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庵野秀明監督「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

リアルでは9年の間が空いていますが、自分はサブスクですぐに観たのね。

面白かったんだけど、これリアルで9年待った人は嬉しかっただろうなって。

ありがとう、エヴァンゲリオンって気持ちにさせられたね。

タイトル・シン・エヴァンゲリオン劇場版

監督・庵野秀明

公開日・2021年3月8日


感想

 いやー終わった。終わったよ、エヴァンゲリオンが。

 95年から25年だってさ。(※)スゲーよ、よく終わらせたよ庵野監督。

 映像監督とアマチュア物書きは違うけど、作品を終わらせることの難しさは分かってるからさ監督の凄さと偉さが伝わってくるのよ。

 このまま庵野監督への賛辞を書き連ねたいけど、これは感想だからね。感想を書きましょう。

 今作は投げっぱなしで終わった前作「Q」の尻拭いもあったと思う。

 訳の分からなさから山ほど出た批判に、庵野監督の鬱も重なって9年という時が経ってしまった。

 それの始末を付け、なおかつ「エヴァンゲリオン」というコンテンツに一旦終止符を打つ。今作はそれを見事にやってくれたと思う。

 まずは前半部分。第三村での日々。

 懐かしい顔ぶれがここで揃う。トウジにケンスケに委員長。

 生きとったんかワレェ! と驚くと同時に個人的には嬉しかったのね。だって、アニメや旧劇では綾波の自爆で第三新東京市が吹っ飛んでから離れ離れになって、会えず仕舞いのままシンジ君はボロボロになっていった。

 一応、カヲル君が現れたけど、アニメ(旧劇)と新劇場版共に彼は死んじゃってる。

 けれど、メンタルケア出来る人間が誰一人としていなかったアニメ(旧劇)と違って、新劇場版では友達がいる。

 よかったなぁ、シンジ君!

 ってなるところだけど、「Q」終盤のゴタゴタのせいでシンジ君のメンタルは崩壊寸前。友達との再会を喜ぶどころか、失語症になってしまっている。

 挙句、アスカと揉めて家出しちゃうという……。

 ケンスケも言ってた通り甘やかすのは良くないけど、十四年分のツケを急に、しかも一気に払うハメになってる相手に対してアスカも辛辣だよなぁと。

 何も言えない、DSSチョーカー見ただけでゲロ吐く、何もしない(出来ない)人間に対してやることがカロリーメイトめいたレーションを口に押し込んで嫌味吐くって、無茶苦茶だよな。

 でもまぁ、シンジ君は「破」のことを悔いているからか喋れるようになってからも文句一つ言わない。人間が出来過ぎている。彼はお母さん似だ。

 とにかく、シンジ君は人の優しさに触れて日常生活が出来るくらいに回復していく。というか、成長した。人の死を乗り越えたわけだからね。

 そしてシンジ君のドラマと同時に綾波だけど綾波じゃないそっくりさんのドラマが展開される。

 嫁大好きサイクロプスとジジイと石田彰しかいない旧ネルフ本部から、マリさんとアスカに助けられて人里に降りてきたそっくりさん。

 そこで色々な初めてを体験する。

 ディストピア飯じゃない飯で口がホクホクして。

 猫に目を輝かせて。

 トウジと委員長の子供を抱っこして。

 おばちゃん達と一緒に田植えして汗水流して。

 お風呂入ってポカポカして。

 絵本読んで。

 制服プレイもして。

 でも、悲しいかな平和な日々は続かない。

 水槽の中の魚の如くネルフの庇護下では長く生きられないそっくりさんは、自分の死期を悟ってシンジ君の元に訪れる。

 そんで、カセットウォークマンを返して「さよなら」と言い遺して、LCLに還ってしまう。

 いつものシンジ君だったらここで沈没してただろうけど、今回のシンジ君はひと味違う。カヲル君の死を乗り越え、人の優しさに触れ、だからこそ守りたいと思うようになっていた。

 自らの意思でミサトさんの元に戻って、その時を待つ。

 ここでマリさんとも再会すんだけど、このシンジ君、ここでマリさんの名前知ったよね。初対面から十四年経って。

 にしてもまぁ、マリさんもマリさんだよな。冒頭で「待ってなよワンコ君」言っときながら、オメェ自分の名前明かしてなかったじゃねぇか。

 ぶっちゃけシンジ君もほぼ忘れてただろ。

 あんなヒントでよく、「パラシュートの」って思い出せたよ。俺だったら、小一時間ぐらいかかるぞ思い出すのに。

 とにもかくにもヴンダーは発進し、ゲンドウと冬月先生との最終決戦に挑む。

 しかし、伊達に25年間もラスボス枠に収まってない嫁コンプレックスなマダオと元京大教授。

 ミサトさん達ヴィレよりも上手で、一時は「勝った! シンエヴァ完!」かと思われたものの逆転してきやがる。アスカも奪われたし。

 万事休すかと思われたその時、シンジ君が立ち上がる。

 全てにケリを付けるために。

 こうなったシンジ君は止まらない。ピンク髪にハジキを突き付けられようが、友達の妹に14年間発酵させた激重感情をぶつけられようが、行くと決めたシンジ君を止められる奴はいなかった。

 「序」でも「破」でも「Q」でもね。

 おまけに、今回は「破」「Q」で戦闘パートをほぼ半分担ってくれた頼もしい人がいる。

 ボロボロの改8号機に乗ってきたマリさんの手を借り、本気の親子喧嘩を始める。

 そこで明かされるゲンドウの過去……は、まぁ想像通りだったよ。本当にお前、嫁好きだったんだな。

 けど、重要なのはそこじゃねぇんだ。

 ゲンドウがシンジ君という息子を受け入れ、その成長を見送ることを決めたことが大切なんだ。

 ……というか「碇シンジ育成計画」以外でゲンドウの父親としての面、地味に初めて見たな。

 成長したな、ゲンドウも。

 母親の想いを、親父の意思を受け取った息子は改めて自分の道を歩き出し、仲間を友人達を救っていった。

 アスカを。

 カヲル君を。

 綾波を。

 世界を救い、まるで自分の役目はこれでお終いとばかりに消えていくシンジ君。

 でも、有言実行なマリさんが迎えが来てくれた。

 シンジ君はもう、一人じゃないんだ。愛してくれる両親がいて、友達もいて、隣にいてくれる人がいる。

 大人になったシンジ君は、マリさんと共に何処かへと走っていく。

 どこかは分からない。けれど、あのシンジ君ならどこでもやってけるよきっと。


まとめ

 25年の時を経て、終わりを告げる「エヴァンゲリオン」

 前半の第三村パート、中盤の戦闘シーン、終盤の親子喧嘩からの皆の補完と見事な「序破急」で展開されるストーリー。

 ところどころの神作画と細かな描写。

 有終の美を飾る作品としては最高な作品だと、自分は思う。

 色々言いたい人もいるだろうし、自分も色々と思うところはある。

 でも、「エヴァ」ってのは最初からシンジ君の物語だからね。シンジ君が成長して、胸の大きいいい女に捕まえられたってことでいいじゃない。

 「皆で幸せになろうよ」ってことで。

 ……これは違うロボットアニメか(;´∀`)


劇終

※コロナのせいで公開延期してた。本当は20年に公開だったんだけどね。

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