関係のあること・・わかったぞ!、これらを避けていけないということなんだ!、逃げずに受け入れなければならないことなんだ!」
僕の頭に浮かんだことが、試験を解くカギならば!
ラッシュ「もう、ボクらは怖がらない!、虐げられ、失われた命と魂に向かい合い、共に生きると!・・パト!、それを僕らに託してくれ!」
僕は、パトに呼びかける!、パトも力強く頷いてくれる!
パト「みんなの願いを叶えるために・・頑張って!、ラッシュ!、きくち!」
その手にあるバケツ・・その喪われたものたちへの責任を逃げることなく・・
パト「だから、お願い!、パトのコたち!、力を貸してあげて!」
パトが持っていたバケツの中のモノを僕にぶちまける!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕とボクは知っている、パトが持っているバケツの中のモノが何かを・・
知っているからこそ、恐ろしかった、避けようとしていた。
僕は、パトと血がつながっている命・・きょうだいである僕の血がつながっている命が、惨たらしい扱いをされることが・・目を背けるしかなかったから・・
ボクは、幼く死んでしまいそうなパトを拾い、命を助けあげたというのに、酷い扱いをしてしまったという自覚・・少なからず良心の呵責を覚えていたから・・
だから、無理やりにでも記憶にフタをして忘れたいと思ってしまっていたんだ。
でも・・避けちゃいけないんだろ!、お前がしてきたことだ!
お前が無情にも切り捨てた命たちだ!、すり潰された魂たちだ!
その怒りを悲しみをちゃんと受け止めてやれよ!、それがお前がしてきた罪への贖罪なんだ!
ボクがムリなら、四本足の僕が支えてやる!、半分受け止めてやる!
僕が無理なら、ボクが支えてみせる!、自由な両手で半分受け取ってみせる!
ニンゲンとイヌのふたつの魂を持った僕らならば、受け入れてみせる!
バケツの命の水を被った僕らは、ゆっくりと燃え盛る炎の中を進んでいく。
赤い血に塗れようとも、今の僕らは恐れはしない・・
先生がこの為に僕に着せてくれたであろう、防火繊維の服が再び火を纏い始める!
ラッシュ「汚れされていいんだ!、焼かれていいんだ!、それが当然なんだ!・・だけど、もう僕らは恐れはしない!、みんなが感じた痛みから逃げはしない!」
罪人を焼く裁きの業火に包まれながらも、僕は歩みを止めず教卓にたどり着いた。
パトのコたちが、僕たちを守ってくれたから辿り着いたんだ。
ラッシュ「ごめんね・・みんなは、きくちが蔑ろにしてしまった犬たち・・」
そして、再び手を伸ばし、全身の力を使って、金色の御霊を持ち上げようとする。
ラッシュ「数え切れないほどの犠牲になった犬の魂たちだったんだね・・くぅっ!・・だから、こんなに・・うぅっ!・・重かったん・・だねぇっ!」
なぜ、率先して規則を厳守すべき、神の娘であるイヌが、この卒業を賭けた試験を用意しただけで、その身を灰にするような厳しい刑罰を受けたのか?
おそらく、輪廻の終わりと始まりにおいて決められた手順も、何もかも違反していたんだろう・・自分の身を顧みず、全て僕たちの為だけに!
ラッシュ「こんなに魂たちを集めるなんて・・ぐぅぅー!・・そりゃルール違反すぎ・・処罰を受けちゃうはずだよ・・バカだよ、せんせーぇー!、どりゃぁっ!」
あの優しすぎるイヌを理解した僕は、不思議に力が湧いてくるのを感じた!
今度会えたら、絶対に僕から指摘してあげようと思ったんだ!
教卓の上から少しずつ、御霊が浮き始める・・僕が持ち上げるんだ!
ラッシュ「よぉーっしい!・・な、なんとか持ち上げ・・づぅっ!?」
持ち上げた魂たちの重さに、僕の肩や腕、腰、足までギリギリと悲鳴を上げる。
だが、それだけでなく次の瞬間、ボールの色彩が強くなり、凄まじい金色の熱が僕の手を焼いていく!
これは虐げられた犬の魂たちが、僕らに猛烈な拒絶を示しているということ!
防火服を貫通し、僕の魂を直に焼く熱!・・僕の手が怯み、御霊を落としそうになってしまう!
最初から赦してもらえるとは思っていなかった・・許されないことをしてしまった・・これは当然の報いなんだと分かってる・・だけど!!!
ラッシュ「許してもらえなくていい・・けどなぁ、ボールなんかに負けるかっ!」
全身を火だるまにしながらも、僕はボールを両手で押さえつける!
ラッシュ「吠えるな!、叫ぶな!、お前たちも一緒に来い!、僕の中に!」
バタバタと狂犬のように暴れる魂たちを胸に押し付ける!、抑えつける!
御霊が徐々に、少しずつ、ゆっくりと、熱と共に僕の中に入っていく!
その代償として、轟々と燃え盛る火勢が防火服を突き破り、僕のカラダ中から噴き出していく!
ラッシュ「があぁあぁぁあぁぁ!!!」
その怒りと悲しみの炎が、内にある僕の魂までも焼こうとする!
絶叫と共に口から、全身の穴という穴から金色の火が僕の体と魂を焼き尽くそうと噴き出す!
パト「ラッシュ!、きくち!、負けないで!、そのコたちも一緒の犬なんだよ!」
燃え尽きそうになる僕を、パトの声が支えてくれる!、僕が何かを教えてくれる!、そうだ!、ぼくは!?
ラッシュ「ぼ・・ぼくは、ラッ・・しゅ・・犬の・・ラッシュなんだ!」
僕の魂をも食い破ろうと炎の牙を突き立て、吼える犬たちの声に自分の存在を示す!
気付けば、ニンゲンとは違うイヌ同士・・御霊の犬たちの心の叫びが内側から聞こえてくる!
犬の言語は少ない・・だからこそ、そこには多くの気持ちが込められているのだと・・
ラッシュ「そうか・・そうだよね・・どうして、そんなに怒っているのか、悲しいのか・・寂しいんだよね?、不安なんだよね?」
犬にとってニンゲンとは、『ご主人様』とは、それほど特別な存在なんだ・・
ラッシュ「また『ご主人様』に置いて行かれてしまうんじゃないかって・・置いて行かないでほしいって言ってるんだね・・」
僕が死んで、ひとりぼっちになるのが寂しくて、パトと一緒に居たくて現世に留まったように・・
パトが虐待されながらも、『きくち』と一緒に居たいと必死に願うように・・この犬たちも『僕ら』と一緒だったんだ。
『パトとラッシュときくち』と離れるのが、別れるのが何よりも一番、嫌だったんだ!!!
ラッシュ「だったら、泣くな!、駄々をこねるな!、躾がなってない犬は、ニンゲンにも同じ犬にも嫌われてしまうんだぞ!?・・だから、僕が・・お前たちが犬なら!、誰が上下関係の上か下か教えてやる!!!」
それが犬の社会の絶対の正義!、『神が定めた犬のサガ』ならば!!!
ラッシュ「先生は託したんだ!、僕らならば、お前たちを救ってやれるってぇー!、『ず~っと一緒』に生きていくことができるってぇー!!!」
この身、この魂から迸る絶叫が!
ラッシュ「だから、ご主人様である、僕に・・みんなついて来いーーぃぃ!!!」
轟々と燃え盛る火勢を・・・凌駕する!!!
ラッシュ「ぜぇぜえ・・・つっ・・はあはぁ・・」
嘘のように火勢は収まっていた・・
煌々と照らす赤ではなく、優しい黄昏の光が教室に差し込んでいた。
カラダ中から吹き出していた熱が徐々に収まっていく。
ラッシュ「だけど、わかるよ・・みんな・・」
僕は自分の胸に手を当ててみる。
ラッシュ「もう、大丈夫だよ・・辛い目に合わせてゴメンね」
魂に宿った多くの同胞たちが、静かに眠っていることを感じた。
ラッシュ「心から反省している・・もし、赦してくれるなら・・僕らと一緒に生きてくれるかい?」
僕の胸の奥で『ワンっ♪』と一回、鼓動を打った・・そこに確かにある熱を伝える。
パト「らっしゅー!!!、きくちー!!!・・やったね~♪」
ラッシュ「うわわワーンっ!?、パトーっ!?」
ラッシュ「もう、いきなり飛びついて来ないでよ、ビックリするじゃないか!」
残念だけど、ボクの感じた感触は途中で中断されてしまった。
何故なら、パトの強い腕の力が僕を抱きしめたから。
パト「えへっへ~♪、これで、みんなず~っと一緒だね♪、うれしいワーン♪」
僕の腕が、満面の笑みを浮かべるパトを強く抱きしめたから。
(あぁ、もう、これが最初で最後なんだろうな・・)
お互いをぎゅっと抱きしめながら、心の中でそう思っていた。
(ニンゲンみたいに抱きしめ合うことなんて・・)
だけど、それを惜しいなんて思う心は、ひとつもなかったんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『もし、貴方が犬を虐待するヒトであっても、覚えておいてほしい・・』
『私たちは、ず~っと一緒にいることを・・いつか、きっとを望んでいるのだと』
『だけど、私たちと一緒に暮らすということは、楽しいだけではありません』
『それは時間的な制約であり、経済的な負担が増えることを意味します』
『そして何より、最も辛い悲しい別れが来ることを覚悟して下さい』
『だけど、貴方が真摯な愛情を向けてあげれば、嬉しい時は一緒に喜び・・』
『悲しい時にも傍に寄り添い、どんな時にも側にいてくれる・・』
『お互いにとって、良いパートナーになってくれるはずです』
『どんな別れをしても、あのコたちは決して貴方のことを忘れることはないでしょう・・あのコたちが一番好きなのは、貴方の笑顔と笑い声なのです』
『私は願います・・ヒトとイヌとが、これからもず~っと一緒にいることを・・』
『きっと、姿が見えなくなったとしても・・その子はいつも貴方の側にいますよ』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・この世界の何処で・・・
女の子「あっ!?、お母さんみて!、みて!」
母親「あら、こんなところに・・捨て犬かしら?」
女の子「わぁ~、かわいい♪・・お母さん、私、この子たち飼いたい!」
母親「ちゃんとお世話できるの?、生き物を飼うって言うのは、簡単なことじゃないのよ?」
女の子「大丈夫!、ちゃんとお世話するから!、お願い!、お母さん!」
母親「ふふっ、じゃあ、これからはアナタがこの子たちのお母さんね?」
女の子「うん!、わたし、このコたちのお母さんになる!・・黒い子は活発そうで・・なんだか、茶色の子は眠たそう?」
母親「犬も人間と同じで、いろんな子がいるの・・その子に合ったお世話をしなきゃいけないのよ?・・さっそく、そこの小さなお母さん?、この子たちに名前をつけてあげないとね?」
女の子「じゃあ、今日からこの子は・・菊池・・きくち・・え〜っと、お母さん、いい名前ない?」
母親「あらあら、早速、お母さんを頼っちゃうの?・・じゃあ、お母さんが子どもの時に見た作品でね・・」
新しい出会いの時が、今、始まろうとしていました・・
・・だから、ちゃんと起きてね?、ラッシュ君♡
そして、時は流れて・・
少女「あれ?、どうしたのふたりとも?」
少女「あのワンちゃんが気になるの?、怖そうだけど・・」
少女「一緒に遊んでくれるかな?、大丈夫かな?」
少女「うふふっ、良かった♪、そんな心配いらなかったみたいね♥」
パトとラッシュは、ず~っと一緒♪ (了)
これにて私の『菊池祭り』は終了です!、お祭りを主催された『コロン様』、そして、それに携わられた方々(もちろん読者様も!)に篤くお礼申し上げます!、本当にありがとうございました!m(__)m
次は当選者様へのプレゼント作成を・・あ~!、自分の続編も・・この経験を生かして頑張ります!、皆様また今後とも宜しくお願いします♪(*‘ω‘ *)ノ
お祭りなので、気に入ったイラストあれば、ご自由にお持ち帰り下さい♪(ヘンなことには使わないでね?w)